物価高騰が家計を圧迫し自己破産が急増中…3年連続で増加、14年ぶりの高水準に
長引く物価高と物価上昇に追い付かない賃金の伸び。実質賃金の目減りは徐々に市民生活を脅かし始めている。
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2025年の個人による自己破産の申立件数は8万3100件と、前年の7万6309件から6791件増えた。3年連続の増加で11年(10万510件)以来14年ぶりの高水準だ。自己破産件数のピークは03年の約24万件。当時は異常な高金利で消費者金融から借金をした多重債務者が多発していた。
その後政府の貸金業法の実施などで減少し、22年には6万4833件まで減少。ところがいま、再び自己破産の申し立てが急増する深刻な状況を迎えている。
3件以上の業者から借金をする多重債務者は26年1月末時点で151.9万人(日本信用情報機構調査)と、14年以来12年ぶりの高水準に達した。自己破産件数の多発、多重債務者が増加している背景には物価の高騰で生活費の上昇が家計を圧迫し、借金の必要性が高まってきていることが挙げられる。そのうえでカードローンやネットで簡単に借り入れができる使い勝手のよさが背景にあると考えられる。
こうした個人の深刻な生活状況は企業経営にも表れている。帝国データバンクの「全国企業『倒産リスク』分析調査(25年)」(3月17日発表)によると、25年12月時点で高リスク企業(グレード8〜10)は、全体(算出147万社)の8.7%にあたる12万8220社あった。企業が1年以内に倒産する確率を表す「倒産予測値」の指標だ。同社営業企画部の上西伴浩部長が語る。
「前年比1260社増え4年ぶりの増加です。倒産リスク企業の8割は従業員が10人未満の企業で、小規模企業の業績悪化に歯止めがかかっていない状況です。コロナ禍で政府のゼロゼロ融資などの支援がありましたが、その時点ですでに業績は悪化、支援を受けながらも現在も業績回復に至らない小規模企業が増えているということです」
25年の企業倒産件数は1万261件と、12年ぶりに1万件を超えている(全国企業倒産集計、25年報)。さらに同年に休業・廃業・解散した企業は6万7949件と過去10年では24年に次ぐ2番目の多さだ。先の上西氏がこう言う。
「昨年市場から退出した企業は7万8000件を超えます。企業倒産の先行指標ともいえる高リスク企業の増加は、個人の自己破産の増加にもつながることが懸念されます」
日本企業は増収増益企業も増え、春闘の回答も大手、中小とも高水準を維持した。そうしたなか、企業、個人の格差が広がりつつある社会への不安が隠せない。
(ジャーナリスト・木野活明)
