徳島市のワシントンヤシ 知られざる歴史に迫る【徳島】
徳島市は、市が管理する「ワシントンヤシ」の一部を2026年度中に伐採する方針を示しています。
県民にとっては、おなじみの光景となっているワシントンヤシ。
その知られざるヒストリーに迫りました。
(記者)
「南国ムードを演出する、徳島おなじみのヤシの木ですが、この風景も変わるかもしれません」
徳島の玄関口で、おなじみの光景になっているのが、このワシントンヤシです。
阿波おどり会館前にある8本が、2026年10月以降に伐採される見通しとなりました。
街の人は…。
(県外出身の大学生)
「最初来た時、南国なんかなと思って。本州出身なんですけど、本州ではそんなに見ないなって」
(街の人は)
「切るの?残しておいた方がいいんじゃない?やっぱり徳島らしいし」
(街の人は)
「ちょっと寂しいような気もするけど、時代の流れで仕方ないかもしれない」
「古くなっているのだったら、そこは仕方ないのかな」
(記者)
「なんでヤシの木なのか?徳島にというのは?」
(街の人は)
「いやそれはちょっと存じない」
「僕も分からないです」
「なんでなんですかね」
いったいなぜ、ヤシの木が植えられたのでしょうか?
その謎を明らかにするため訪れたのは、旧県庁のたたずまいを現在改装工事中の、県立文書館です。
今回謎を明らかにしてくれるのは、県立文書館の春名紘彰主事。
(記者)
「徳島駅前に植えられているワシントンヤシなんですが、いつどうして植えられることになったんでしょうか?」
(県立文書館・春名紘彰 主事)
「昭和28年に徳島県で国体が開催されることをきっかけに 、旧県庁にあったワシントンヤシに白羽の矢が立ちまして、移植されることになりました」
謎に迫る本と行政資料が、文書館に残されていました。
(県立文書館・春名紘彰 主事)
「ワシントンヤシの移植について、当時の様子が記されている資料になります」
昭和28年に発行された「徳島の文化」
県林業公社の専務理事をつとめた人物による、ワシントンヤシの記録です。
(記者)
「そもそも、どうして県庁に植えられることになったか、分かりますかね?」
(県立文書館・春名紘彰 主事)
「昭和4年に現在の庁舎が、これは今の県庁の1個前の県庁の庁舎になるんですけど…」
1930年に旧県庁が新築された時、鉄筋づくりの当時ではモダンな建物に相応しい植樹を県庁職員は考えました。
そこで徳島駅前に住む、新居さんという人が南方原産の珍しい植物を育てていると聞き、50本を買い取り、県庁の正面と西側に植えたそうです。
(県立文書館・春名紘彰 主事)
「ただ当時の土木課長から『名前も分からないこの木をここに植えるのはどうなのか』とクレームがあったようでして」
「中庭にどうやら移植されているようです」
(記者)
「確かにこちらの絵、旧県庁ですが、ワシントンヤシ描かれてないですよね」
(県立文書館・春名紘彰 主事)
「そうですね、この絵には確かにワシントンヤシ描かれていないように見えます」
そして1953年、四国で初めて国民体育大会が開かれた際、全国各地から訪れる選手を華やかに迎えるため、駅前を南国情緒豊かな大木で飾ろうと、県庁から移植することになりました。
本の中にはヤシを「馬車でことこと運んだ」という記述に対して、当時の写真には確かに、馬がヤシを引いている姿が映っています。
県庁に植えられたワシントンヤシが、国体を期に駅前や中心市街地に、そして徳島の馴染みの光景へと広がっていったのです。
(県立文書館・春名紘彰 主事)
「97年、戦前からずっと徳島の復興だったり発展をヤシの木が今もなお見ている、見届けられているのかもしれない」
一方で、台風の時には高さ20メートルを超える木は大きくしなり、葉の管理が困難となってきたり…。
2025年夏には老朽化を受け、樹齢90年を超える木に対して安全確認の調査が行われたりと、その対応は模索が続いています。
今回、伐採が決まった阿波おどり会館前は今後、交流広場などとして活用が検討されています。
管理する各部局に対応を呼び掛けてきた、市の危機管理担当者は。
(徳島市危機管理課・吉田浩章 課長 )
「南海トラフ巨大地震の被害リスクを考えた時に、樹高が20メートルを超えるような高さのワシントンヤシに対して、適切なリスク管理をお願いした」
「全てがなくなるわけではないと恐らく思われますので、適切な管理をしてもらえると、残すという手段も考えられる」
「所管部局で考えてもらえたら」
時代の流れによって変わっていく街の景色。
私たちも関心を持って見守りたいものです。
こちらが、徳島市中心部に植えられたワシントンヤシの位置を示したものです。
120本植えられています。
青色が県、赤色が市の管轄です。
そして、県や市の中でも担当部局が違うという状況です
今すぐ倒木するという状況ではないものの、やはりワシントンヤシは樹の高さが高くなりすぎていて、葉を伐採するためのクレーンも届きにくくなっているようで、非常に管理が難しくなっています。
それぞれに樹齢などを調査していて、今後どうするか検討中だということです。
