仕事でもっとも重要なのは、スキルアップではなく「自分のOS」を知ること
◆「人生のOS」とは、人生を無意識に動かしている“見えない土台”
ひと言でいえば、その人の人生を無意識のうちに動かしている「思考」「価値観」「行動習慣」の土台です。パソコンやスマートフォンがOSによって動くように、人にもまた、日々の判断や選択を支える見えない設計図がある。私はそれを「人生のOS」と呼んでいます。何を大切にするのか。何を基準に決めるのか。誰のために動くのか。そうした根本の部分は、その人の仕事の仕方にも、人間関係にも、生き方にも表れてきます。本書で伝えたかったのは、人生の成否を分ける決定的な差は表面的なスキルではなく、その人がどんなOSで生きているかだ、ということです。
◆スキルは“アプリ”。OSが整わなければ人生は噛み合わない
――多くの人は、うまくいかないと「もっと勉強しなきゃ」「スキルが足りない」と考えます。
そうですね。でも私は、何万人もの人と向き合ってきて、成果を決めるのはスキルではないと強く感じています。知識や技術はもちろん必要です。ただ、それはあくまでアプリのようなものです。どれだけ便利なアプリを増やしても、OSが不安定なら動作は重くなる。人生も同じで、OSと行動、努力、スキルが噛み合っていなければ、頑張るほど苦しくなることがあるんです。逆に、自分のOSを自覚して行動している人は、環境が変わっても適応できるし、時代が変わっても立て直せる。本書の中でも、これからの時代に必要なのは、外側のスキルよりも、内側の答えのない問いに向き合う力だと書きました。OSを自覚し、更新していくことこそが、生き抜く鍵になると思っています。
◆「向いていない」と思った営業で、トップセールスになるまで
――こうした考え方の背景には、ご自身の経験もあるのでしょうか。
大きくあります。私はNECで営業として働き始めましたが、当初はまったく向いていませんでした。話もうまくないし、知識も足りず、上司から「明日から同行しなくていい」と言われたこともあります。でも、そこで「才能がない」で終わらせず、「自分にできることは何か」と考え直しました。そこでたどり着いたのが、「話すより聞く」という姿勢です。8割聞いて2割話す。相手の言葉をよく聞き、本当に困っていることをつかむことに徹した結果、営業の質が変わり、数字も伸びていきました。その結果、入社3年目には埼玉県警、千葉県警、神奈川県警を同時に担当し、Sランク事業部で過去最高水準の売り上げを記録、トップセールスになることができました。特別な才能があったわけではなく、「人に喜ばれる仕事をする」という軸を持てたことが大きかったと思います。
◆「人に喜んでもらう」が、自分のOSだった
――その経験が、この本の核につながっているのですね。
当時はまだ「人生のOS」という言葉では捉えていませんでした。でも振り返ると、自分の中でずっと動いていた軸は、「人に喜ばれる仕事をする」ということだったんです。どんなに数字を追う日々の中でも、目の前のお客様の笑顔をゴールにしていた。それが自分のエネルギー源でした。OSというのは、最初から立派な言葉で定義されているものではありません。うまくいった経験や、本気で向き合った時間の中から、あとになって輪郭が見えてくるものなんです。
