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ボディもインテリアも先代から刷新

モデルチェンジが、必ずしも望ましい結果になるとは限らない。フォルクスワーゲン・ティグアンは、ゴルフをベースにしたクロスオーバーとして2007年に登場。2015年に発表された2代目も大きな成功を掴み、後継モデルへ求められるハードルは低くない。

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フォルクスワーゲンが、初代からの通算で販売したティグアンは800万台以上。2018年以降は、同社のベストセラー・モデルに君臨している。


新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ

支持を集めたモデルを世代交代させる場合、あえて先代のイメージを継承することが珍しくない。しかし同社のデザイン開発部門は、まったく新しいスタイリングを与えたようだ。

今回は約80%の完成度だという、開発後期のプロトタイプへ試乗させていただいたが、カモフラージュ越しでも変化の大きさは明らか。ボディサイズとシルエット以外、刷新されたといっていいだろう。

それ以上に大きく改められたのが、インテリア。写真はご覧いただけないが、12.9インチか15.0インチのインフォテインメント用タッチモニターが、ダッシュボード上部に据えられる。後者は非常に大きく、斜め前方の視界にかかっているようだった。

やや前方へ突き出たようなレイアウトは、全体に馴染めていない印象。エアコン操作用のタッチセンサー、「スライダー」がタッチモニターの下部に固定されているのだが、その位置関係もベストとは感じられなかった。

最長100km近く走れるPHEVも登場

スライダーにはイルミネーションが内蔵され、夜間でも操作しやすくなった点はプラス。実際に押せるスイッチやダイヤルの方が扱いやすいことは、事実だけれど。

反面、ステアリングホイールのスポーク上には、タッチセンサーではなくスイッチが並んでいる。クルーズコントロールやステレオの音量などは、センサー式では操作しにくいという声が少なくなかった。アナログへの回帰を歓迎したい。


新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ

パワートレインは、現行モデルと同じ1.5Lガソリンターボと、2.0Lディーゼルターボが継続。DCでの急速充電に対応し、電気の力だけで100km近く走行可能なプラグイン・ハイブリッドも投入される。

一般的なユーザーの場合、プラグイン・ハイブリッドを日常的には電気自動車として使え、内燃エンジンの出番は週末の小旅行程度だけだろうと、フォルクスワーゲンは主張する。システム総合での最高出力は、203psと271psに設定されるそうだ。

2代目の頂点を飾っていた、330psのティグアンRは3代目では用意されない。提供期間は2年と、短く終わってしまった。四輪駆動のプラグイン・ハイブリッドが、次世代の最強版となるようだ。

今回試乗したプロトタイプに載っていたエンジンは、2.0Lディーゼルターボ。エンジンの印象は、2代目と大きく違わない様子。それでも燃費は向上し、出力なども高まると予想される。

プレミアムという表現を用いたい乗り心地

シャシーは大幅にアップデートされ、2バルブ・ダンパーが採用されることがトピック。フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIとベースを共有する、ビークル・ダイナミクス・マネージャーを実装し、敏捷性や洗練性を大幅に向上させることが目指されている。

サスペンションの特性は、タッチモニターに表示されるメニューから変更可能。コンフォートからスポーツまで、15段階から選べる。


新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ

その可変幅は大きく、1番コンフォート寄りにすると、石畳の路面でも巧みに衝撃を吸収。タイヤをしなやかに動かしつつ、ボディは平穏に保ち、落ち着いた乗り心地を実現させていた。プレミアムという表現を用いたくなるほど。

フォルクスワーゲンの技術者は、古いシトロエンのような、魔法のじゅうたん的な質感は狙わなかったと強調する。路面との一体感や追従性は維持しつつ、快適性を大幅に高めることへ注力したという。

ステアリングホイールへ伝わる、控えめなフィードバックも快適性へ貢献している。設計が改められたシートベースも。

うねるような路面へ進んでも、路面からの入力を遮断し、ボディが大きく揺らぐことはないようだ。旋回時のボディロールも抑えられており、車重が約1.7t、全高が1640mmあるクロスオーバーとしては、姿勢制御も褒められるだろう。

ひと回り大きいSUVに匹敵する実用性

ティグアン 2.0TDIのオーナーで、サスペンションを最もスポーツ寄りにする人は、現実的には限られるだろう。フォルクスワーゲンは、1人でリフレッシュしたい気分用の設定だと考えている。

ステアリング系統が新しくなり、クイックで正確な反応を実現させている。挙動は予想しやすく、カーブが連続するような道でも操る自信を与えてくれる。


新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ

ヘアピンカーブへ突っ込んでみたが、アンダーステアは見事に抑えられていた。確かに、仕事帰りに寄り道してワインディングを流す、といった楽しみ方もできそうだ。

とはいえ、ゴルフ GTIのようになるわけではない。ダンパーを引き締め、ステアリングを重くしても、高めの全高が招く動的な制限からは逃れられない。

コンフォートさとスポーティさとの両立へ、同社が努力した成果としては高く評価できるだろう。それでも、ある程度シャープなコーナリングとの引き換えに、乗り心地は若干神経質になる。70%くらいの硬さでも、満足できると思う。

ホイールベースは2681mmで、2代目とほぼ同値。車内空間は高さ方向で10mm増え、荷室容量は33L拡大される。比較的小さなボディで、ひと回り大きいSUVに匹敵する実用性を、3代目でも実現されるようだ。

クロスオーバーのゴルフと呼ばれるティグアン。3代目の発売は、2024年が予定されている。