加速する嫌われ者。アメリカのデータセンターで年間の温室効果ガス排出量がヤバい
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データセンター建設には、音楽やスポーツのように分断しているアメリカ市民を一致団結させる力があるのは間違いなさそうです。あちこちで起こってる反対運動がハンパじゃありません。
現在、全米で3000を超える新規データセンターが建設中または計画中です。
Wiredの新たな報告によると、ガス火力発電所や発電機で稼働するたった11カ所のデータセンターから、年間1億2900万トン以上の温室効果ガスが排出される可能性があるのだとか。
データセンター11カ所の排出量は日本の8分の1相当
これを国に換算すると、モロッコの排出量を超えるレベル。日本の排出量(2023年)が10億1700万トンなので、アメリカの新規大規模データセンター11カ所の排出量は、日本の8分の1に相当します。データセンター11カ所だけで、です。
建設中と計画中をあわせると、データセンターはあと2990カ所増えるんですよね…。
Wiredが調査したデータセンター計画が必要とする電力の多くは、広範な電力網を通すことなく、直接データセンターに供給する発電所を経由する見込みです。
データセンターの事業主体にとって、急増するデータセンターに対応するために自前の発電所を用意するのは、人気のある選択肢になっているそう。その背景には、送電網への過度な負担や、ビッグテックの進出で地域の電気料金が高騰することに対する住民の反発があります。
トランプ大統領は企業に対し、送電網への接続を避けて、インフラの費用を自己負担するように求める大統領令に署名しました。といっても、法的拘束力がないので、効果があるかどうかはかなり怪しいです。
データセンター急増で天然ガスブーム到来
こういった流れが重なって、データセンターの近隣に発電所が建設されるケースが増えています。しかも、建設や拡張が迅速に行なえるという理由から、燃焼時に汚染物質を排出する化石燃料由来の電源に依存しています。
Wiredは、データセンターとの抱き合わせで天然ガスのブームが到来していると指摘します。そして、同誌の調査で、大手企業のデータセンター計画は、温室効果ガスの大量排出につながりかねないことが判明しました。
テキサス州におけるMicrosoftのたったひとつのデータセンターだけで、年間1150万トンも排出するそう。また、テキサス州とニューメキシコ州にまたがる「スターゲート」プロジェクトは、毎年2400万トン以上のCO2を排出する見込みとのこと。
許可なし大量排出も可能?
注意点として、ここで使っている排出量の数値は、「企業が排出を許可されている量」であって、必ずしも実際に排出されるわけではありません。ただ、需要が増加するにつれて、データセンターは他の事業よりも上限まで排出量を引き上げがちだそう。そして、ここも大事なんですけど、企業が排出量の上限を順守することを前提にしています。
つまり、排出量の上限に関する許可を得て、それを守ることが大前提なんですね。
で、ここで悪いお知らせが。イーロン・マスクのxAIは、テネシー州メンフィスにあるコロッサスデータセンターにおいて、許可を一切取らずにガス発電機を稼働させて訴えられました。誰も調べなかったら、黙って汚染物質を排出し放題になりかねない状況なんですよね。
排出量増加を住民は止められるか?
天然ガスの需要と消費が伸びているのは、疑いようがありません。アメリカエネルギー情報局(EIA)は、2025年の天然ガス消費量が過去最高を記録したと報告しています。
また、非営利団体のGlobal Energy Monitorは、アメリカが新規ガスプロジェクトの開発規模で中国を抜いて世界最大になったと報告しています。その多くは、現在進行中の大規模なデータセンター建設ラッシュがけん引しているようです。
アメリカ中の地域社会から反対されていることなんてどこ吹く風です。
ゼロカーボンの実現を誓約したはずの企業が、いまや史上最高レベルの温室効果ガスと大気汚染物質を大気中に吐き出す許可を求めるのは、皮肉でもあり、アメリカらしくもありますね。
温室効果ガスの排出量は、形だけでも上限が決められていますけど、水については、ルールもなければ、報告義務もなく、いったいどのデータセンターがどこでどれくらい水を消費しているのかサッパリわからない状態です。テキサス州ではやっと州議会が重い腰を上げましたが、規制できるかどうかは不透明です。
Reference: 環境省
