FacebookThreadsを所有するMetaが、自社のソーシャルメディアのてこ入れのために、第16代アメリカ合衆国大統領のエイブラハム・リンカーンなどのキャラクターを模したAI搭載のチャットボットを早ければ2023年9月にも導入すると、イギリスの経済紙・Financial Timesが報じました。

Meta prepares chatbots with personas to try to retain users | Financial Times

https://www.ft.com/content/fa76c8ce-cdfd-458c-baec-73dceb2d2ad5



Financial Timesに情報を提供した3人の関係者によると、Metaが導入を進めているチャットボットは社員の間で「ペルソナ」と呼ばれているとのこと。チャットボットはさまざまなキャラクターの形をとっており、検討されているものの中にはエイブラハム・リンカーンのように会話するものや、サーファー風のスタイルで旅行の選択肢をアドバイスするものなどもあります。

チャットボットは早ければ9月にも登場する可能性があり、Metaは新しい検索機能やレコメンデーション情報の提供などを目的にAIの開発を急いでいます。その背景には、Microsoftが支援するOpenAIがChatGPTをリリースして以来、シリコンバレーで激化の一途をたどっているAIをめぐる開発競争があるとのこと。

このようなチャットボットは、すでにライバル企業によって次々と市場投入されています。例えば、新進気鋭のAIスタートアップのひとつであるCharacter.aiは2022年に、任天堂のマリオや機動戦士ガンダムのシャア・アズナブルといった架空のキャラクターから、イーロン・マスク氏やジョー・バイデン大統領などの実在の人物まで、さまざまな人格と会話できるサービスを発表しました。

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チャットボットがSNSに導入されれば、ユーザーのエンゲージメントの強化だけでなく、膨大な個人情報の収集にも使われるだろうと専門家は警告しています。

AI & Data EthicsでAIの倫理問題について研究しているラヴィット・ドータン氏は、「ひとたびユーザーがチャットボットと会話すれば、それは本当に多くのデータを企業にさらすことになり、企業はそのデータを使って何でもできるようになります。これはプライバシー問題のみならず、潜在的な『操作とナッジ』、つまり企業がユーザーを操る問題に発展しかねません」と話しました。

Metaはこれまでにも、テキストや画像やコードを生成する技術であるジェネレーティブAIに多くを投資しており、2023年8月には商用可能な大規模言語モデル「Llama 2」をリリースしました。

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一方でMetaは、チャットボットに偏見が含まれていないかどうかや、「幻覚」と呼ばれている誤った出力を行う不具合などに神経をとがらせており、特に監視の目を光らせている専門家には警戒しています。こうした点からMetaの内部関係者は「おそらくMetaは、ユーザーの質問を吟味してそれが適切な質問であることを確認する技術をチャットボットに組み込むでしょう」と話しました。

Financial TimesはMetaにコメントを要請しましたが、Metaからの回答は得られていないとのことです。