1993年、「夏目雅子ひまわり基金」発足の記者会見に臨んだ田中好子(右)と夏目の母親・小達スエさん

写真拡大

【写真】一世を風靡したキャンディーズ、そして悲しみの葬儀

“義理の妹”は夏目雅子

 2011年4月21日、キャンディーズのメンバーとしてデビューし、後に女優として活躍した田中好子が死去した。55歳の若すぎる死。1985年に急性骨髄性白血病で逝った夏目雅子とは親友の関係にあり、夏目の死後に結婚した相手は夏目の兄だった。田中の没後15年に際し、2人の縁と生涯を「週刊新潮」のバックナンバーで振り返る。

(全2回の第1回:以下「週刊新潮」2011年5月5日・12日号「『夏目雅子』と『田中好子』」を再編集しました)

 ***

左手にはアクアマリンの指輪

〈雅子ちゃん。ようやくお兄ちゃんと結婚することができました。弟の敏昭さんも今年、プロゴルフのテストに合格しましたよ。あなたのおかげで、みんながいい方向に向かっている感じです。本当にありがとう。これからお義母さんの健康管理は、私の役目だから、任せてね〉

1993年、「夏目雅子ひまわり基金」発足の記者会見に臨んだ田中好子(右)と夏目の母親・小達スエさん

 1991年9月2日、山口県防府市のとある古刹。女優・田中好子は、ひまわりが咲き乱れる境内の墓前で手を合わせると、胸中で感謝の思いを語ったという。そこに眠る義妹、夏目雅子に向かって。この時、田中の左手薬指には、生前、夏目が母親に贈り、夏目の死後、譲り受けたアクアマリンの指輪が光っていた。

――それから20年後、テレビや新聞が大震災と原発危機のニュース一色に染まる2011年4月、それはあまりに唐突に飛び込んできた悲報だった。田中好子の、乳がんによる急死(享年55)である。

19年にわたるがん闘病

 彼女が伊藤蘭、藤村美樹とともに結成したキャンディーズで一世を風靡、人気絶頂の77年、突然、「普通の女の子に戻りたい」と解散を宣言したことはご存じの通りである。翌年、後楽園球場で行った解散コンサートは5万5000人もの観客を集めて、いまだに業界関係者の間で伝説となっている。

 その後、女優として芸能界に復帰した1980年から、彼女の人生は、1つ年下の女優、夏目雅子と不思議な縁で結ばれていたようだ。

 田中が死去した4月21日、夏目雅子の実兄である夫の小達一雄氏(56)は沈痛な表情を浮かべ、病院内で会見を行っていた。

 会見によると、最初のがんが田中を襲ったのは、19年も前の1992年のこと。病気は公表せず、左胸の腫瘍を切除したという。その後、右乳房にもがんができ、これも手術で除去するなど幾度かの再発に苦しみながらも、早期発見で一命をとりとめてきた。

最期を看取った親友2人

 しかし、2010年10月から体調を崩し、2011年2月には、がんが肺や肝臓など多臓器に転移していたことが判明し、ついに帰らぬ人となったのだ。

 4月24日、青山葬儀所で営まれたお通夜に姿を見せた伊藤蘭(56)は涙をこらえ、伏目がちにこう語った。

「私が病気を知ったのは3年前です。ちょうど1カ月前、私と(藤村)美樹に『来てほしい』と連絡が来て、その時にもう長くはないことを知りました。最後の日は、小達さんから『家族の一員だから』と、病室に入れてもらい、一緒にいました。最期の瞬間まで彼女の名前を呼び続けたんです」

 2人の親友と最愛の夫に看取られて、夏目雅子のいる世界に旅立ったわけだが、その彼女が小達氏と結婚する縁をとりもったのも夏目だった。冒頭で紹介したシーンは、夏目の七回忌の際、小達家の一員となった田中が初めて夏目の墓参りに赴き、墓前で結婚報告を行った時のものだ。

「好子ちゃんは無二の親友よ」

 夏目と田中が出会ったのは、1980年。芸能界に復帰した田中にとって、初めてのドラマ出演となる「虹子の冒険」(テレビ朝日系)で夏目と共演し、撮影現場で親しくなった。

「夏目さんは、スーちゃんがすでに歌手として大スターだったのに、偉ぶらず、むしろ周囲に遠慮がちで、繊細だったことに好感を覚えたそうです。初めてのドラマで悩んでいたスーちゃんに色々、アドバイスして、励ましの手紙なども送っていました」(芸能記者)

 確かに、七回忌の際に開かれた「偲ぶ会」では、田中自身が当時、夏目から応援の手紙をもらったことを明かしている。曰く、

「雅子ちゃんとは会った瞬間から気が合うなと思いました。ドラマの仕事で戸惑っていた時に、いただいた手紙には〈スタッフの名前を覚えなきゃダメよ。落ち込むことは簡単。とにかく前向きにいきましょう〉って、書かれていました」

 この頃、夏目は家族に、「好子ちゃんは無二の親友よ」と語っていたという。そして2人は互いの自宅を行き来するようになる。

 ***

「うちのお兄ちゃまなんかがいいんじゃない」――。第2回【没後15年「田中好子」、親友「夏目雅子」との深い縁…共通する「女優」「略奪婚」「結婚1年後のがん発症」】では、夏目の死後に訪れた出会いと結婚、その後の修羅について報じている。

デイリー新潮編集部