ライバルと同じことをやっていては、企業間競争に打ち勝つことはできません。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、ダイソン日本法人初代社長ゴードン・トム氏へのインタビューを通じ、同社がいかにして日本の家電市場において躍進を遂げることができたのかを紹介。競争における差別化や独創的な取り組みの大切さを提示しています。

「ダイソン」躍進、その立役者が語る

「ダイソン。吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機」のフレーズで一世を風靡し、いまも人気の「ダイソン」。1999年に日本で発売された当初は認知はゼロ。しかも購入者からの評判も全くよくありませんでした。その状況から、ダイソンはいかに飛躍を遂げたのでしょうか。

「枠を破る」 ゴードン・トム(シャークニンジャ日本法人社長)

おかげで最初の数年間はとても勉強になりました。いただいた声を一つひとつ拾い上げたものをベースに、2年ほどかけて日本向けの商品を開発しましてね。

それを2004年の夏前に発売したあたりから、すべてがうまくいき始めたんです。

──商品開発以外でも、具体的に取り組まれたことはありますか?

もちろんその間にもいろいろチャレンジしました。例えば売り場における他社製品との差別化もその一つです。

そもそも日本の家電の中でも、掃除機ってそんなに重要な商品ではありませんでした。先端技術を要するわけでもないため、多少のモデルチェンジはあっても大きな変化がない状態が続いていたんです。

それだけに、掃除機売り場を遠くから眺めてみると、どれがどのメーカーの掃除機かが全然分からない。ただ置いてあるだけだから、全部がほとんど一緒にしか見えなかったんです。

そこで我われは売り場に投資をして、ダイソン専用の大きくて綺麗な什器を揃えました。スペースをしっかり取ることで、目立たせようとしたのです。

また、それに併せて各店舗にいる掃除機担当の店員さんへのトレーニングにも力を入れました。

──家電量販店の店員をトレーニングしたのですか。

どこもずっと同じような商品を出していたので、店員さんに敢えて商品の説明とか勉強会をする必要もなく、実際何もしていなかったと思うんです。

そこで我われはダイソンの新しい技術を店員さんに完璧に理解してもらえるようにと勉強会を始めました。とにかく真面目に丁寧に、時にはマンツーマンのトレーニングも交えながらコツコツやっていたんです。

そして、日本向けの新商品を売り出すタイミングで、全国ネットでテレビCMを打ったのも大きかったですね。しかも、可愛い奥様が掃除をするという定番ものから脱して、商品画像と機能を説明し、

ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機

というフレーズで締め括ったのもインパクトがありました。

こうした一つひとつの取り組みと相俟って日本向けの新商品が発売されたことで、一気に火がついたんですよ。

image by: ダイソン − Home | Facebook

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