MINAKI

写真拡大

東京赤坂の洋館、赤坂クラシックハウスにて、MINAKIの新作日本酒「幻響(GENKYO)」の発表を兼ねたランチ会が開催された。主催はMINAKI創業者でブランドオーナーである皆木研二氏。ゲストスピーカーとしてソムリエ・ワインディレクターの田邊公一氏が登壇。ワインの視点を踏まえながら、日本酒の構造や可能性について解説を行い、供された2種の清酒の違いと共通点を浮き彫りにするわかりやすい解説を加えてくれた。

この日、まず提供されたのは「極幻FORMULA.2」。田邊氏の解説によるとクリスタルのような透明感とわずかなグリーントーンを帯びた外観を持ち、香りは白桃やメロン、バナナといった果実香に加え、アカシアや菩提樹の花を思わせるフローラルなニュアンスが広がる。さらに青竹や新緑を想起させる清涼感が重なり、複層的な香りの構成を見せた。

味わいは柔らかく、丸みのある甘みから米の旨味と穏やかな酸へと滑らかに移行する。日本酒でありながらワイン的な広がりを感じさせる点が特徴であり、田邊氏はその多層的な香味構造を高く評価した。

この極幻FORMULA.2に合わせられた前菜は「桜鱒のミキュイと菜の花 酢橘ドレッシング」。桜鱒の繊細な脂と菜の花の苦味、酢橘の酸味が、酒のフルーティな香りと清涼感と呼応し、軽やかでありながら奥行きのあるペアリングを形成していた。

続いて供されたのが、今回の主役「幻響(GENKYO)」である。外観はややシルバーを帯び、グリーンイエローのニュアンスを含む。香りは穏やかで、炊いた米や餅のようなニュアンスに加え、バニラやアーモンド、蜂蜜を思わせる柔らかさ、さらに微かなスパイス感が重なる。味わいは、ひと口目はとにかくすっきり。ただ口の中で徐々に柔らかく丸みを帯びた味に変わりながら芯のある旨味が広がってくる。兵庫県産山田錦を100%使用し、精米歩合17%という高度な磨きを施しながらも、豊かなアミノ酸の存在感を維持している点が大きな特徴である。磨きに要する時間はなんと200時間。白ワインに要したフレンチオーク樽を用いての7か月熟成と低温での長期管理、火入れ1回という仕様により、日本酒の骨格を保ったまま新たなニュアンスが付与されている。

料理は「金目鯛のポワレ ヴァンブランソース 香草オイル」、そして「国産牛フィレ肉のソテー 生胡椒のコンディマン」へと続く。白ワインソースの酸とコクに対しては乳酸的な要素と旨味で応答し、牛フィレにはスパイス感とコクが寄り添う。赤ワインとは異なる軸で成立するペアリングは、日本酒の表現領域の拡張を明確に示していた。

皆木氏によれば、従来のMINAKIは透明感と華やかさを追求してきたが、市場の成熟とともに新たな挑戦が必要となった。ワインやシャンパーニュに親しむ層へ向け、日本酒の新しい入口を提示することが「幻響」開発の背景にある。また、様々なイベントにおけるコース全体の構成を、MINAKIという一つのブランドで完結させたいというブランドオーナーの気概も、その開発を後押しした。

「幻響(GENKYO)」の価格は税込49,280円。限定300本の生産となる。購入は公式ホームページで会員登録のうえ、抽選という形式が採られる。

極幻FORMULA.2の透明感と躍動、そして幻響の深みと余韻。その対比は、日本酒がなお進化の途上にあり、新たな領域へと踏み出していることを静かに示していた。単なる高級酒という枠を超え、「体験」として設計された日本酒。その現在地を知ることができる貴重な機会であった。