写真でわかる脅威の柔軟性…U-18侍ジャパン候補合宿に密着「″センバツ不出場″高校BIG3」真価

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才能も意欲も十分

日本中から選抜された41人の高校球児のなかでも、真っ先に目に飛び込んできたのは鮮やかなクリーム色のユニフォームを着た小柄な選手の俊敏な動きだった。かつては甲子園でPL学園と激闘を繰り広げ、近年は山本由伸(ドジャース)が通った宮崎の古豪・都城の高田瑛大(えいだい)だ。奈良県で行われたU-18日本代表の候補合宿に、岡田龍生監督(東洋大姫路)は甲子園出場経験のないこの右投げ左打ちの無名遊撃手を参加させた。

【都城】高田瑛大(3年)名手・牧原大成2世

「三振しないことが自分の武器だと思っています。この身体(172cm、70kg)ですから、パワーはないんですけど、ミート力には自信があるし、けっこう走れると思う。50mは6秒ちょうどです」

とにかく野球センスの塊だ。速球派投手のボールに食らいつき、軟投派の緩い変化球を広角に打ち分けていく。遊撃を守れば鋭いゴロの打球を簡単に処理し、捕球から送球への所作に無駄がない。岡田監督は合宿を通して印象に残った選手として高田の名を挙げ、二塁や一塁に加え外野も守る機会を与えた。将来は福岡ソフトバンクの牧原大成のようなユーティリティープレイヤーになり得る逸材だ。

「守備は子供の頃から(同じ都城高校出身の)お父さんに鍛えられてきたんですけど、まだまだです。合宿に参加していた投手の中でも、織田(おだ)(翔希(しょうき)、横浜)や末吉(良丞(りょうすけ)、沖縄尚学)は宮崎にいないタイプ。キャプテンとして都城を27年ぶりの甲子園に出場させて、同世代の選手と全国の舞台で戦いたい」

以前、都城のグラウンドを訪ねると、監督室に昨シーズンのワールドシリーズMVPに輝いた山本由伸の色紙が飾られており、そこには「練習あるのみ!」と書かれていた。

「自分もそれを肝に銘じて、いつか先輩と同じ舞台に立てるように……」

すでにプロ志望届提出を明言し、育成からでも這(は)い上がる覚悟はできている。

手応えあり

もう一人の未知なる怪物候補は藍色のユニフォームを着て、やはり目を引いた。高岡第一(富山)の″ベビーフェイス″左腕・前田侑大(ゆうと)だ。175cm、70kgと細身ながら、出所が見にくいコンパクトなフォームが特徴の北信越ナンバーワン投手だ。この春、前田の球速は大台を突破した。

「3月の練習試合で150km/hが出ました。投球フォームに僕自身はこだわりはないです。リズムを大事にしていて、テンポ良く投げることだけ意識しています」

指先にかかった時のボールは1分間の回転数が最高で2400を超え、平均でも2300台中盤というプロでも一握りしかいない領域に達している。合宿では打者8人に対し、4三振を奪った。華奢にも見えるのになぜ良質の豪速球を投げられるのか--そう問うと「わかりません」と笑った。並外れた身体の柔らかさも要因だろう。冬はウエイトトレーニングに力を入れたが柔軟性は失わなかった。

「可動域が広がって、それで腕のしなりも生まれているような気はしています」

昨春の合宿では同じ富山から江藤蓮(現・上武大)が参加し、評価を高めるや未来富山を夏の甲子園初出場に導いた。

「富山では抑えられるけど、この合宿のシート打撃では少しでも甘く入ったら打ち返されてしまうし、自分の変化球がまだまだだと痛感しました。ただ、真っ直(す)ぐが通用することは自信になりました」

将来的なプロ入りを目指しているが、プロ志望届の提出は決めていないという。

「夏までに自分の将来を見極めたいです」

センバツを制した大阪桐蔭の192cm左腕・川本晴大と共に、2年生ながら参加した投手が北海の森健成。昨年のドラフトで広島から1位指名された平川蓮の父親で、U-18日本代表では投手コーチを務める北海の平川敦監督の推薦もあったのかもしれない。昨年夏の甲子園では1年生で先発のマウンドに上がり、147km/hを計測する衝撃のデビューでファンとスカウトの耳目を引いた。

「1年生の夏から大舞台を経験できたのは大きかったですけど、そのあとは結果が伴わなかった。まだ2年生ですから、球速はもっともっと伸びると思う。プロには大学進学を経てから行きたい」

2泊3日の合宿中、センバツの胴上げ投手となった同学年の川本とは、あまり話す機会がなかった。

「普通にでかくて、緊張して怖くて(笑)。とにかく、日本を代表する選手たちと合宿したこの春を夏につなげたい」

センバツに出場した球児ばかりが高校野球の主役ではない。今は無名でも、灼熱の夏に爆(は)ぜる可能性を秘めた球児は全国にいる。

【高岡第一】前田侑大(3年)

【北海】森 健成(2年)目指すは155km/h!

『FRIDAY』2026年5月1・8日合併号より

取材・文:柳川悠二(ノンフィクションライター)