北中米ワールドカップに向けてメキシコ・モンテレイで事前キャンプを行った日本代表の森保一監督が7日、U-19日本代表とのトレーニングマッチを終えて報道陣の取材に応じ、事前キャンプで相次いだ練習場の変更について「逆にアクシデントがあったのが良かった」と振り返った。

 2日夕にモンテレイ入りした日本代表は当初、3日夕からティグレスのクラブ施設で始動する予定だったが、ピッチ状態の悪化で練習場の変更を決断。同日は地元の医大施設を使用したが、こちらもピッチが固くケガのリスクがあったため、4日からの2日間は地元の名門モンテレイのクラブ施設に移った。6日は初めてティグレスの施設を使用したが、この日のトレーニングマッチでは再びモンテレイの施設に戻り、事前キャンプを締めた。

 6日間で3つの練習場を渡った事前キャンプ。それでも森保監督は「違うピッチでトレーニングしなければいけないこともあったけど、これは試合(大会中)でも起こり得ること。日常の中でも想定外が起きた時、どう落ち着いて対応できるかはオン・ザ・ピッチでもオフ・ザ・ピッチでもチームの状態を整えていくために大切なこと」と言い、本大会でのアクシデントも想定した上で「選手たちが落ち着いて与えられた環境の中で、自分たちがいまできることをやって次につなげていくというのができたことが、逆にアクシデントがあったのが良かったことかなと思う」と前向きに振り返った。

 就任からの8年間、アクシデントのたびに「臨機応変」「ポジティブ変換」といった言葉を強調してきたが、W杯を目前に控えてもその姿勢を貫いた形。アメリカでも気候や交通などのアクシデントに見舞われる可能性も低くないなか、「これからスムーズにいけば、またスムーズに行ったことがよりありがたく感じると思うので、そういう意味でも良かったと思う」と冷静に語った。

 練習場のトラブルに関してはチームスタッフへの感謝も口にした。

「3か所で練習をしていたが、ティグれすがダメだった時に他の選択肢が持てるというところ、即座に準備してもらえるところは協会の事務方の頑張り。現地のコーディネーターがいて、その方々とこれまでも密に連絡を取り合って、想定外が起きた時に素早く対応できるようコミュニケーションを取って、情報をやり取りしてくれていたことで、その時の一番いい環境で練習をさせてもらうことができている」

 さらに森保監督は「一番練習の回数が多かったモンテレイの方々も日本代表チームの受け入れを歓迎してくださって、アクシデントが起きた時に自分たちがなんとかしようという心意気を見せてくださって、対応してくださって本当にありがたい。ガタガタのグラウンドで事前キャンプを終わらせて、クオリティー的に上げられなかったということが起きてもおかしくないなか、モンテレイの方々にもお世話になった。すごく手厚い、温かいサポートを受けたと思うので、クラブの方々、対応してくれた方々にも感謝申し上げたい」とモンテレイへの感謝も述べた。

 一方、モンテレイで事前キャンプを張った効果もあった。今回の事前キャンプの最大の目的は、同所で行われるグループリーグ第2戦・チュニジア戦と、1位通過の場合のラウンド32に備えるため。森保監督は「(アクシデントは)試合でも起こり得ること」と述べたが、チームは試合前々日から同地に入るため、警備体制や人々の習慣なども含めたメキシコ特有のムードを体感できたのは大きなメリット。また試合が行われるBBVAスタジアムはモンテレイのクラブ施設に近い芝を使用している点も優位に働きそうだ。

 加えて一つの大きな目的だった「暑熱順化」という観点では、想定よりも気温が上がらない日もあったのは事実だったが、最終日のU-19日本代表戦では「今日はすごく暑い中でトレーニングマッチができた」と森保監督。「選手はすごくキツそうだったけど、暑い過酷な環境の中で我々がしっかりプレーできるかというところから、より環境の良いところではさらにコンディションを上げられるという考え方のもとで(モンテレイに)来た。暑い中でのゲームもフィジカルトレーニングの一つだと思っていたので、いいトレーニングマッチができた」と振り返りつつ、「暑熱対策という部分で暑さに慣れる、湿度に慣れるという部分で十分できた」と手応えを口にした。

 チームはあす8日にベースキャンプ地のナッシュビルに入り、現地で公開練習を実施。そこから14日の初戦オランダ戦に向けての調整が始まる。森保監督は「ここからコンディション的に100%上げていくには疲労が一回蓄積しているので、明日移動して、明後日は(オフで)ゆっくりして、一回リフレッシュしてW杯開幕に向けて100%の状態を作っていければ」と先を見据えた。

(取材・文 竹内達也)