ACLの「秋春制」導入でJリーグの移行も本格化するのか? “障壁だらけ”なのは日本と他国で大きく異なるスポーツの捉え方にある
――◆――◆――
2023年からACLが秋春制に移行することになった。
当然Jクラブへの影響は小さくない。9月に始まるグループリーグ(GL)が12月まで行なわれ、ラウンド16が2月中旬から下旬、準々決勝が3月の開催になる。ワールドカップが冬に開催される今年は、11月の第1週にJ1が終わるが、例年通りならJクラブは12月と2月にACLの重要な試合を迎えることになり、オフの確保もコンディション調整も難しい。
ベスト8を懸けた一戦は、W杯の日本代表と同様に成否の分水嶺と見ることもできるが、この大切な試合には新体制で臨まなければならない。もし準備不足が露呈して劣勢が顕著になれば、春秋制への異議が再燃する可能性もある。
ただし、これまで何度も議論が繰り返されながら実現に至っていないように「秋春制」への移行は障壁だらけだ。何より英国で生まれたサッカーは、暑い時期を避けて行なう競技として世界に広まった。ところが学校単位の部活が軸を成す日本では、競技の特性を問わず夏休みに最も集中的に活動する習慣が根づいている。欧米の夏休みは文字通りバケーションに充てられるが、日本では勉強だけが休みになり、逆にスポーツは書き入れ時になってしまったわけだ。
ふたたび涼しくなってプレーに適した時期になり、やる気が満ちてきた頃に選手たちはピッチへ戻り、その頃に学校も始まる。オンとオフのメリハリがなければ、新しい技術も身につかない。また楽しいことを優先するから、得意なプレーを自覚主張し、伸びしろを残して武器を磨き上げていく。つまり根底に流れるのは合理性で、だからこそサッカーも最も質の高いプレーを引き出せて、ファンも満喫できる時期に行なわれている。
しかし日本の場合は真逆だ。欧州や南米などではスポーツを指導するのは「コーチ」だが、日本では多くの現場で指導者は「先生」になる。「コーチ」は選手が目ざす所へ導く手助けをする存在だが、日本の「先生」は道標であり、明白な上下関係が成立するので生徒は黙従が常態化してきた。
そして勤勉を美徳とする先生たちは、3年間休まず鍛え上げ、練習量で上回ることこそが勝利への道だと信じ貫いてきた。こうしてプロが誕生しても、疑うことなく真夏のナイトマッチが定着した。
夏にしっかりとリフレッシュできるかどうかで、身体の成長には大きな違いが出る。それを知りながら、日本サッカー協会(JFA)は依然として夏場に多種多様な大会を詰め込んでいる。8月上旬の日中は体温を超える酷暑に見舞われることもあるのに、インターハイ(全国高校総体)を勝ち抜くには、中1日で6連戦をこなさなければならない。ありがたい大会だという声をほとんど聞いたことがないが、それでもこうして世界が失笑する大会を放置している。
では夏に疲弊しながら活動している選手たちは、どうやって秋から春にかけて強度の高いプレーを続けるトップレベルに近づいていくのだろうか。高体連で常識外れの苦難を乗り越えてきた選手たちは、総じて「あの体験があったから今がある」と口にする。しかし日本人だけが「しごきに耐えると強くなる」という発言を裏づける根拠はどこにも存在しない。
