「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「器(うつわ)」、「容器」「器量」の「器(キ)」。

(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年11月2日(土)放送より)



「器(うつわ)」という漢字の古い字体をよく見ると、四つの「口」という字に囲まれているのは「大」ではなく、「犬」という字です。

これは、戦後、漢字への十分な知識がないままに文字の形を改革したため、「犬」の文字から点が抜け落ちてしまったからだといわれています。

白川文字学によれば、この四つの「口」は、神への祈りの言葉を入れる箱。

「犬」は、祭祀や儀礼の際、神に捧げられたいけにえでした。

古代中国において「犬」は祓いや清めの力をもつ特別な存在だったといいます。

そこから、祈りの言葉を入れた箱を並べ、その真ん中に横たわる犬を描いた「器」という漢字は、

清められた神聖な「うつわ」を意味するようになったのです。

「君子は器(うつわもの)ならず」とは、論語の一節。

「器は用途が限られているが、人の上に立つ者は、決まった使い方しかできない人物であってはならない」という教えです。

でも、その実そこらのお偉がたより、ものを容れる器はまさに、「器が大きい」。

選び方や盛り付けで料理人の腕を底上げし、名も知れぬ花を、受け止めてくれる器たち。

エッセイストの平松洋子氏は、晩秋の小さな実や枝を楚々としたそば猪口に挿して想うのです。

「花や枝を受け止めて未知の輝きを放つ、それは“うつわ”というモノの生命力である」と。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……。

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)

     『買えない味』(平松洋子/ちくま文庫)

11月9日(土)の放送では「豊」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



----------------------------------------------------

【▷▷この記事の放送回をradikoタイムフリーで聴く◁◁】 http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7120

聴取期限 2019年11月10日(日) AM 4:59 まで

スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/)

※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。

----------------------------------------------------



<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜6:40〜6:45(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kanji/