食い倒れの街・大阪。大阪の食事と言えば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。3大グルメと言われる串かつ、お好み焼き、たこ焼に加え焼肉の聖地でもありますし、どて焼き、きつねうどんなどなど美味しい物には事欠きません。かつて大阪で9年間生活した筆者にとって、大阪の旨いものと言えば断然「おでん」です。大阪でおでん?あまりピンとこない方も多いかもしれません。ところがどっこい「関東煮(かんとだき)」とも呼ばれるおでんの名店が大阪にはなんと多いこと。おでんを煮る大きな丸い鍋は大阪・関西万博(以下万博)の目玉である「大屋根リング」のごとく、鍋の中で色々な具材が調和するさまはなんとなく各国パビリオンにも似ています。万博開幕から2週間。大いに盛り上がる大阪のおでん屋さんを5店ご紹介したいと思います。

鯨のコロが旨すぎる!『関東煮 きくや』@玉造駅

まずは、大阪環状線の東サイド「玉造(たまつくり)駅」にほど近い『関東煮 きくや』です。「関東煮」と大きくあしらわれたのれんがいい具合です。これだけでビールが飲めますね(笑)。

きくや

ところで、なぜ「関東煮(かんとだき)」と呼ばれるのでしょうか。諸説ありますが、(1)関東発祥の煮物説、(2)関東大震災によって移住した方が広めた説、(3)中国人が広めた「広東煮(かんとんに)」が変化した呼び名説、などが有力なようです。関東煮はかつお節のだしに薄口しょうゆを合わせるため甘い味付けが特徴で、その味を満喫できる名店が『関東煮 きくや』です。

数ある具材の中でも当店一の名物が鯨のコロ(皮の部分)です。鯨は大阪のおでんには欠かせない具材ですが、当店ではコロがオンメニュー。甘い味付けが鯨の身にからんで、東京ではあまり味わえない感覚を楽しむことができます。タケノコも絶品。コロとの食べ合わせが抜群で、いくらでも食べることができそうです。

きくや(コロと竹の子)

当店は食堂的な面もあり、「めし大中小」や「うどん、そば」、大阪名物「肉吸い」もいただけます。いぜんは正午から営業していましたが、2024年11月から15時オープンになったとか。夜になると行列必死ですので、できるだけ早い時間の訪問をお勧めします。

2時間待ちは当たり前の超人気店!『花くじら』@福島駅

『きくや』が、大阪の東の雄とすれば、西の雄が大阪環状線「福島駅」にある『花くじら』です。こちらは『きくや』以上に行列が長い。筆者の観察では、外国人の方がより『花くじら』は多いようです。梅田から西に一駅という立地もあるのか、夜は2時間待ちもザラですので、どうぞ心してお出かけください。

『花くじら』の入り口。暖簾などに書かれた「はなくじら」は料理名

当店の注目は、まさに「大屋根リング」にも似た丸い大きな鍋です。厨房に鎮座している鍋からは具材がひっきりなしに皿に盛りつけられ、また新しい具材が投入されます。万博を彷彿とさせる混然とした景色を是非お楽しみ下さい。

『花くじら』のおでんですが、2024年に訪問した際は豆腐と春菊を頂きました。春菊にのったとろろがいい味を添えておりました。もちろん鯨も提供されており、コロやサエズリ(鯨の舌)がありますので、ご興味あればぜひ!

花くじら(豆腐と春菊)

さて、店名『花くじら』の由来が気になりますよね。当店のメニューに「はなくじら」があったので頼んでみました。ご覧の通り、酢味噌をかけたくじら料理でした。見ようによっては花に見えますかね。そんな由来なのかなぁと、「はなくじら」にビールを合わせながら考えた次第です。ちなみに味も絶品であったこと申し添えます。日本酒にもぴったりですね。

花くじら(はなくじら)

名物は「白いおでん」!『白いおでん 丸喜酒店第一ビル店』@大阪駅

東西の王道のおでんをご紹介しましたが、続いては異色のお店をご紹介します。「大阪駅前第一ビル」の地下2階にある『白いおでん 丸喜(まるき)酒店第一ビル店』。一号館から四号館まである大阪駅前ビルには地下街があり、多くの飲食店が軒を連ねます。すべての地下街はつながっており、まるで迷路。慣れない方は迷子になること必至ですので、どうぞ時間に余裕をもっておでかけください。丸喜酒店もわかりにくい場所にありますが、「おでん」と書かれた大きな赤いちょうちんが目印です。

丸喜酒店

中に入ると数人の女性たちがてきぱきと仕事をしています。言わずもがな当店の名物は「白いおでん」。京風のあっさりした出汁をベースにホワイトソースを混ぜているそうです。筆者は大根とほうれん草ベーコンを頂きましたが、想像していた味を超える美味さで驚いてしまいした。

丸喜酒店(牡蠣)

丸喜酒店(ほうれん草ベーコン)

なお、当店ではほぼ同じ具材で淡い色合いの京風おでんもラインアップされています。二通りの味が楽しめる「丸喜酒店」、梅田からも近いので、大阪出張の折にぜひお立ち寄りください。

一番通ったおでん屋『お多福』@三津寺筋

ちょっと箸休め。30年前に大阪で生活していたころ、一番通ったおでん屋さんがミナミの三津寺筋(みってらすじ)にある『お多福』でした。いかにも老舗のお店らしい木造りのカウンターが美しく、締めに食べる細いうどんが一日の疲れを癒してくれたものです。

2024年に訪問したところ、なんとたまたま貸し切り営業で入店NG。外見だけ写真を撮りましたので素敵な雰囲気だけ味わってください。いつかまたリベンジしたいと思います。

お多福

老舗居酒屋の看板メニューがおでん!『明ごころ本店』@京橋駅

ならばと最後にご紹介するのは大阪環状線「京橋駅」にある『明(あけ)ごころ本店』です。当店は大阪の食事が何でも揃う老舗の居酒屋なので「おでん屋」ではありませんが、オンメニューされた「おでん」はお店の看板商品。いただいたのはやはり(笑)コロ、加えて定番の豆腐とこんにゃく。『きくや』や『花くじら』など専門店にも負けない「関東煮」の名店なのでした。

明ごころ

明ごころ(コロ)

老舗居酒屋だけあり、他の料理も美味しいものばかり。筆者が好きなのは白味噌仕立ての「どて煮」と鰻が大きい「うざく」。どちらも絶品です。

明ごころ(どて煮)

明ごころ(うざく)

なお、「明ごころ」には同じく京橋に「南店」や「中店」もありますし、筆者はまだ未訪問ですが、「洋食店」もありますのでぜひ各種料理をお楽しみください。

今回は「関東煮=おでん」をご紹介しました。万博に行っておでんを食べるか、おでんを食べてから万博に行くか。いずれにしましても、万博とおでんの共通点を探しながら巡るのも楽しそうですね(笑)。

文・写真/十朱伸吾

おとなの週末Web専属ライター。旅と食とビールと競馬をこよなく愛する。ツーリングとゴルフも趣味。ツーリングの成果でダイエットにも成功。

【画像】大阪の名物「おでん」の名店揃い厳選5軒の自慢のおでん!(13枚)