女性ケアワーカーの深刻な実態を語る佐々木委員長(右)ら(5月25日都内/榎園哲哉)

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医療・介護・福祉に携わる女性ケアワーカーの労働状況について日本医療労働組合連合会(日本医労連)は5月25日、都内で会見を開き調査結果を公表。妊娠経験のある看護師の4人に1人が流産しているなど、深刻な実態を伝えた。

背景には妊娠中でも深夜業務を行わざるを得ないなど人員不足があるとして、国民の健康と命を支える現場に「崩壊が起きつつある」と改めて警鐘を鳴らした。(ライター・榎園哲哉)

7割超が離職を考え、6割が慢性疲労

調査は、全労連女性部が昨年4月から7月にかけて実施した「女性労働者の労働実態及びジェンダー平等・健康実態調査」と「妊娠・出産・育児に関する実態調査」の二つで、それぞれ3217人、892人が回答した。同調査は1992年から5年ごとに実施されており、今回で8回目。

日本医労連の佐々木悦子委員長は会見の冒頭、「母性保護制度(※)が活用できない、健康を害しながら休むこともできずに働かざるをえない、多忙で賃金も低く辞めたいと思いながら働いている、そうした職員の割合がほかの産業と比較しても多いということが明らかになった」と、厳しい実状を語った。

※時間外労働・休日労働・深夜業制限等の妊産婦を保護するための各種制度

調査結果からも、女性ケアワーカーの労働環境が深刻な状況にあることがわかった。

「疲れが翌日に残る」「いつも疲れている」といった慢性疲労を訴える人は合わせて61.8%に達し、5年前の前回調査から4.9ポイント増加した。

また、仕事を「いつも辞めたい」「ときどき辞めたい」と考えている人は合わせて73.8%に上り、前回より2.5ポイント増加。理由として最も多かったのは「多忙で身体的・精神的にきつい(50.8%)」だった。

さらに、約4割(39.2%)が月経過多や無月経などの月経異常を抱えており、約7割(67.2%)が鎮痛剤を服用しながら勤務していることも分かった。

生理休暇を「とっていない」人は84.2%で、「時々とっている(7.1%)」「毎潮とっている(8.1%)」を大きく上回った。

妊娠していても3人に1人は深夜業を免除されず

特に深刻な実態が明らかとなったのが、妊娠期の健康リスクだ。

流産経験について、「あり」と答えた人は26.3%で、前回調査より4.9ポイント増えた。

回答者829人のうち、流産経験が1回の人は162人、2回は47人、3回以上も25人いた。

背景として、妊娠中の過酷な勤務が指摘されている。

妊娠経験のある看護師のうち、深夜業(22時~翌朝5時)を免除されなかった人は31.2%に達した。

免除されなかった理由としては、「免除できることを知らなかった(12.8%)」「多忙・代替者がいなく請求しなかった(8.9%)」などが挙げられた。

一方で「請求したが認められなかった」という回答も1.8%あり、日本医労連は「労働基準法66条に抵触している」と強く非難した。同条は、使用者は妊産婦から請求があった場合に深夜業をさせてはならないと定めている。

日本医労連の齋藤由美子委員は、「安心して妊娠を継続できる環境が、命を守る医療現場にもかかわらず十分に整っていない」と訴えた。

全国の7割の医療機関で人員が足りていない

会見では、地域医療の現場からも声が上がった。

全国の国立病院などでつくる全医療労働組合の松本よし子副委員長は、人員不足から育児中の職員にも「1回でも2回でも、とお願いしている」と夜勤を強いる実態や、職員が足りずに患者の入浴回数を減らすなどサービスの質が低下している現状を報告した。

山梨県医労連の三森幹生書記長は、「社会保障は国が担うものであり、女性の犠牲の上に成り立つものであってはならない」と言葉を強めた。

前出の佐々木委員長は、夜間の勤務が妊娠中の体に大きな負荷をかけると説明し、「人間の生体リズム上、本来であれば寝ている夜間に仕事をしていることは体にとても負担が掛かっている。流産につながっていると思う」と、深夜業と流産の関係性に言及した。

また、全国の約7割の医療機関で人員が不足しているとし、「医療崩壊、介護崩壊が現実のものとなっている」との認識を示した。

日本医労連は、人手不足の根本的な原因は低賃金にあるとして、「診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の10%以上の引き上げ」を国に求めている。

佐々木委員長は、「看護師や介護職員の深刻な人手不足で地域の医療や介護が守れなくなってきている。働き続けられる労働状況の改善が喫緊の課題だ」と訴えた。

■榎園哲哉
1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。