漫画家江川達也が、6月18日放送の『明石家電視台』(MBS)に出演し、漫画家の苦労について語った。
 

 番組で江川は「編集者がボツを出すんですよ。特に『少年ジャンプ』なんかはすごい出されて。7日しかないのに4日くらいボツを出されると(描ける時間が)短くなる」と発言。

 このため「まず編集者と仲良くなろうとする」という江川は、「雑談を山ほどして、この編集者がどういう趣味なのか(頭に)入れておいて、編集が好むような漫画を描きながら、世間に売れるようにも描きながら、自分も満足できるものを描かなきゃいけないのが大変」と説明した。

 そんな江川だが「ちょっと古い漫画家なので、締め切りは必ず守る」がポリシーだ。ピーク時には週刊誌に3本同時に連載したこともあったが、締め切りを落とすことはなかったそう。

 連載はアシスタントを抱えてはじめて成立するものだが、江川は当時をこう振り返る。

「2日で20ページぐらいを1本描くんですけど、自分は人物を全部描いて、ストーリーも作って。背景はアシスタントに任せて。週刊(マンガ)1本で6人なので18人雇っていた」

 あるとき、締め切りを脅かす大事件が発生したという。

「アシスタントに目が届かなくなっちゃって、気付いたら15人辞めちゃった。(仕事は)しんどくもないんですけど、自分が朝型になっちゃって(生活が)どんどんアシスタントとずれていた」

 なんとか3人は辞めずに残ったが、当然同じ仕事量はこなせない。締め切りを守るために江川はある秘策を思いついたという。

「自分は締め切りがギリギリになってもあげるって考え方なので、背景をどんどん無しにして白くしていった。そのころは背景がすごい白い。『どこまで白くしたら読者が怒るか実験だ!』って(笑)」

 番組では「まあ怒られましたけど」とも明かしていた江川。休載すると読者はがっかりするものだが、そこまでしてでも締め切りにこだわる姿勢は、やはりプロである。