増量期の最適解! 筋肥大には「ダーティバルク」は不要なワケ【鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ】
ダーティバルクは不要!維持カロリー以上の摂取で筋肥大は起こる
クリーンバルク vs ダーティバルク
筋肉量の増加を目指して計画的に体重を増やす増量期のカロリー摂取では、「クリーンバルク」「ダーティバルク」、ふたつのバルクアップ法がよく用いられます。
【クリーンバルク】
おもにオーガニックや未加工の食品を摂取し、脂質を抑えて過剰な脂肪の増加を防ぎながら筋肉量を増やす増量法です。摂取カロリーは、1日に摂らないといけないカロリーより200~300kcalプラスに設定し、マクロ栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)のバランスも考慮しながら食事を管理します。
【ダーティバルク】
加工食品や高カロリー食品を中心に、余剰カロリーを増やしていく増量法です。基準のタンパク質量を満たせば栄養バランスを考慮せず、制限をかけずに好きなものを好きなだけ摂ればよいのでストレスもなく、簡単に食事の管理ができ、短期間で体重を増やすことができます。
それぞれ一長一短あるバルクアップ法ですが、実際にはどちらがより効果的に筋肉量を増やすことができるのか──。この議論の発端となったのが、2019年にブラジルの北パラナ大学から発表された論文です。ボディビルダー11名を体重1㎏あたり67.5kcalを摂取する「高カロリー群」と、体重1kgあたり50.1kcalを摂取する「通常カロリー群」に分け、タンパク質量を統一したうえで週4回の筋トレを4週間行い、筋肉量と脂肪量の変化を分析しました。その結果、筋肉の増加量は高カロリー摂取群で有意に向上し、通常カロリー群と比較して、筋肉量が6.7倍もアップしていたのです。このデータから、ダーティバルクの有効性が謳われるようになりました。
ところが、参加者のステロイド使用などの身体管理の不透明性、被験者数、分析期間などから、この研究の信頼性に疑問をもつ声が出始めたのです。
そんななか、2023年にニュージーランドのオークランド工科大学からこの筋肥大とカロリー摂取の関係性について最新かつ信頼性の高いデータが発表され、今までの常識がひっくり返されたのです。
筋肉量と摂取カロリーの最新データ
2023年オークランド工科大学の研究では、対象者21名を「維持カロリー摂取群」「維持カロリーの5%を余分に摂取する中カロリー摂取群」「維持カロリーの15%を余分に摂取する高カロリー摂取群」の3群に分け、8週間にわたって調査が行われました。分析方法として「ベイズ共分散分析」と「回帰分析」を使用し、とても健全で隙がない論文です。
結果として、グループ間の比較では、3つのグループにおいて筋肉の厚さには変化は見られず、筋肉量に関しても摂取カロリーによる違いは特にありませんでした。次に、皮下脂肪の量は、維持カロリー摂取群よりも余分にカロリーを摂取した群で増加しており、体重の増加は筋肉ではなく脂肪による増加であることが確認されました。最新のデータからは「維持カロリーよりも多く摂取してれば筋肥大は最適化する」ことが明らかになったのです。
逆に、余分なカロリーを摂り過ぎることで脂肪がたまり、そのぶん減量期で脂肪を燃焼させる期間が長くなり、減量期が長引くほど筋肉は落ちていきます。つまり、クリーンバルクVSダーティバルクは、筋肥大においてはクリーンバルクの勝利というわけです。
さらに、高脂肪高カロリーの食事で構成されるダーティバルクは、同じカロリーでクリーンバルクを行うよりも脂肪量が増加するというデータや、高血圧や高血糖、脂質異常症の原因となるリスクが上がるというデータもあるので、健康面から見てもクリーンバルクがおすすめです。
健康的に太るための10の方法を参考に、カロリーを増やしていきましょう。
【健康的に太るための10の方法】
(1)「飲む」こと。カロリーは固形物から摂るのではなく飲む方式に変える。
(2)食事中はできるだけ水を飲まない。
(3)食事は好きな友人と一緒に食べる。
(4)ナッツの摂取。
(5)サーモンの摂取。
(6)アボカドの摂取。
(7)ドライフルーツの摂取。
(8)ダークチョコレートの摂取。
(9)ハーブを使用する。
(10)プロテインパウダーなどのウェイトゲイナーを用いる。
【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男
【著者紹介】論文男(ろんぶんおとこ)
理学療法士。パーソナルトレーナー。現役理学療法士として、小児・スポーツ選手・高齢者のリハビリに従事する傍ら、13年以上の指導経験を生かし、科学的データに基づいたエビデンスレベルの高いトレーニング方法を発信。年間500本以上の論文を読み漁り、最新研究を現場で実践に落とし込む。YouTube 『論文で解決 ~筋肉と栄養を科学する』は登録者23万人以上。3児の父として、忙しいワーカー向けに最短で理想のボディを作るメソッドも開発。筋トレ・栄養・リカバリーを科学的に体系化した指導に定評がある。
