◆◆「億」を超えて見つけた、唯一の贅沢

 莫大な富を手にしても、彼の生活の根底は変わらない。1万円かかるならタクシーではなく電車を選び、高級腕時計よりも「投資家仲間との対話」に価値を置く。

 主にXで株式投資の情報を発信・共有しあう個人投資家を「株クラ」(株式投資クラスタの略)と呼ぶ。STFさんの自宅には、そんな株クラのスゴ腕投資家たちが集まって決算を研究し合ったり、オフ会を開いて食事を楽しんだりしている。

「株をやっていると、今の仕事とか住んでいる地域も違う人が集まり、人生の過程がまったく異なる人と交流できる。

 一種の社会人サークルのようなもので、がんばっている人や成功した人とお互い刺激をもらえ、吸収しながら、大きな損失を抱えてツラいときには痛みを分かち合ったり(笑)。株クラの仲間は、同じ相場という戦場で戦う戦友のような存在。株がきっかけで知り合えるこのコミュニティは大きな楽しみのひとつですね」(STFさん)

 80億円という頂に到達してもなお、STFさんは相場の荒波に身を投じ続ける。それはもはや、数字を増やすためではない。不確実な未来を自らの力で読み解き、仲間と共に歩む「過程」こそが、お金以上の“価値”なのかもしれない。

【プロフィール】STF
会社員だった2010年に100万円で株式投資を始め、運用資金を750万円にまで増やしたが、翌年3月の東日本大震災の影響により運用資産を125万円に減少させるという経験を持つ。この経験から「利益の半分を出金するルール」を設け、好決算銘柄を中心にポートフォリオを組む投資スタイルを確立。その後、試行錯誤を経て2013年に資産1億円を達成し、2017年には10億円に到達。2018年に退職し独立し、2021年には資産を30億円に拡大。現在では総利益80億円超を達成したカリスマ個人投資家。自宅には全国のスゴ腕投資家が集まり、いつしか「BAR STF」と呼ばれるようになった。

<取材・文/横山 薫(扶桑社) 撮影/星 亘(扶桑社)>