世界有数のオンライン通販サイトとして君臨するAmazonは、自社プラットフォームを利用する独立系の販売業者に対し、他のプラットフォームより安い価格で販売するよう求めていたとして捜査や訴訟の対象となっています。アメリカのカリフォルニア州が起こした裁判で提出された文書から、Amazonによる価格操作戦術の一端が明らかとなりました。

Newly unsealed records reveal Amazon’s price-fixing tactics, California attorney general claims | Amazon | The Guardian

https://www.theguardian.com/us-news/ng-interactive/2026/apr/16/amazon-price-fixing-california-lawsuit

カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は2022年、Amazonが不正競争防止法などに違反する反競争的契約行為により競争を阻害し、価格上昇を引き起こしたとしてAmazonを提訴しました。

カリフォルニア州の主張によれば、Amazonは自動化ツールを用いて自社プラットフォームを利用する販売業者を追跡し、競合サイトでの価格設定がAmazonを下回っていないかどうか監視しているとのこと。そして、Amazonは競合他社よりはるかに高い手数料を徴収しているにもかかわらず、Amazonで競合サイトより高い値付けをしている業者に価格の引き下げを求めていたそうです。

Amazonの商品ページには以下のような「カートボックス」が存在し、ユーザーはここから商品をカートに追加したり、今すぐ購入したりできます。Amazonは自社プラットフォームで競合サイトより高い価格を付けていた販売業者に対し、カートボックスの利用資格を剥奪することでその販売業者の商品を「他の出品者」欄に送るというペナルティを与えていました。Amazonはオンライン通販において支配的な地位を占めているため、カートボックスからの排除は販売業者にとって大きな痛手となります。



新たにボンタ司法長官は、自分たちの主張を裏付ける社内メールや証言記録、機密扱いのプレゼンテーションといった証拠資料を裁判所に提出しました。イギリスの日刊紙であるThe Guardianは証拠資料の一部を入手し、かつては黒塗りされていた部分などについて精査を行いました。

Leveretという衣料品会社のオーナーであるメイヤー・ハンドラー氏の証言では、Amazonは2022年10月にLeveretの「トラをモチーフにした幼児用パジャマセット」をカートボックスから排除したとのこと。これは、ウォルマートで販売していた価格がAmazonで販売していた価格より、わずか1セント(約1.6円)高かったせいだそうです。

The Guardianの質問に対しハンドラー氏は、Amazonがインターネット全体で製品価格を追跡し、自社製品をブロックしたと批判しました。ハンドラー氏はAmazonのこうした戦術が消費者からより安い価格の製品を奪っていると指摘し、「もしかしたらこれが資本主義なのかもしれませんし、独占企業が消費者に価格高騰をもたらしているのかもしれません」と述べました。

また、ペンシルベニア州の園芸用品業者であるテリー・エスベンシェード氏は2024年10月、インターネット上の他の場所でAmazonより安く売るたびにAmazonのカートボックスが失われ、Amazonでの売上が80%も急落すると証言しています。これによる経済的な打撃が大きいため、エスベンシェード氏は他の通販サイトで製品価格を引き上げざるを得なかったとのこと。



Amazonはこれらの証言に対し、自社の取り組みは実際のところ市場の競争を促進するものであり、顧客が低価格で競争力のある製品を見つけられるようにしていると主張。「どの店舗のオーナーも、顧客に不利な取引を勧めることはないでしょう。当社も、競争力のある価格設定ではない商品を積極的に宣伝することはありません」と述べ、販売業者との契約を通じて競争を回避しようとしたわけではないと説明しています。

しかしAmazonの社内メールからは、従業員が自分たちの行為によって市場競争が阻害されることを認識していたことが示されています。ある従業員は、競合する通販サイト・Temuでの販売意欲をそぐためにツールを使用しているとメールに記していました。また、別の上級社員はAmazonのカートボックス抑制措置により、インディアナ州に拠点を置く家庭用品業者が他サイトでの価格を引き上げざるを得なくなっていると説明していました。

ボンタ司法長官は声明で、「消費者が経済的な危機に直面している今、競争を阻害し価格をつり上げるようなAmazonの違法行為は許されません」と主張しています。ボンタ司法長官がAmazonを相手取って起こした訴訟の公判は、2027年1月に行われる予定です。