東大五月祭「爆破予告」中止による「模擬店の赤字」問題…騒動に巻き込まれた東大生たちの「悲痛の声」【学生自治による学園祭の限界】

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【前編を読む】「現役東大生たちに聞いた「参政党の評価」が意外だった…東大五月祭騒動への「率直なホンネ」

突如発表された入場規制

今月16日、東京大学の学園祭「五月祭」が爆破予告により異例の中止となった。

その当日、一体何が起きていたのか。

五月祭前日の5月15日19時57分、参政党の講演会に申し込んでいた記者のもとに右合の衆から当日のオンラインパスがメールで送信された。

Xには、想定の2倍を超える応募があったことが伝えられており、この講演に対する反響の大きさを物語っている。

5月16日、講演開始は12時10分であったが、受付開始が11時30分であったため、もって11時50分ごろに大学に到着するように家を出た。

しかし、本郷キャンパスに向かう道すがら、右合の衆からXにて「緊急のお知らせ」が発表された。安全確保を理由に、受付の開始時間が延期されたのである。

11時50分ごろ、法文1号館に到着したが、周辺は講演を待ち望む人々で溢れていた。しかし、講演の無期限延期が発表されたにもかかわらず、再開の目処や中止になるのかの判断が下されなかったため、法文1号館周辺は人で溢れていた。

確認することができたのは、キャンパスを闊歩する「排外主義反対」のプラカードを掲げる行進と、正門前で参政党の講演に対する抗議の演説をする人々である。

また、X上では講演が実施される予定であった法文1号館の教室を塞ぐように座り込みを行う人々の様子を確認することができた。

講演の延期が発表された直後、記者は正門の前で抗議活動をしていた方に話を聞くことができた。

Q.どのような集まりなのか?

A. 今日集まったメンバーは何らかの団体組織ではなく、私の呼びかけに応じた有志の集まりである。参政党だけでなく性差別や虐殺、イスラエルに対しての抗議運動の呼びかけも行なっている。

Q.参政党の講演が学園祭で実施されることに対してどのように考えているか?また、反対を強行することで言論の自由に奪うことにははならないのか?

A. ヘイトスピーチによる人権侵害を行なっている人物や団体に対して、言論の自由や表現の自由が許容されることはあってはならない。参政党はヘイトスピーチによって明らかに人権侵害を行なっており、五月祭での講演に対して反対することは、言論の自由と全く矛盾しないと考えている。

寛容のパラドックスという考えがある。積極的な排除を求める人々にまで言論や表現の自由を認めてしまうと、集団に属する全員が排除される可能性に晒される。社会や組織の維持のために、不当な排除を主張する人々は批判・排除されなければならない。

五月祭の中止が発表された瞬間

右合の衆がXで講演中止を発表したのは13時5分であった。参加予定者は講演の延期発表から1時間ほど待たされたことになる。

講演が中止されたことで、次の予定まで時間が空いた記者は、学外の喫茶店で時間を潰していた。初夏の訪れを感じるほどに暑かったので、体温を下げるために好きでもないアイスコーヒを飲んでいた。1時間ほど時間を潰していると、驚愕の連絡を受けた。五月祭の全企画の一時停止である。

企画停止の知らせを受けたのは14時30分ごろであったが、企画を運営する団体には14時前には停止の旨が知らされていたようだ。参政党の講演に関わる安全上の問題(現時点ではこれが爆破予告であると報道)が理由であるが、ボヤ騒ぎとの噂もあった。それにしては人の流れは絶え間がなかったようで、安全管理上の問題点は指摘せざるを得ないだろう。

キャンパスには入れそうであったため、14時50分ごろに大学に戻ろうとしたが、やたら帰路につく人が多かった。何か大きな問題があったのかと疑問に思いながらキャンパスに着いたところ、五月祭1日目の中止が発表された。これが15時ごろの出来事である。

どの門の前でも、五月祭実行委員会が五月祭中止の旨を伝えながら来場者に帰宅を促していた。しかし、関係者面をすれば門の中に入ること自体はできており、そもそも企画に携わる学生は15時以降も大学内に残れており、緊急性が高かったようには思えなかった。

学園祭を奪われた学生たち

五月祭が中止になったことで、実際に学生たちは何を思っていたのか。

文科三類1

Q.1日目が中止されたことで金銭的な被害は生じたか?

A.我々の模擬店は日を跨いで保存ができる飲料を扱っており、2日目の暑さも追い風して売り切ることができた。そのため、中止による被害は限定的だった。意外と2日目の売り上げで赤字を回避した団体が多く、赤字の団体は中止がなくても黒字化は難しかったのではないかと思った。

Q.五月祭が中止されたことに対してどう思うか?

A.たった一つの企画が原因で五月祭が潰されたことに対する怒りを覚える学生は多い。爆破予告犯だけでなく、企画者のリスクヘッジ、五月祭実行委員会の対応に対しても煮え切らない部分がある。参政党の講演が中止されたのが13時であるにもかかわらず、五月祭の中止まで2時間かかった対応の遅さには疑念が残る。

文科一類2

Q.模擬店は赤字になったか?

A.1日目の最も売上が期待できる時間に企画が停止されたことや、1日目の在庫を2日目に持ち越すことができなったため、赤字になった。同様のケースで赤字になった団体は多いだろう。

Q.五月祭で音楽公演を行う予定であったが、中止になったことによる影響や周囲の学生の反応はどのようなものだったか?

A.我々は企画の一時停止が発表された後に集合したが、企画の停止について現実味が湧かなかった。何が原因で企画が停止されたのかも分からず、錯綜する情報に惑わされた。五月祭公演の代替となる演奏会を企画することになり、冷静に前を向けているメンバーも多い一方、講演の機会を奪われたことに対してショックを覚える者も多い。

五月祭常任委員会と大学の限界

東京大学は五月祭1日目の中止を受け、当日に声明を発表している。

この声明から分かることは、五月祭に関して大学はほとんど決定権を有していないということである。そもそも学園祭は大学ではなく学生主体の五月祭委員会が自主的に運営するため、当然のことではあるのだが、爆破予告に対して、大学ができることはほとんどなく、あくまで学園祭を実行する五月祭常任委員会にしか中止の判断は下せないのである。

文学部心理学専修4年の学生はこの声明に対してこう述べる。

学生・教職員・来場者の生命に関わる今回の事態において、大学が五月祭委員会の対応を追認するにとどまり、注意喚起や安全確保の方針を十分示さなかったことに疑問が残る。

大学は、社会的責任を負う独立した存在として、迅速かつ明確な対応を取る必要があったのではないか。授業料値上げをめぐって学生自治の危機が叫ばれたことは記憶に新しいが、今回は逆に学生団体に大学の安全管理まで委ね、本来負うべき「大学自治」の責任を放棄しているようにも見える。

一方で、東京大学大学院総合文化研究科教授の斉藤渉氏はこう述べる。

現在の学園祭は、どの大学であれ学生自治を原則としており、爆破予告という特例においても大学の介入という例を作ってしまうと、学生自治の原則を壊しかねない。仮に大学当局が介入できる余地を設けるのであれば、現在のような学園祭の形式は維持できなくなるだろう。

参政党の講演が図らずとも招いてしまった爆破予告に対して、大学における学生自治や学園祭の形が見直されるべきである。

爆破予告という予測不可能な暴力が多くの学生や来場者の思いを踏み躙ったことは否定することができない。爆破予告犯は当然罰される必要がある。一方で、現在も情報は錯綜し続けており、事実関係は曖昧なままである。関係者には適切な情報開示が求められるだろう。

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