タンス預金が母の死後に見つかり、家族の誰もその存在を知りませんでした。親戚に「遺産分割の前にきちんと整理しないと危ない」と言われたのですが、現金が後から出てきた場合はどう進めるのがよいのでしょうか?

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遺品整理の最中にタンス預金として保管されていた現金が見つかることがあります。タンス預金が見つかったとき、どう対応すればよいか分からないという方もいるでしょう。   そこで、母の死後、遺産分割前にタンス預金が出てきたという事例をもとに、タンス預金と相続について考えていきます。

タンス預金も通常通り遺産として扱うのが基本

家族の死後、その方の管理していた現金が見つかった場合、その現金は基本的に遺産として考える必要があります。いわゆるタンス預金も遺産分割の対象としなければならず、遺産分割の前か後かは関係ありません。
間違っても、遺産分割を経ないまま見つかった現金を勝手に自分のものとしてしまったり、その場にいた人で分けてしまったりしてはいけません。
また、相続手続きのための支出に使うこともできる限り避けるべきでしょう。なぜなら、目の前にある現金は動かしやすいだけに、「相続手続きのために使っただけ」といった事情が、あらぬ疑いの原因になり得るからです。
遺産分割前であれば、相続手続きのために使ったり、現金を動かしたりする場合においても、関係する他の相続人に速やかに連絡したり、後からの説明や遺産分割に備えて、金額や見つかった状況などを記録して残しておいたほうが安心です。

具体的にどう分けていけばいい?

まだ遺産分割協議をしていない段階であれば、タンス預金を見つけた後の対応は非常にシンプルです。見つかった現金を他の預貯金や不動産などとまとめて、相続人全員で遺産分割することになります。他の財産と比較して、後から見つかったからといって特別扱いするわけではありません。
一方、すでに遺産分割協議が終わっていた場合は少し注意が必要でしょう。この場合においては、遺産分割を最初からやり直したりする必要はありません。協議をする際は今回見つかったタンス預金についてのみ、遺産分割をすればよいのです。
もちろん、相続人全員の同意があれば遺産分割協議を最初からやり直してもよいですが、手間も時間もかかることが考えられるため、あまりおすすめはできません。

相続税についての取り扱いは?

もうひとつ重要なのが、相続税の取り扱いです。相続税の申告と納税をまだしていないのであれば、見つかった現金も含めて相続税を計算する必要があります。それによって相続税が生じるようであれば、必要に応じて申告と納税も行います。
もし、すでに申告書を出した後に現金が見つかった場合であれば、その分をあらためて申告するわけではなく、すでに行った申告と納税について修正する修正申告を行い、訂正するのが原則です。
間違ってもそのまま放置してはいけません。なぜなら、相続税の申告と納税は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければならないのですが、その期限を過ぎると延滞税が生じることになるからです。
なお、相続税には基礎控除額が設けられており、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除額を超えた部分に対して課税されます。つまり、少なくともタンス預金を含め、遺産の総額が3600万円を超えない限り相続税は発生しないのです。

まとめ

母の死後にタンス預金が見つかった場合、その現金は相続財産として扱うのが基本です。誰も知らないタンス預金は現金だからバレないだろうと、曖昧な処理をすることは避けましょう。そういった行為は不要な争いなどを招く可能性があるため注意が必要です。
また、場合によっては相続税が発生したり、その納税額が変動したりすることもあり得ます。もし相続にあたり、タンス預金の扱いについてどうしたらよいか分からない場合は、まずは亡くなった方の死亡時の住所地を管轄する税務署へご相談ください。
 

出典

国税庁 相続税の納付
執筆者 : 柘植輝
行政書士