夢のローラブルや巻き取り型スマートフォン誕生か? 自由に変形できる「収縮ディスプレイ」をLGが開発
さらにディスプレイがスマートフォン本体の表から裏まで覆うモデルなど、各メーカーは様々な形状の次世代スマートフォンを開発中だ。
これまでスマートフォンのディスプレイは硬く曲げられないものだったが、最近では折りたたみスマートフォンが登場し、ディスプレイをたたむことも可能になった。そして次のステップとして丸められるディスプレイの開発も進んでいる。
2021年にシャオミが発表したコンセプトスマートフォン「Xiaomi Alpha」は、本体をディスプレイが覆い、側面も表示領域にできる夢のようなスマートフォンだった。
しかし試作品だけが製造され市販はされなかったが、まもなくこの特殊なデザインのスマートフォンも製品化できるようになるかもしれない。
LGが、どのような形にも変形できる収縮自在なディスプレイ「ストレッチャブルディスプレイ」を開発したからだ。

LGが開発した収縮するストレッチャブルディスプレイ
ストラッチャブルディスプレイは、ベースを柔らかい素材のシリコンとしており、曲げたり伸ばしたりと自由な形に変形させることができる。
たとえば、レンガの壁など表面が滑らかではない場所にも貼り付けることが可能なのだ。
LGが今回開発したストレッチャブルディスプレイのサイズは12インチで、14インチの大きさまで約20%伸ばすことができる。さらに布や紙のように、ある程度丸めることもできるという。
このストレッチャブルディスプレイは柔軟性があるので、実用化されれば曲がった壁や家電製品の側面など、平らではない場所に張り付けて使うことも可能になる。またより小さなストレッチャブルディスプレイが開発されれば、Xiaomi Alphaのようにスマートフォンの本体を包み込むような用途にも利用できるだろう。

シャオミのXiaomi Alpha。ストレッチャブルディスプレイならすぐに実用化できる?
LGのストレッチャブルディスプレイは現時点では表示用途だけであり、タッチ操作には対応しないようだ。今後スマートフォン用に応用するとなれば、
・さらなる小型化
・ディスプレイ表面のタッチ可能化
・指先でタッチしても傷つかない強度
こうした課題をクリアしなくてはならない。
とはいえ折りたたみディスプレイが夢ではなく実現されたように、ストレッチャブルディスプレイを搭載したスマートフォンが誕生する日が来るのはそう遠くないかもしれない。
ローラブルスマートフォンも、折りたたみスマートフォンの次の技術として各メーカーが開発に注力している。
現在は薄いフィルム状ディスプレイをシワが寄らないように巻き取らねばならない。
そのため巻き取るためのモーターやディスプレイのずれを抑える機構に高い精度が求められている。また画面強度も課題で、収納時や利用時に傷や衝撃で、巻き取りできなくなるなどの故障する懸念もある。
しかしこうした課題も収縮自在なストレッチャブルディスプレイであれば、巻き取り時の多少のズレを吸収できるため、ローラブルスマートフォンの製品化や誕生も一気に進む可能性がある。

OPPOのローラブルスマートフォン。製品化に期待が持てる
今回LGが12インチのストレッチャブルディスプレイを開発した理由は、その大きさを活かせる製品としてノートPCへの応用を考えているのかもしれない。
たとえばASUSのZenbook Pro Duoシリーズはキーボードの上にサブディスプレイを張り付けている。つまりメインディスプレイとサブディスプレイの2枚のディスプレイを使い、表示エリアを広げているのだ。
ストレッチャブルディスプレイをつかえばメインディスプレイをそのままキーボードの上まで伸ばし、その部分をサブディスプレイとして使うことができるだろう。
あるいは柔軟性を生かしてノートPCの天板に貼り付け、閉じたままでも使える製品も考えられる。
ストレッチャブルディスプレイはこれまでのノートPCの形状を変えるものになるかもしれないのだ。

キーボード上にサブディスプレイのあるZenbook Pro Duo
実はLG以外のディスプレイメーカーもストレッチャブルディスプレイの開発は行っており、次世代のディスプレイとして期待がかかっている。
収縮自在なことから従来の常識では考えられない場所を表示エリアにすることができるため、応用事例は無限大の可能性がある。
・ロボットの顔に張り付けると、立体感ある間のような表情を再現できる
・人間の肌に張り付け、スマート医療への応用
・車や列車のシートの裏側全体を表示エリアにし、車内でのエンタメをより楽しくする
こんなことが可能になれば、我々の生活もより便利に豊かなものになってくだろう。ストラッチャブルディスプレイが商用化される日が待ち遠しいものだ。
執筆 山根康宏
