「パパと比べられたくない」と言っていた「山崎武司」の長男 7000万円詐欺逮捕で分かった「父子の断絶」
セ・リーグでは中日が、パ・リーグでは楽天が、最下位をひた走っている。そんな両チームのファンをさらに意気消沈させる事態となった――。愛知県警中署は6月9日、詐欺容疑で山崎大貴(やまさき・だいき)容疑者(29)を逮捕した。彼は中日や楽天で活躍した“中年の星”こと山崎武司氏(57)の長男だ。
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大貴容疑者の逮捕容疑は、2024年11月19日、東京都中野区の男性会社役員(65)にSNSで「腕時計を預けてもらえれば海外のオークションで高値で売却できる」と言って、高級時計のパテック・フィリップ(時価685万円相当)を騙し取ったというもの。社会部記者が言う。

「代金が支払われないことから男性が問い詰めると、大貴容疑者は『名古屋市内の質店で換金した』と答えたそうです。警察の調べでは、時計を受け取った翌日には名古屋市内の質店に持ち込み、600万円で買い取らせたそうです。総額7000万円相当の被害相談があったとも聞きます」
これに対して山崎氏が代理人を通してコメントを発表した。
《この度は、息子大貴の件では、ご心配をおかけし、また関係者の方にはご迷惑をおかけすることになりかねず、心が痛みます。/警察から、息子大貴が逮捕されたとの連絡をもらい、ただただ焦燥に駆られており、全く言葉にならない心境にあります。/さて、息子大貴は、令和7年2月頃から行方が分からなくなっており、連絡もとれず、息子がどのような生活をしていたのかさえ全く把握していませんでした。/親の育て方や躾が悪いとの批判は免れないとは思いますが、大貴は既に29歳となっており、親としても全く把握していない息子についてコメントすることはできない心情をご理解ください。》
ネット上では「29歳なら成人。山崎さんは関係ない」と、もっともな声も少なくない。だが、ファンにとってはこの親子、美しい思い出があっただけにやりきれない思いなのだ。
生まれた長男のために
大貴容疑者が誕生した1996年当時、山崎氏は中日の選手だった。この10年前、ドラフト2位で愛工大名電から中日に入団したものの、活躍の機会はなかなか巡って来なかった。しかし、前年の95年に初の二桁本塁打を放ったことでレギュラーに定着。その期待通り、この年は9月までに35本塁打を放っていたが、頭部に死球を受けたのをきっかけに不調に陥った。そんな中、長男は生まれた。「チビのために打ってやりたい」との思いで打った36号は満塁弾となって復調。最終的には巨人の松井秀喜氏の38本を上回る39本を記録し、自身初の本塁打王となった。
スポーツ紙記者は言う。
「これから山崎の時代が始まると思われましたが、練習嫌いに加え“球界のジャイアン”とも言われた気の強さも災いし、2002年にはトレードでオリックスに出されてしまいます。03年にはチームの日本人選手の中では最多となる22本塁打を放ったものの、04年は成績もよくなかったことに加え、試合を放棄して帰ってしまった“ボイコット事件”を起こし、とうとう戦力外通知を受けてしまいました」
すでに32歳となっていた。引退も考え、意気消沈して自宅にこもる山崎氏に、長男が言った。
両リーグで本塁打王
「パパ、野球やらないの?」
「この一言に奮起して、翌2005年に誕生する東北楽天イーグルスからのオファーを受けました。本人も言っていますが、設立間もない楽天はクビになる選手の寄せ集めだったそうです。2年目の06年には野村克也氏が監督に就任し、いわゆる“野村再生工場”の楽天での第1号が山崎となりました」(スポーツ紙記者)
07年、39歳となった山崎氏は、43本塁打、108打点とキャリアハイの成績を残し、11年ぶり2度目の本塁打王に。両リーグでの本塁打王は、落合博満氏、タフィ・ローズ氏に続く3人目となった。まさに“中年の星”である。
「この年、山崎はホームラン1本につき10万円の“ホームラン基金”を始め、宮城県の社会福祉基金に430万円を寄附しました。この基金は08年も継続し、岩手・宮城内陸地震で甚大な被害を受けた栗原市に28本分の280万円を寄付しています。その感謝の意味を込め、栗原市は栗原野球場の愛称を『山崎武司球場』と命名しました。楽天での山崎はいわゆる単身赴任でしたが、小学生だった長男は何度も1人で仙台を訪れて父を応援していたそうです」(同前)
09年には39本塁打、107打点を記録し、球団史上初となるリーグ2位にも貢献。史上7人目となる両リーグでの150号本塁打も達成した。ところが、11年に再び戦力外通知を受ける。
引退には長男の手記も
「ここでも彼の引退に強硬に反対したのが長男でした。それで山崎も再び奮起したんです」(スポーツ紙記者)
2012年、古巣・中日に戻った山崎氏は、すでに43歳になっていた。
「“中年の星”といえども活躍とまではいかず、翌13年に引退を決意。引退試合には長男も駆けつけ、始球式を行いました」
翌日のスポーツ紙には長男の手記が掲載された。
《ちょうどナゴヤドームで試合見に来ていたときかな。7月26日の巨人戦のあと。試合が終わってずっと待っててやっと来たと思ったら「2軍落ちだわ」って。帰りの車で「2軍落ちしたから今シーズンでやめるわ」。家に帰るまでお通夜みたいだったね。交流戦の時に1軍に上がったとき、次に2軍落ちたらやめるって話はしてたよね。だから2軍落ちっていうことはどういうことかは、家族みんな分かってたよ。/これまで数えきれないくらい大貴君は野球やらないの?って周りから聞かれたけど、なんでやらなきゃいけないのって思ってた。比べられたくないって。パパも「野球しろ」とは一切言わなかったよね。自分の好きなことを貫いて稼いで、ここまできたというのはすごいと思う。尊敬する人は?って聞かれれば父と答える。僕が一番のファンだと思う。/いつか来ると思ってたけどやっぱりつらいね。シーズンを全うするまでは言わないでおこうと思ってたからようやく言える。27年間、本当にお疲れさまでした。これからも何らかの形で野球で関わりながら仕事をする姿を見せてほしい。1年間、家族のためにゆっくりっていうのはいいから。とにかく仕事です!/(長男 山崎大貴)》(日刊スポーツ:2013年10月6日付)
ファンにとっては忘れがたい親子であることが伝わるだろうか。その長男が詐欺容疑で逮捕されたというわけだ。地元記者は言う。
「大貴容疑者は父と同じ愛工大名電には進んだものの、手記にもあるとおり野球はやりませんでした。その後、現役を引退した父のマネージャーを務めたりもしていましたが、彼自身も“戦力外通知”を受けてしまったようです。その後、連絡が取れなくなってしまった……。よりによって、なぜ腕時計なのかという声も地元ではあります。父の山崎氏は高級時計のコレクターでもあり、こちらでは高級ブランド買い取り専門店のCMにも出演していましたからね」
因果な息子である。
デイリー新潮編集部
