【私の雑記帳】『財界』主幹・村田博文
武士道ならぬ『デジ道』で
そのデジタル化をどう進めていくか──。中国共産党独裁下の中国など専制主義国は上意下達で政府の命令一下、社会のデジタル化が急速に進む。
デジタル化のやり方にも、その国の有り様が関わってくる。デジタル化の進展で、一部の人は富み、そうでない人との格差も生ずる。日本はこの問題をどう考えるか?
米国も中国も、そうした格差が生まれるのは止むを得ないという空気があるが、日本は、「困っている人がいたら、助けていこうという精神です」と平井さん。
「これは、村井純さん(慶應義塾大学教授)とも話し合って決めたんですが、日本は『デジ道』で行こうと。困っている人は放っておかないということです」
新渡戸稲造の『武士道』は日本人の精神規範ということで世界に知られる。国民の中で、本人が忘れかけていた事も、こうなっていますよと政府の側から通知することを含めて、〝官〟の仕事をも促していきたいという『デジ道』である。
河北博文さんの行動
非常時体制をどう構築するかという命題──。日本は、有事での対応が鈍いことは、今回のワクチン接種でもはっきりした。
社会運営のガバナンス(統治)能力が弱いということだが、官(政府や自治体)が先導するのはいいとして、もっと民間の力を活用してもいいのではないのか。
地域医療の観点でみると、東京・杉並区は官民連携がうまくいった例。この地区には社会医療法人河北医療財団が運営する河北総合病院がある。同病院は407ベッドあるところを昨春、82ベッドをコロナ患者に振り向け、即応態勢を取った。
理事長の河北博文さん(1950年=昭和25年生まれ)は医療改革に熱心に取り組む医師としても知られる人。
軽症から中等症の患者を積極的に受け入れ、重症者も治療しているが、基本的に重症者は大学病院などの専門病院で診てもらえるような連携プレーを実行。
まず、地域医療の充実のために、河北総合病院と荻窪病院、佼成病院の地域の3病院が連携し、杉並区長に、「区民のために迅速な医療を実行していくので、区民病院として扱ってしい」という要請も行った。
区との連携、病院間の連携を病院経営者自らがリーダーシップを取って行動したということ。
河北さんは、「もう政治や行政が本当に人を紛らわせるような無駄をしないこと、そしてわれわれ(医療従事者や国民)は自分で考えて行動することが大事だと思っています」という考えを示す。
人が人らしく生きる、また、その人がその人らしく死んでいく社会をつくるにはどうすればいいか──。社会の仕組みの変革も必要だ。
「その人に寄り添う家庭医の存在が大事」と河北さん。コロナ後にもつながる医療のあるべき姿を求めて、今日も行動する河北さんである。
