「長崎のために優勝したい」“最強の矛”を封じられるも熊谷航がのぞかせた自信と覚悟

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 Bリーグ王者を決める極限の頂上決戦は、異様なまでの熱気をまとっている。


 チャンピオンシップ初出場で初優勝を狙う長崎ヴェルカは、今レギュラーシーズンでリーグトップとなる平均91.2得点の攻撃力を発揮。「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」では琉球ゴールデンキングスに2試合連続で60点台に封じられながらも、1勝1敗に持ち込んで最終戦へと望みをつないだ。


「僕たちはオフェンスのチームだと言われがちですけど、やっぱりディフェンスのチームだと思っています」


 そう口にするのは、今シーズンから長崎のポイントガードを務める熊谷航だ。


 5月23日の第1戦、チームは第1クォーターで9-20と出遅れたことが大きく響いて2点差で敗れた。それでも第2クォーター以降のスコアでは琉球を上回り、「最初は気負っている部分があった」という熊谷も、第2戦での巻き返しへ感触をつかんでいた。


「オフェンスで周りをオーガナイズしながら、ドライブで行くところとパスをさばくところをうまく使い分けられました。スタンリー(ジョンソン)やJB(ジャレル・ブラントリー)にパスをさばけてた時間帯は、いいショットが生まれていたので後半は手応えを感じました」


[写真]=B.LEAGUE


 負ければ終わりのGAME2、長崎は修正力を示して横浜アリーナに青い波を巻き起こした。


「リバウンドだと思います」。初戦であと一歩足りなかった点を問われた熊谷は、間髪入れずに答えた。GAME1では琉球に21本のオフェンスリバウンドを奪われ、リバウンド争いで33-50と後手に回った。だが、翌日は37-40と肉薄。馬場雄大がその先陣を切り、全員でボールに飛び込んだ。熊谷もその変化を手応えとして語った。


「オフェンスではもちろん早いペースに持っていきたかったですけど、まずはリバウンドを取ることが重要でした。昨日の試合では3人だけがリバウンドに入る状況でしたけど、今日は5人全員が入っていったことでオフェンスが遅くなってしまった部分はあります。個人的にはもう少しアーリーで攻めたいなとは思っていましたけど、セットオフェンスでどこを狙うべきかは明確にできていたので、そこはよかったと思います」


 背番号11は5アシストに加え3つのリバウンドをマーク。得点では第1クォーターにコースト・トゥ・コーストでレイアップを決めると、第2クォーター中盤には3ポイントシュートでチームの膠着状態を打破した。

[写真]=B.LEAGUE



 一方、反省すべき点もある。マイボールで始まった第2クォーターには、最初のボールエントリーでターンオーバーを犯した。最終クォーターは開始早々に4つ目の反則を取られ、試合時間残り5分36秒を残して無念のファウルアウト。司令塔を失った長崎の隙を試合巧者は見逃さない。琉球のプレッシャーディフェンスに苦しみ、あわや逆転まで追い詰められた。


「もう仲間に託すしかなかったです。本職のポイントガードが出ていたわけではないので、やっぱりああいう場面では自分がコートに立たなければいけないと思っています」


 初の大舞台での経験、悔しさ、手応え。すべてが熊谷航を、長崎ヴェルカをGAME3へと駆り立てる。


「こういう舞台でプレーできていることに感謝して、長崎のために優勝したいなと思います。最高の景色をマサさん(狩俣昌也)と一緒に見たいです」


 着用していたフェイスガードは、GAME1の前半のうちに外した。悲願達成をさえぎるものは、もう何もない。

[写真]=B.LEAGUE



文=小沼克年