「ゴルフ場=自然破壊」と思い込んでしまっている人へ…相次ぐ閉鎖で進む「跡地メガソーラー化」と「里山崩壊」の知られざる現実

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25年間で約2割も減少

一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会によると、2026年1月の速報値で全国のゴルフ場数は1996である。統計の取り方により多少の違いを生じるようだが、2000前後であることは間違いなさそうだ。

2002年には2460あった。だが、この年をピークに年々減り続けている。スポーツの多様化や若者のゴルフ離れ、高齢化などによるゴルファーの減少に加えて、接待やコンペ需要の低下もある。さらに最近は夏の酷暑でプレーを控える動きも出てきた。一方で物価高によるコスト増や人手不足も直撃している。

筆者は、2000年代によくゴルフ場の取材を行った。テーマは場内の自然なのだが、その際にゴルフ業界の関係者から経営環境が厳しいことを聞かされた。裕福な人が行うスポーツで設備も豪華に見えるゴルフだが、その実態は建設費と維持・固定費が大きいわりに売上規模は中小企業並なのである。しかも景気や気象などによる変動要素が大きい。

当時「500くらいは余剰。その分を減らさないと経営は安定しない」と聞かされたのだが、いよいよ「500コース減少」に近づいたことになる。

ならば「これで経営は安定する」と残ったゴルフ場経営者は喜べるだろうか。あるいは「ゴルフ場は自然破壊」という否定的な意見の持ち主からすれば、ゴルフ場が閉鎖されたら本来の自然にもどると見込んでいるのか。

残念ながら、それほど単純ではない。ゴルフ場の減少は、それ自体がゴルファーの減少につながるから、業界全体の縮小を招きかねない。またゴルフ場のある地域は中山間地が多く、その存在は自治体の財政や域内経済、そして雇用にも強く関わっている。

固定資産税の減少や、地元で調達していた資材や食材などの消費も消えてしまう。働く場を失うことで、その土地を離れる人も増えて過疎化を進めるかもしれない。

ゴルフ場が森林を増やしている研究結果も

筆者が心配するもう一つの事象は、ゴルフ場が支えていた地域の自然が崩れることである。広大な面積を占めるゴルフ場は、実は周辺の自然にも大きな影響を与えている。そのことを知るべきだ。

かつてゴルフ場の建設を自然破壊だとして反対運動も多かった。たしかに建設時は里山を削って地形や植生を変えてしまう面もあった。しかし完成して何年も経てば、むしろ安定した自然環境が成立しているはずだ。日本のゴルフ場の全面積は約20万ヘクタール前後にもなり、大阪府の面積を超えている。これだけの広さの自然に関わるのだ。

まず大前提として知っておいてほしいのは、ゴルフ場面積の約半分(4〜6割)は、残置森林であることだ。開発時から手を付けないで残している。そして建設後に造成された森林もある。決して全面積に芝生を張っているわけではない。

調査によると、フェアウェイやグリーンなどプレーに供する土地は、ゴルフ場の敷地面積の2割程度だった。加えてラフは、グリーンのように刈り込んだ芝生ではなく丈のある草を生やすので自然の草原に近い環境だ。ここに野の草花が育つことも少なくない。また池や小川など水辺も設けられているが、それらは景観を演出するだけでなく、さまざまな生き物の生息の場となる。

実はゴルフ場建設前の里山と建設後の植生の比率を調べたところ、ゴルフ場ができてからの方が、森林比率は増えていたことを示す研究結果がある。なぜなら建設前は草も生えない荒地だったところに森林をもどしているからだ。

里山というのは、必ずしも豊かな森林に覆われているわけでなく、過度な伐採が行われていたり、崩落地なども放置されていたりする。ゴミの不法投棄も目立つ。それをゴルフ場として囲い込んだことで整備が進むとともに、新たな開発行為が行われないことで環境が保たれるのだ。

人の手が入るという点は重要だ。里山とは、常に耕作や林内の間伐、水路の整備などを行うことで成立した自然だが、近年は中山間地の過疎化、そして農林業の衰退で放置されることが増えていた。ゴルフ場の経営は、その代替的な役割を果たしている。コースの景観を維持し、プレーを邪魔しないように草刈りや間伐、剪定、排水・散水などを不断に行っているからだ。

ゴルフ場が二酸化炭素削減に貢献

加えて森林、草原、水辺……といった環境がモザイク状に配置されたゴルフ場は、生き物には非常に恵まれた土地である。それぞれの環境に適応して多様な生き物が生息できる。希少な鳥類や昆虫、両生類、草花の繁殖地になっているケースもあった。周辺の開発が進んだ地域では、ゴルフ場がそうした生き物の隠れ家的な役割を果たしている。

しかし、コースには莫大な農薬が撒布されているのではないか、それが環境を破壊していると疑う声もある。それも誤解だ。撒布される場所はほぼ芝生だけであり、森林部分は手つかずだ。しかも面積当たりの撒布量は一般的な農地よりも少ない。農薬成分が場外に流れ出さないことも定期的な水質検査で確認されている。

ところが閉鎖されると、手が入れられなくなることで自然は変異していく。閉鎖ゴルフ場を追跡調査した記録によると、芝生は消えて外来草本が繁茂したかと思えば、すぐに枯れて別の植生に移っていくことを繰り返し、なかなか安定した自然にならないそうだ。ときに荒れた元ゴルフ場で繁殖した害虫が周辺の農地を襲う心配も起きる。

ゴルフ場の環境機能をもっと見直し、上手く利用することを提案したい。

ゴルフ場を閉鎖して放置するのではなく、ゴルフ場の営業を維持しつつ、環境を意識した経営を続けた方が、地域の環境にも経済にも優しいはずだ。

縣和一九州大学名誉教授によると、2014年の全国のゴルフ場2276の敷地の森林や芝生が吸収する二酸化炭素は、年間約411万トンになるという試算を発表している。ゴルフ場が減少している今は、もう少し縮小しているだろうが、決して少なくない。

この二酸化炭素の吸収機能の点に目を向けて、努力するゴルフ場もある。たとえば琵琶湖カントリークラブは、域内でカーボンニュートラルを達成している。遊休地や建物の屋根にソーラーパネルを設置して発電することでクラブハウス内に電力を供給するほか、木質燃料によるボイラーも備えて光熱費を削減しつつ二酸化炭素を削減した。

同時に場内の森林が吸収する二酸化炭素をJクレジット(省エネや再生可能エネルギー、森林吸収分など削減した温室効果ガス、とくに二酸化炭素を数値化して国が認証したもの。クレジットは環境価値を求める企業などと売買できる)化して芝刈り機やガスボイラーなどが発生させた二酸化炭素分を相殺している。

農業や林業への参入も

ゴルフ場がJクレジットを登録申請するケースは増えている。広い樹林帯を抱えるゴルフ場にとって、その樹木が吸収してくれる二酸化炭素を売り物にできれば経営的にもプラスだし、「エコなゴルフ場」としてPR材料にもなるからだ。

なおJクレジットを獲得するには森林整備を行うことも重要となる。登録されるためには森林経営計画を作成しなければならないし、間伐や造林などの計画も必要となるからだ。そして森林整備を進めれば域内の生物多様性も増す……というよい循環も起きている。

生物多様性の高い土地であると証明できると、自然共生サイトへの認定を受けることも可能となる。自然共生サイトとは、国連の生物多様性条約に基づく「30by30」(2030年までに陸域と海域の30%以上を健全な生態系として保全しようとする国際的な目標)に合致する土地を環境省が認定する制度である。国立公園や法律で定めた保護区などとは違って民間が維持している地域を指定するものだが、ゴルフ場の自然も対象になるのだ。

群馬県の軽井沢高原ゴルフ倶楽部は、昨年3月、自然共生サイトに認定された。11月に栃木県のロペ倶楽部が、今年3月に富山県のゴルフ倶楽部ゴールドウインも認定された。ほかにも認定をめざすゴルフ場は数多い。

そうしたゴルフ場は、自然保護団体と協定を結んで、域内の環境を守る活動を行っている。すでにゴルフ場と自然保護団体が敵対するのではなく協働する時代になっている。

ゴルフ場は、域内の環境のみならず地球環境の改善を牽引する時代になりつつあると言えるだろう。

もちろん、すべてのゴルフ場が環境に配慮しているとは言えないし、経営が厳しいところもまだまだ多いだろう。

ゴルフ場を閉鎖し、跡地にメガソーラーを設置する動きも各地で起きている。敷地の一部ならともかく、数十ヘクタールもの敷地に何千何万枚のソーラーパネルを並べたら、景観を悪くするだけでなく、降水が地面に吸収されなくなるため防災面でも危険であることが指摘されている。また域内の動植物の棲息地を破壊して生物多様性も保てないだろう。

ほかにも跡地に産業廃棄物の処理場を建設する動きもある。地元には望まれない土地利用になってしまいかねない。

一方で、ゴルフ場の環境に着目して新規事業を展開する例もある。比較的多いのは農業や林業への参入だろう。遊休地や隣接地を利用して農作物を栽培するほか、森林整備で出る広葉樹材から薪を生産し、薪ストーブユーザー向けに販売するような事業もある。ほか乗馬クラブの併設やウォーキングコースの設置、アウトドア施設を設けたところもある。

ゴルフ場を地域の自然の核としつつゴルファーの満足を得て、地域社会と共存共栄を図ることを期待したい。

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