フリーアナウンサー・神田愛花『フジテレビ「ぽかぽか」、4年目の課題』

写真拡大 (全3枚)

怖い学び

大学を卒業した頃から、少しずつ女性に対して怖さを感じるようになった。その感情は30代前半に確固たるものになり、それ以後、「女は怖い、本音は話せない、傷付くのは自分だ」と繰り返し己に言い聞かせている。

一体何があったのか。原因となった出来事を、可能な限り書いてみよう。

最初は大学4年生の時だった。親友だと思っていた同じ学科の子と、卒業旅行で海外に行った。それまでも何度か二人旅をしていて、その都度、計画好きの私が率先して下調べをしていた。だがその時は忙しく、(行った先で一緒に調べよう)と思った。ところが2日目、「なんで調べてないの!? それじゃあ愛花と一緒に来た意味ないじゃん! 調べてくれるから一緒に来てるのに!」とキレられたのだ。ショック過ぎて心が無になった。

卒業後、海外で挙式をすると言う彼女に、「自費で行くから絶対呼んで!」と伝えたが、招待状は来なかった。それでようやく私に対する彼女の気持ちを受け入れることができ、(女性の笑顔は本心ではない)と思うようになった。

次はNHKにて。私の挨拶には反応しないが、自分より目上の人には挨拶をする女性の先輩に出会った。私に依頼がきた仕事について、わざわざ「それは誰でもできる仕事。私はあえてしたくない」と伝えてくるような人なのだが、なぜかその人は、私が着ているスーツや靴とそっくりなものを購入し、身に纏って出社してきた。同僚はこれらの行為を、「神田への嫉妬の表れ」と分析。優秀な先輩が私の何に嫉妬しているのかわからなかったが、女性は嫉妬深い生き物だと知った。

続いてNHKを辞める時。買い物をしたり食事をしたりして、一番信頼していた同期から呼び止められた。「フリーになっても頑張って!」と鼓舞してくれるのかと思ったら、「なんで辞めるの? プロデューサーが、″神田なんてフリーになっても仕事なんかないだろ″と言ってたよ」とだけ伝えてきたのだ。面食らってしまい、「そうだよね……頑張るよ」と返すのが精一杯。なぜ他人が言っていたマイナスの話を、わざわざ耳に入れてくるのだろう? ちなみにその子は私がフリーになった2ヵ月後、「知り合いがイベントを開催するそうで、MCをしてくれるフリーアナウンサーを探してるの。愛花っていくらなの?」とギャラを聞いてきた。「マネージャーに聞いて」とマネージャーの連絡先を教えたが、未だに問い合わせはない。女性は何かのキッカケで付き合い方を変える生き物だと知った。

なぜそんなことを言うの?

そしてフリーになってから。ある番組のMCに決まり、公表前なので誰にも話さずにいた時、同じ事務所の子と食事に行った。前菜を食べ終わる頃、その子が突然、「◯◯という番組、どうもカンペを読むだけでやり甲斐ないんだって〜……あ、あれ!? もしかして愛花ちゃんが担当することになってる!? えーごめん! 気にしないで!」と一方的に言ってきたのだ。驚いて手が止まり、(なんで私が担当するって知ってるの? つーかなんでそんなこと言うの? 今私は何をされてるの!?)と、色々な疑問で頭の中がいっぱいに。「私まだよくわからないよ」と嘘をつくしかなかった。後日それとなくマネージャーに聞くと、どうやら先方にはその子と私を候補として出し、最終的に私に決まったそうだ。(もしかして食事に誘ったのもそれを言うため!?)賢い女性の手口の巧妙さを思い知らされた。

こういった事例があと五つはある。もしかしたら自分に原因があるのかもしれない。だが長い年月をかけて積み重なり形成されていった女性への恐怖心は、とてつもなく根深く、今になって仕事に支障が出ている。

『ぽかぽか』が始まって4年目。毎日、様々な年齢やジャンルのゲストに私なりの質問をぶつけ、その方たちの経験や考えをお聞きしている。心から楽しみながら臨めているが、どうしても女性ゲストの日は過去の経験が邪魔をし、懐にグッと入り込めるような質問が少なくなってしまうのだ。

日によってパフォーマンスに波があってはプロじゃないし、番組にも申し訳ない。そろそろ女性への恐怖心を克服する時だ。″どんなゲストにも臆せず、同じクオリティの質問をぶつけ続ける″これが私の、『ぽかぽか』4年目の課題だ。

かんだ・あいか/1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)にメインMCとしてレギュラー出演中

『FRIDAY』2026年4月10日号より

イラスト・文:神田愛花