コーヒーより玉露のほうがカフェイン量は多い…栄養の専門家がランク付けした「眠気に効く飲み物トップ5」
※本稿は、田中越郎『なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■眠気を覚ますにはエナジードリンクやお酢飲料
仕事中や会議中にとても眠くなることってありますよね。そうした場合はとにかく目を覚ますのが最優先です。強い刺激があれば一瞬は目が覚めます。キンキンに冷えたものや強い炭酸水だと一瞬びっくりして目が覚めます。加えてカフェインが追加されると、しばらくの間は興奮状態が続きます。ということで、眠ってはいけないときはエナジードリンクやお酢飲料がオススメです。
仮眠をとるのが一番ですが、そうもいかない場合がほとんどでしょう。幸い日本の会社ではデスクワークや会議中にペットボトル飲料を飲むことに対しては、抵抗感があまりないようです。遠慮せず、どんどん飲みましょう。
■エナジードリンクはどれを選べばいい?
最近、流行りのエナジードリンクには、実は明確な定義や基準がありません。メーカーが勝手に、眠気を吹き飛ばして元気が出そうな飲料をエナジードリンクと自称しているだけです。
エナジードリンクは食品なので、「リポビタンD(医薬部外品)」のように「滋養強壮」などを謳えません。そこでエナジードリンクという新しい名称の食品グループをつくり、滋養強壮に効果がありそうなイメージを持たせているようです。ただし、所詮は食品なので、健康向上にはあまり期待しないほうがいいでしょう。
エナジードリンクは炭酸入りの場合、非常に強い炭酸にしてあるものが多いようです。カフェインだけでなく、ハッカ、アミノ酸、ビタミン、高麗ニンジン、ガラナなどを含んだものも多く、これらの成分から「滋養強壮」的な雰囲気を出し、それを売りにしているようです。また、高麗ニンジンやガラナなどは、頭を元気にするというよりは、下半身を元気にする目的を強調しているようです。
このように眠気覚ましの飲料には、食品や医薬部外品、さらには医薬品まで、さまざまなものがあります。当然、その効果は、基本的に「医薬品>医薬部外品>食品」の順になります。食品ドリンクの長所のひとつは、近くのコンビニですぐに手に入るという点です。
■一時的に目を覚ましたいなら「眠眠打破」一択
眠気覚ましの能力を短絡的に比較できる成分にカフェインがあります。カフェイン量だけで効果が決まるわけではありませんが、一応の目安にはなります。よく飲まれているエナジードリンクのカフェイン量などを図表1にまとめました。図表のカフェイン量は1本当たりの含有量であり、濃度ではないことに注意してください。

眠気覚まし効果やリフレッシュ効果がありそうな飲み物は、ノンカフェインのものも挙げてあります。著者の個人的判断による評価も入れておいたので、選ぶ際の参考にしてください。とくに二重丸の評価を付けたのは、「エスタロンモカ」「眠眠打破」「チオビタ・ドリンク」「メガシャキ」、そして一般の玉露です。
会議に臨むにあたり、とにかく一時的に目を覚ましたいときの私の結論は、「眠眠打破」の一択のような気がします。その理由はカフェイン量が多く、コンビニでよく見かけるからです。つまり、常温でも飲め、かさばらず、持ち運びやすく、かつ思い立ったときに近くの店ですみやかにゲットできる点は大きな長所だと思っています。
■イライラしているときは炭酸水で一息
イライラしているときは、炭酸水を飲むと落ち着けます。某飲料会社の実験では「炭酸水を飲んだあとにリラックス感が増した」という結果が出たそうです。
その詳細なメカニズムはわかっていませんが、二酸化炭素(炭酸ガス)が副交感神経を優位にさせた結果、リラックスできたのだと思われます。私の想像では、溶け込んでいた二酸化炭素が胃のなかで発泡して胃を膨らませ、胃の神経を刺激して副交感神経を活発化させたのだと思います。
また、胃のなかの二酸化炭素は胃腸で吸収されて血液中に溶け込んだあと、最終的には肺から呼気中に捨てられますが、効率よく余計な二酸化炭素を捨てるために呼吸が深くなり、その呼吸運動が副交感神経を活発化したのでしょう。エビデンスはありませんが、医学理論的にはつじつまが合います。
■残念ながらリラックス効果は持続しない?
炭酸水は基本的に、普通の水に二酸化炭素を物理的に溶かし込んだだけのものです。通常は普通の水に二酸化炭素をブクブクさせてつくります。家庭用の小さな二酸化炭素ボンベも市販(通常はレンタル)されており、個人でも簡単に炭酸水をつくることができます。単なる水よりも飲みやすいと感じる人は多いようです。
炭酸は酸ではありますが、pHは5〜6程度で酸性度は決して高くありません。自然のミネラルウォーターにも発泡性のものがあります。世界的に有名なのはフランスの「ペリエ」という発泡性のミネラルウォーターですが、これは現地で水と二酸化炭素を別々に採取して、工場で両者を混ぜ合わせてつくっています。おそらく加熱殺菌処理の必要性があったからだろうと想像しています。
炭酸水を飲んだ直後は確かにリラックス効果がありそうです。しかし、長期的な効果はハッキリしていません。非炭酸水よりも体にいいというのは言い過ぎでしょう。

■疲労回復に効くのは「たんぱく質+糖分」
体力的な疲労を回復したいとき、摂るべき重要な栄養素はたんぱく質です。ただし、たんぱく質が疲労回復に効果を発揮するまでには多少時間がかかります。即効性の疲労回復には糖分です。つまり、たんぱく質をたくさん含んでいて、さらに糖分を少量含んでいれば、残業続きの疲労回復に非常に適した飲料になります。
具体的な飲み物としては豆乳と牛乳ですね。どちらも似たようなものですが、草食系の人には豆乳、肉食系の人には牛乳をオススメします。牛乳の詳細は本書PART2の13で説明します。
豆乳は大豆からつくります。砕いた大豆の煮汁を濾すと、液体と固体に分けられます。液体が豆乳、固体がおからです。自宅で割と簡単につくることができます。その概略を説明すると、大豆を水に浸し、ふやけた大豆をミキサーで砕き、それを煮たあと、布巾で絞ります。絞り液が豆乳、布巾のなかに残った残渣(ざんさ)がおからです。
■無調整豆乳を飲みやすくしたものが調整豆乳
市販の豆乳には、大豆固形分(ほぼたんぱく質と思ってよい)の含有割合によって「豆乳(無調整豆乳)」「調製豆乳」「豆乳飲料」の3種類があります。
「豆乳」は原料に大豆以外のものを使用せずに、大豆固形分が8%以上のものです。「調製豆乳」は豆乳に砂糖などの調味料を加えて飲みやすくしたもので、大豆固形分は6%以上必要です。「豆乳飲料」はたんぱく質が少なく、「果汁入り」に分類されるものもあります。薄いとドロドロ感がなくなるので、粘着剤(「糊料(こりょう)」と表記)を加えてあることもあります。糖を加えて甘くしてあるものも多いようです。
豆乳を温めると表面に膜が張ります。この膜が「湯葉」です。また、豆乳にニガリ(塩化マグネシウム)を加えると豆腐ができます。もちろん、市販の豆乳からでも、湯葉や豆腐をつくることができます。

■豆乳と牛乳、どちらが体にいいのか
「牛乳は体に悪く、豆乳は体にいい」と短絡するのは間違いです。どちらも一長一短があります。豆乳と牛乳の含有成分の大きな違いは、たんぱく質の種類が異なることはもちろんですが、豆乳にはイソフラボンと鉄分が多く含まれており、牛乳にはカルシウムとビタミンAが多く含まれていることです。
イソフラボンは女性ホルモンに似た作用を示す成分です。女性ホルモンですから、その摂取には賛否両論があります。ただし、「否」の意見は、豆乳ではなくイソフラボンサプリメントに対してのものも含まれており、イソフラボン含有量がケタ違いに多いサプリメントの話を、豆乳や豆腐、納豆、味噌にそのまま適用するのはよくないと私は思っています。正しいかどうかは別にして、思春期の男子や妊娠中の女性が毎日飲むなら、1日200mlくらいにしておくのが無難という意見はあります。いずれにしろ、実際のところは、たまに飲む分にはまったく気にしなくて大丈夫でしょう。
「否」の意見ばかり取り上げてしまいましたが、豆乳は女性ホルモンが不足気味の女性にとって非常に適した飲み物であることは間違いありません。女性は豆乳をどんどん飲みましょう。
■牛乳アレルギーがある人には豆乳がオススメ
豆乳と牛乳のたんぱく質の含有量はほぼ同じです。含まれているたんぱく質の種類は異なりますが、どちらもアミノ酸スコア(たんぱく質の栄養価を示す指標)が100という、非常に良質なたんぱく質です。

豆乳は大豆たんぱく(ソイプロテイン)、牛乳はホエイたんぱくとカゼインたんぱくを含んだ飲み物です。筋トレが趣味で、運動後に摂取するたんぱく質の種類にこだわりたい人は、目的に応じて豆乳と牛乳を飲み分けてください。たんぱく質の詳細は本書PART2の13をご覧ください。
豆乳と牛乳は脂質の含有量やカロリーはほぼ同じですが、含まれている脂肪の種類はかなり異なります。豆乳には不飽和脂肪酸が多く、必須脂肪酸摂取の一助となります。一方、牛乳には飽和脂肪酸とコレステロールが含まれています。
脂肪の総量が気になる人は、カロリー低減タイプの豆乳や低脂肪牛乳を飲めば、脂肪の細かい種類も気にする必要がなくなります。豆乳と牛乳は、脂肪の種類よりもカロリーを気にしましょう。なお、調製豆乳や豆乳飲料は甘味がつけてあり、カロリーがそれなりに高いので、その点は要注意です。
豆乳は乳糖を含んでいないので、乳糖不耐症で牛乳があまり飲めない人や、牛乳にアレルギーがある人には非常にオススメです。
■栄養ドリンクの一番の栄養は「思い込み」
疲労回復には栄養ドリンクという手もあります。多種多様な栄養ドリンクがありますが、その主成分は、?タウリン、?ビタミン、?カフェイン、?その他――のようです。?タウリンは肝臓を助けると思ってください。お酒を飲んで疲れたときに適しています。?ビタミンは代謝を助けます。肉体的に疲れたときに適しています。?カフェインは精神的に疲れたときに適していますが、脳を興奮させて疲労感をゴマかしているだけとも言えます。?その他の代表には漢方薬や乳酸菌があります。
いずれにしろ、1本飲んだからといって疲労が完全消滅することは期待しないほうがいいでしょう。まあ、どれも気休めですね。この手のドリンクで、最も重要で効果的なのは「効くはずだ」という本人の思い込みのようです。
私が飲んだ多数の栄養ドリンクのなかで、最も効いた感じがしたのは、「タフマンスーパー」でした。おそらく、「高麗人参1000mgに加え、さらに数種類の人参エキスなどが入っている」というラベルを見たことが、私の「効くはずだ」という思い込みに火を付けたのだと思います。しかも、価格も高くなく、コスパ的にもオススメです。
----------
田中 越郎(たなか・えつろう)
東京農業大学名誉教授
医学博士。専門は栄養学・生理学。長崎市生まれ熊本市育ち。熊本大学医学部を卒業後、三井記念病院内科、スウェーデン王立カロリンスカ研究所留学、東海大学医学部などを経て、東京農業大学栄養科学科へ。所属が農業大学という特徴を活かし、健康におよぼす食品の影響について、医学と栄養学の両面からずっと研究を続けてきた。食品と臨床医学の両方に造詣が深い数少ない栄養の専門家。授業や著書のわかりやすさには定評がある。日本テレビ「世界一受けたい授業」、NHK「あさイチ」などメディア出演多数。著書に『なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
----------
(東京農業大学名誉教授 田中 越郎)
