大久保嘉人。逆転ゴールが生まれた場面を振り返り「完璧にコントロール出来た。気持ち良かった」と手応えを口にした

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点の取り合いというシーソーゲームの末に逆転勝利を収めた日本だが、「これは我々のロジックではない」と試合後のザッケローニ監督に笑顔はなかった。それは選手も同様だ。吉田麻也が「先制点を取りたかったですし、こんなシーソーゲームになる展開は求めていない。内容も結果も質の高いものにしたい。ポジティブな点は後半に盛り返したことと、勝てたこと」ときっぱりと言い切った。

その原因を長友佑都は「立ち上がりから(みんな)身体が重そう。ここ3日間はハードなトレーニングでコートジボワール戦に合わせて上げたが、正直ここまで動けないとコートジボワール戦は厳しい」と分析していた。苦戦の原因は他にもある。前半の日本は攻撃陣がマイボールを失うことが多かった。それは「相手にさらしたボールをかっさわれた。感覚が違う」(吉田)。それでも吉田は「リーチの長さを経験できたのはいいこと」と前向きにとらえていた。

確かに褒められた試合ではない。それでもコスタリカ戦に続く逆転勝利は、簡単に勝負を諦めない選手のメンタリティの強さもあるだろう。そのベースとなっているのが選手の経験値でもある。例えばザンビア戦では、相手の1トップであるエマニュエル・マユカはサウサンプトン時代のチームメイトだったため、吉田は「スピードがありシンプルなプレーをしてくる。食いつき過ぎて裏を取られないようにしたい」と話していた。

実際、52分にはマユカに右サイドを崩されかけたが、カバーに入った吉田はマユカのフェイントにじっくり対処して、相手が抜きに来たところでブロックした。コスタリカ戦ではディアス(マインツ)に対し「知っている選手なので取ってやろうと出て行ったら、一発で裏を取られた」(内田篤人)と失敗もあるが、対戦相手のプレーを知っているのは大きなアドバンテージである。

攻撃陣も試合内容には満足していない。決勝点を決めた大久保嘉人は「青(青山敏弘)がずっと見てたらか、来るかなとためていた。よう出したな。出てこないと思った」と振り返りつつ、次のような注文をつけることも忘れていない。「出せばいいのに出さずに取られていた。当てれるんやけど、一発で逆サイドに出してミスしてリズムを悪くしてよる。当てるんなら当てて欲しい。(タテに)出せと言いました」と主張したことを明かしていた。

どんな試合も負けるよりは勝った方がいい。それも反省材料があればあるだけ、チームも成長できる。もちろん、その自覚が選手にあればという条件つきだ。これから疲労の回復に努めてコンディションを上げ、負傷者も戻り、攻守にコミュニケーションを図ってチームの完成度を高めていくことだろう。いまはまだピークを迎えていないだけに、逆にコートジボワール戦が楽しみになってきたタンパでのテストマッチだった。

【取材・文/六川亨】

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