「ドミノそろそろ誰か死んじゃいそう」ドミノ・ピザ“激安キャンペーン”注文殺到で従業員たちが悲鳴 本社は〈反省〉と回答
6月23日から〈デリバリーでLサイズピザを買うとMサイズピザが2枚無料!〉という内容のキャンペーンを展開している大手宅配チェーン「ドミノ・ピザ」。このキャンペーンの“ハック術”がTwitterで大きな話題となって注文が殺到し、現場が大混乱に陥っていることが「週刊文春」の取材でわかった。
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ドミノ・ピザは米国発祥。1985年に“日本初の宅配ピザ”として上陸して以降、長年にわたり日本人に親しまれてきた。店舗数900を超える名実ともに業界ナンバー1の宅配ピザの最大手だ。
そんなドミノ・ピザで始まった“激安キャンペーン”に対し、全国の従業員たちから悲鳴が上がっている。
きっかけは、キャンペーン初日の午後にあるインフルエンサーが投稿したツイートだった。
〈最安のプレーンピザL2000を頼めば、例えば1枚2390円のピザ2枚が無料になって、一気に約70%offでピザ3枚が2000円になる〉
このツイートのリツイート数は6・6万、いいね数は26・6万にのぼった(6月27日時点)。多くの消費者が最近の物価高騰に苦しんでいることもあり、全国のドミノ・ピザに注文が殺到する事態となった。
東京都内の店舗でデリバリーを担当するアルバイトのAさんが語る。
「23日の夕方ごろから、最初のLをプレーンにするという“裏技”を使った注文が殺到し始めました。キャンペーンを行うという事前通達は、Workplaceという従業員用SNSに小さく記載されていただけ。当然、配達の人員も食材の確保もしていなかった。そんな中で注文が爆増したのです」
SNS経由で火が付いた“ハック術”は瞬く間に波及し、全国のドミノ・ピザに注文が殺到。現場は大混乱に陥ったという。Workplaceには、全国の従業員たちから窮状を訴える書き込みが無数になされた。
「いくら作っても足りないし。助けて」
〈ドミノそろそろ誰か死んじゃいそう〉
〈初めてデリバリーに行くのが怖いと思った〉
〈いくら作っても足りないし。助けて〉
こうしたコメントが相次ぎ、Workplace は“プチ炎上”。本社の社内広報担当者が〈「誰に何を伝えたいメッセージなのか?目的は?その表現がここで発するメッセージとして適切なのか?」掲載前に今一度考えてみてください〉とクギを刺す事態に発展した。
注文殺到を受け、ドミノ・ピザは「Lサイズ最安のプレーンピザをキャンペーンの対象範囲外にする」と発表。しかし、前出のAさんはこう語る。
「Lサイズのプレーンピザが対象外になったところで、店舗の体制は崩壊しています。食材が足りず、キャンペーンのMサイズピザの生地がない状況は変わらない」
6月27日午前、ドミノ・ピザにこうした従業員の声について見解を尋ねたところ、15時過ぎにホームページ上で〈ピザの生地およびピザボックスの供給が追い付かない状況〉になったとして〈63店舗でデリバリーを、25店舗で商品のオーダー受付を停止させていただいております〉と発表した。その後18時過ぎに次のように回答した。
「注文が殺到したあまりに…」
〈このキャンペーンは、初日にツイッターのトレンド入りし、予想をはるかに超える大反響をいただきましたこと、誠に感謝しております。しかし、一方で注文が殺到したあまりに、お客様へのお届けが追い付かないという事態を発生させてしまいました。
弊社では、過去に行った類似のキャンペンーンに基づき、予測を立てておりましたが、そのいずれのキャンペーンよりも、予測をはるかに上回る大きな反響があったものです。
その結果、一部の地域・店舗において、ピザの生地およびピザボックスの供給が追い付かない状況となっております。また、予測を超えたために、当初計画していた人員がフル稼働しても間に合わずに、お客様へのお届けが追い付かない状況となった店舗もあり、お客様にご迷惑をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。
ご指摘の通り、従業員からも、大変な状況でオペレーションに支障をきたしている旨の報告をいただきました。
このキャンペーンに関しましては、従業員にあらかじめ告知をしていたのですが、十分伝わっていなかった点もあるようで、一部の従業員から「キャンペーンについて事前に知らされていなかった」という指摘もいただいていることも、反省すべき点だと考えております。
このため、これらの事態を受けて、ただちに対策を講じ、翌24日午後5時からは、とりわけ注文が殺到する原因となっているLサイズのプレーンピザでのご注文を対象外とさせていただいたところでございます。
Workplaceは当社が全従業員と直接、双方向のコミュニケーションがとれるように用意している社内コミュニケーションのプラットフォームです。従業員の声はすべて直接経営陣に届き、問題に対して経営陣はただちに行動をとるなど、透明性のある組織運営に努めております。
今回の件におきましても、従業員からの声をいただいたことを受けて、ただちに対策を講じました。その上で、25日午後2時過ぎには、Workplaceにおいて、当社のCOOから全従業員向けに、従業員からの声を経営陣はしっかり把握していること、そして、その声に応えて対策を講じていることを伝えさせていただいてもおります。
もちろん、まだまだ十分な対策が取れていると考えているわけではございません。
「デリバリーLサイズピザを買うとMサイズピザ2枚無料!」キャンペーンについては、現在も引き続き、現状を把握したうえで対策を講じ続けているところです。すでに、一部店舗では、注文やデリバリーを停止する対応を講じているところでございます。
また、ピザの生地およびピザボックスの供給に関しては、現在、問題を早急に解決すべく対応にあたっているところです。さらに、人員面での体制も至急強化するように手配を進めているところです〉
このキャンペーンは7月3日まで続くという。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、大混乱に陥るドミノ・ピザ店内の様子や、従業員用SNSに綴られた窮状を訴える切実な声などを写真付きで詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)