オールインワンキーボード「EliteBoard G1a」を使って気づいたキーボードのポテンシャル。ただし、多くの人はノートPCで十分なのだけど
HPが2026年頭に発表したなかなか強めのアイテム。それは全部入りキーボード。見た目はキーボードだけどパソコンというアイテムです。
日本でも「HP EliteBoard G1a Next Gen AI PC」という製品名で展開。価格はざっくり50万弱なのですが、本日(5月19日)時点で、HP公式サイトにてモデルによっては60%オフというとんでもないセールが開催されています。
移動が多い人向けには、ノートPCに代わる新たな選択肢となるのかも。実際、使ったらどうなんでしょう。ノートPCでいいやってならないのでしょうか。
以下、米Gizmodoによるレビューをお届けします。
もう15年以上前のこと、PCメーカーのAsusが、フルパソコンをキーボードに突っ込むというユニークなアイデアを実際に形にし、画面もついたドデカキーボード「Eee Keyboard」という品を出したことがありました。あれから月日が流れ、今度はHPがそれをより洗練させた形で実現しました。
先に言ってしまいますが、月日が経ってもパソコンフルつっこみのキーボードは一般向けのアイテムではありません。たぶん、これを読んでいるほとんどの人にとっては不要のアイテムでしょう。HP EliteBoard G1aはコアなプロダクトに違いありませんが、世界中の全員がデスクトップ・ノートPC使いとは限らないのもまた然り。
僕がレビューしたモデルは、AMD Ryzen AI 7 370 Proプロセッサ搭載で、メモリも容量もアプグレされたもの。となれば、当然、通常のパソコンタスクは問題なし。タイピング感も非常にいい。パソコンというものを従来のイメージにとらわれずに考えるとなれば、これは1つの正解でしょう。新しいパソコンの形に間違いないのでしょう。
早い話が画面なしのノートパソコンじゃないの?
結論から言うと、結局はディスプレイとトラックパッドのないノートパソコンでしょ? ポートの数が少ない(後述します)ミニパソコンでしょ?って話になりますし、まぁ、そうです。
小さくて、キーボードに全部入りされてるので、デスク上のスペースは節約できる。約680グラムなので、(画面がない分当然ですが)大抵のノートPCの重さ半分ほど。持ち運びが手軽とはいえ、マウスやドングルは必要。ポータブルモニターまで持ち歩くならノートパソコンの方がいいです。
では、どういう人向けなのか。家とオフィスで、ほぼ同じデスク環境を再現したい人向け。または、デスク上のスペースが限られている人向け。いずれにせよ非常にニッチなターゲット層となります。
ポート2つって…
使ってすぐ気づく最大の欠点。それは、このキーボードにはUSB-Cポートが2つしかついていないこと。モニターに繋いだらもう1つしか残りません。そう、パソコン全部載せキーボードとはいえディスプレイはないので、どうしたって外部モニターが必要になります。
2つのUSB-Cは、1つがデータ転送速度40Gbps、もう1つが10Gbps。USB/HDMIのドングルが同梱されており、このドングルは電源、Ethernetなどとも接続可能。(ThunderboltなどUSB-C対応のモニター使用の人は直接接続可能。)
同梱物は、他にHP 675マウスとキャリーケースもあって、これがなかなかいいです。ワイヤレスマウスやドングル用のポケットがついているのが使えます。右にはフルテンキーあり。
タイピング感サイコー!
パソコン全部入りでも見た目はキーボード。こちらの感覚としても主にキーボード。となれば、大切なのは打った時の感覚。EliteBoard G1aはこれが非常にいい! タイピングの音は静かなのですが、キーを打ったという感覚がしっかりあり、これはタイプミス防止に繋がります。
すごいなと思ったのは熱処理。キーボード内部のヒートシンクがしっかり仕事をしており、タイピングしていて指先がCPUによる熱で熱い、あったかいと思うことはありませんでした。
キーボードの底(裏)にはネジがあり、これを外すと中の部品にアクセス可能。各パーツが層になってうまく詰め込まれており、下にはヒートパイプが走っているのが見えます。このスペースにパソコンパーツ全部いれて、熱の処理するとは、HPの技術力と知識の大集合を感じました。
EliteBoard G1aにディスプレイはないですが、スピーカーはついているんです。ただ、1Wが2つで下向き(ダウンファイアリング)なので、サウンドに期待してはダメ。音量100%なら周りが少々うるさくてもなんとかなりますが、サウンドクオリティも音量も平均以上にはありません。
ちょい前チップでも性能は十分
僕がレビューしたEliteBoard G1aは、前述したとおりオプションアプグレされており、容量は2TB、メモリは64GB。チップはAMDのRyzen AI 7 370 Proチップ。HPいわく、このチップは効率の良さを買ったとのこと。最新チップではないものの、一般的なパソコンと比べても性能にひけはとりません。が、当然、最新チップと同等とはいきません。
Ryzen 7 370 Proは、AMD Ryzen AI 7 350搭載のFramework Laptop 13よりは性能が上。Geekbench 6のマルチコアテストでは、AMD Ryzen AI 9 365搭載のRazer Blade 14より10%弱速い結果となりました。
Intel最新のCore Ultra Series 3チップ搭載マシンやAppleのM5チップ搭載MacBookと比べてはダメです。Geekbench 6のスコアだと、マルチコアでMSI Prestige 14 Flip AIの方が19%上だし、15インチのM5 MacBook Airの方が21%ほど上なので。また、Blenderテストでは、Intel Core Ultra X7 358H搭載のDell XPS 14よりも、EliteBook G1aの方がレンダリング時間が30秒長い結果に。
GPU性能では、Ryzen AI 7 350 Pro&Radeon 860Mのコンビでは、IntelやApple、Qualcommの最新スペックに太刀打ちは不可能。
こう書くと、性能が悪いように聞こえますが違います。最新チップと比べたら酷だという話なだけで、基本的なタスクは問題なく、十分仕事のできる端末なことは間違いなし。ライト使用前提ではあるものの、簡単な動画編集や負荷軽めのゲームも問題なし。
ちなみに、デフォルトでHPのソフトがいろいろプリインストールされていますが、Wolf Securityはメモリは食うもののパフォーマンスには大きな影響はありませんでした(プリインストールソフトウェアを消去する前後でベンチマークしてみた)。
EliteBoardのその先にあるもの
できる=すべき、ではない。キーボードにパソコン詰め込めるからってそれが多くの人にとって正解かはまた別の話というのがEliteBoard G1a。ただ、ユニークであるという存在価値があり、例えばDIYコミュニティではいろんなもの(デスクやクマのぬいぐるみなど)をPC化しています。
EliteBoard G1aは、この薄く小さな箱にすべて詰め込めるということを証明するガジェット。キーボードという薄い板の可能性を広げるアイテム。冷却システムをさらに効率アップさせれば、よりスペックの高いCPU/GPUを積めるかもしれません。
総評
パソコン要素を詰め込んだキーボード。間違いなく、デスク上のスペース節約にはなります。マジョリティではないものの、オフィスにも家にも外部モニターを設置しており、ノートパソコンの画面はサブ、または見ていないという人もいます。EliteBoard G1aはまさにそういう人に刺さるアイテムであり、ノートパソコン買うより安くて軽くていいよねという話。
ただ、大多数はノートPCまたはミニPCでいいわけであり、レビューした上でやっぱりノートPC買う方がいいよと、ほとんどの人にアドバイスすることになります。ノートの方がいいのはやはりその汎用性。家やオフィスに外部モニターがあったとしても、もしカフェで仕事しようとなったときに、外部モニターまで持っていくのはツライもん。
いいところ:タイピング感最高、安定した性能、ヒートシンクが仕事してる、キャリーケースがいい
残念なところ:ポートが2つしかない、プロセッサがちょい古い割には高い、デザインがふつー、スピーカーがいまいち
Source: HP

