阪神・佐藤輝明「大モメ契約更改」の舞台裏 問題を複雑にした代理人の“ポスティング移籍”をめぐる要求、阪神OBは「次のオフのメジャー移籍は100%なくなった」
今季、球団史上初のリーグ連覇を目指す藤川球児監督率いる阪神。豊富な戦力で開幕前の順位予想では軒並み優勝と目されるなか、主砲・佐藤輝明(27)とチームの間に亀裂が生じている懸念が浮上した――。
【写真】オフに吉田正尚や鈴木誠也の自主トレを見学し“メジャー予備軍”と見られている森下翔太
「球団側との問題は全く解決していない」
セのペナントレースの大本命である藤川阪神。開幕前のWBCでも大谷翔平(31)ら侍メジャーリーガーが居並ぶなか、国内組としては阪神から選出されたサトテルこと佐藤輝明と森下翔太(25)が準々決勝のベネズエラ戦でそれぞれ打点を記録するなど、メジャーのスカウトも注目する活躍を見せた。
だが、特にサトテルと球団の間には火種がくすぶっている。
このオフは契約交渉が難航。未更改で越年となった。キャンプイン直前の1月30日になって、昨季の年俸1億5000万円から大幅増の総額5億円(出来高込み)でサインした。40本塁打、102打点で二冠に輝いた成績からすれば妥当な額にも思えるが、阪神OBのひとりは「球団側との問題は全く解決していない」と語る。
「契約更改が長引いたのは次のオフのポスティングによるメジャー移籍を求めるサトテル側と、認めない球団側の話し合いが平行線を辿ったから。結局、シーズン中も時間をかけて話し合うとの前提で契約に漕ぎつけたというが、問題が先送りされただけでしょう」
ポスティングは海外FA権を得ていない選手が所属球団の了承を得てメジャーに移籍するシステム。選手がメジャー球団と契約を結ぶと、移籍先から移籍元のNPB球団に譲渡金が支払われる。名門球団の将来にかかわるデリケートな問題だ。
「問題を複雑にしたのが、サトテルの代理人を務めたショーン・ノバック氏の要求だったといいます。ノバック氏は著名エージェント・団野村氏の事務所から米国のマネジメント会社に移籍した人物で、サトテルの他にも複数の日本人選手の代理人を務めます。
今回の契約交渉では、次のオフのポスティングによるメジャー移籍を確約する文書を球団側に要求し、サトテルのメジャー行きを後押しする世論作りのためにマスコミを動かそうともしたという。そうした動きに球団側が神経質になって交渉がもつれた」(メジャー球団スカウト)
サトテル本人は昨年12月に自主トレのため渡米し、同じマネジメント会社と契約するドジャースのムーキー・ベッツからアドバイスを受けるなど、メジャー行きへの"地ならし"が進められた。
「結局、交渉の長期化はファンからも批判を受けた。その気になってしまったサトテルもある意味、可哀想で、WBCでメジャー関係者にアピールしようと躍起になっていると受け取られ、"井端弘和監督にスタメン起用を直訴した""ベンチで必死に代打をアピールした"といった真偽不明の情報がネットで流れた」(スポーツ紙デスク)
そうした状況は阪神OBも危惧しており、広澤克実氏は本誌『週刊ポスト』の順位予想に際して「優勝予想の阪神打線でひとつだけ心配なのがサトテル。ネット上でWBCでの態度や言動を酷い言葉で批判されている。今後、彼のメンタルに影響する可能性があります」と語った。
チーム内には"メジャー予備軍"がゾロゾロ
もうひとりの主砲・森下も、このオフに吉田正尚(32)や鈴木誠也(31)の自主トレを見学しており、"メジャー予備軍"と見られている。
「その森下の代理人を務めるのも同じくノバック氏です。サトテルのような強引な手法でポスティング容認を求めることにならないか懸念されます。
また、阪神では昨季12勝をあげて最優秀防御率のタイトルを獲った才木浩人(27)も2024年オフからポスティングでのメジャー移籍希望を公言している。才木には別の代理人がついていて、このオフは球団と話し合ってメジャー移籍はせずに倍増以上の年俸2億5000万円で落ち着いたが、サトテルの件が今後に影響する可能性もある」(前出・メジャー球団スカウト)
阪神ではエース・村上頌樹(27)もメジャー志向で、中継ぎの要の石井大智(28)もキャンプでアキレス腱を断裂する前には将来のポスティング希望を表明していた。そうしたなかでのサトテルの動きに、球団側が警戒心を強めているという。
前出の阪神OBは「次のオフのサトテルのメジャー移籍は100%なくなった」と見る。
「球団の目的はチームが優勝することで、選手を売って金儲けをすることではない。ファンやスポンサーを大切にする立場からも、次のオフでサトテルのメジャー移籍をチームが認めることはあり得ないでしょう。代理人サイドの交渉術は完全に裏目に出た格好だと思います」
ポスティングによる移籍が認められない場合、サトテルのメジャー挑戦は最速でも海外FAを獲得する2029年オフとなる。
サトテルとの契約交渉で代理人からポスティング移籍の確約を明文化する要求があったのか、同じ代理人の森下の今後を懸念しての慎重な対応となったのか、などを球団に質問したが、「回答いたしかねます」(広報部)とするのみだった。
阪神の元球団関係者はこう言う。
「球団幹部の話では、サトテルにメジャーに行ってもらっては困るという考えがあるものの、絶対に行かせないと言っているわけではないといいます。まだ球団への貢献が十分ではなく、今季の優勝により連覇を達成して初めて、メジャー移籍への交渉の"スタートライン"に立つというニュアンスでした。サトテルも成績を残せば可能性があると考えてサインしたようです」
連覇への障壁はライバル球団より、内部にあるのか。開幕したばかりの今季の戦いが注目される。
※週刊ポスト2026年4月10日号
