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長期的な視点で概観すると、幾度もの金融危機や低迷期を経ながらも、株式市場は一貫して右肩上がりを続けています。過去150年以上のデータが示す「株式リターンの平均」や、資産運用で役立つ「72の法則」を踏まえると、日経平均が10万円に到達するのは「2032年」であると著者は語ります。本記事では、広木隆氏の著書『株はずっと上がるもの 誰も書けなかった株式投資の真実』(日経BP)から一部編集・抜粋して解説します。

バブル崩壊やリーマンショックを経ても「株価は右肩上がり」という歴史的根拠

株価は上がるものである―この事実について、一番説得力のあるのは長期間における実績でしょう。

ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が自身のホームページで公開しているデータベースでは1871年から150年以上に及ぶS&P500のデータが記載されています。それによるとS&P500の年間のリターンは平均6.5%です。

第一次と第二次の2度の世界大戦、そして世界大恐慌を含んでこの値です。日経平均の過去50年間のリターンも年平均で7%程度です。これらは指数の変化率のみで配当のインカムゲインを含まない値です。

過去50年の間にはブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマンショックなどがありました。日本ではバブル崩壊、日本版金融危機など平成の大部分は株価が長期に低迷する期間がありました。それらを含んでも平均すれば7%前後のリターンとなります。

トマ・ピケティも『21世紀の資本』のなかで「株式のリターンは6〜8%」と述べており、整合的です。株式投資で得られる長期リターンの平均は約7%+配当によるインカムゲイン―これが過去の実績です。

日経平均10万円、かつての予測は「2035年」…知っておきたい〈72の法則〉

ここでひとつ役に立つ法則を教えましょう。「72の法則」です。

「72の法則」とは、複利で運用した資産が元本の2倍になるまでの期間(年数)や、必要な運用利回り(%)を概算で計算できる金融の法則です。

72を金利で割ると(72÷ 金利(%))、2倍になる年数が求められます。72を年数で割れば(72÷ 年数(年))、2倍になるのに必要な金利(%)がわかります。

これは資産運用や借金の返済計画を立てる際に役立ちますので、覚えておくと便利です。

日経平均が節目の5万円を超えたことで「10万円になるのはいつですか?」と尋ねられることが増えました。それに対してこれまで僕は「10年後の2035年です」と答えていました。

日経平均の年間リターンは平均すれば7%であるということを使って、「72の法則」にあてはめて考えていたのです。

日経平均10万円、今の予測は「2032年」…プロが到来時期を前倒ししたワケ

7%で運用した場合、倍になるのに約10年かかるなら、5万円の日経平均が年に平均7%で上昇していけば10年で倍の10万円になる計算です。

「年に7%」というのは「平均」の話ですから、今後10年のうちには大きく下がる年もあるでしょう。でもその反対に大幅に上昇することもある。均せば7%という過去の実績を使った「今後10年で倍になる」というシナリオはそれほど無理のないものだと思います。

しかし、です。「10年で倍」とは言いましたが、これはかなり保守的な見込みでしょう。

日本株式市場は大きな構造変化を迎えています。それを反映して近年のリターンは過去に比べて高くなってきており、この傾向は今後数年続くと思われます。

ですから前段では過去の長期平均である年率7%というリターンをもとに、「10年で倍」としましたがそれでは保守的過ぎると思うのです。

実際、過去3年間は年率20%を超える高いリターンを日本株は記録してきました。さすがにそこまで高いリターンが今後もずっと続くと考えるのは反対に楽観的過ぎると思うのですが―20%上がる年もあれば、数%のマイナスリターンの年もあったりしながら―均せば年率10%のリターンを想定するのは妥当ではないでしょうか。

72の法則に照らせば、72÷10% ≒7年で倍になる計算です。したがって、「10万円になるのはいつですか?」という質問に、今は「7年後の2032年です」と答えたいと思います。

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト