今季のドジャース大谷が抱える「スタミナ」「球速」という課題…開幕からPSまで二刀流は“未体験ゾーン”
メジャーの一線級の先発投手は通常、5〜6月からフル回転する。
開幕当初は球数も球速も抑えめにして、徐々にアクセルを踏み込んでいく。レギュラーシーズンは162試合の長丁場。最初からエンジンを吹かしてたんじゃ、シーズン終盤やポストシーズンまでもたない。強豪チームの投手であればあるほど、その傾向は強い。
そんな中、この時期からアクセルを目いっぱい踏み込んでいるのが、日本時間25日、本拠地のエンゼルス戦に先発した大谷翔平(31=ドジャース)だ。19日のジャイアンツ戦では160キロ超の速球を投げ込んでいる。
昨季は投手として6月から復帰した。DHとして欠かせないため、戦列を離れてマイナーで調整することは不可能。実戦を利用した実質的な調整登板だった。にもかかわらず、初戦からいきなり160キロの剛速球を投げ込んで、首脳陣が肝を冷やしたほど。
DHとして毎日、試合に出ながらの二刀流だけに、ポストシーズンはバテバテ。体力的に厳しかったことは本人も認めている。
「WBCに打者一本で出場したのは球団の意向といわれるが、実際は本人の意思という話もあります。だとすれば3月から投打にフル回転していたら、ポストシーズンまで体力がもたないという本人の判断でしょう」(特派員のひとり)
このオフは手術もリハビリもなく、久々に充実したトレーニングができたというものの、大谷がこれまで投打で規定に達したのはエンゼルス時代の2022年の1度だけ。投げて15勝9敗、防御率2.33でサイ・ヤング賞投票で4位に。打っては打率.273、34本塁打、95打点。どちらも規定をクリアしたのはメジャー初の快挙だったとはいえ、3連覇のかかるドジャースではシーズンを完走してなおかつ10月のポストシーズンの最後まで走り続けなければならない。プレーオフまでプレーした昨年も一昨年も、開幕から二刀流で完走したわけではない。つまり今季は、大谷にとって「未体験ゾーン」になる。
球速に強いこだわり「ごまかしながら投げても、面白くない」
自身の「スタミナ」に加えて、「球速」との戦いも課題になる。
「大谷はオープン戦から160キロをマークしている。アドレナリンも出るであろう今後は、おそらくいま以上に球速も増す。ストレートの平均球速は、2度目の右肘手術前よりアップするでしょう。下半身も含めて、オフのトレーニングがよほどうまくいったのですよ」とは別の特派員のひとりだ。
しかし、球速がアップするのに比例して、右肘にかかる負荷は大きくなる。大谷自身、肘に最も負担がかかるのは、スイーパーでもフォークでもなく、球速だと認めている。日本ハム時代の2016年にCSでリリーフ登板、当時のNPB最速となる165キロをマークした直後に「肘、飛ぶかと思った」と打ち明けたくらいだ。
昨年末のNHKスペシャルで、大谷はこう言っている。
「自分が思い切りパフォーマンスを出せる感覚がないと、うまくもなれないし、自分が納得しないので。ごまかしながら投げたとしても、面白くないだろうなと。僕のスタイルとしては(球速が)ひとつの武器。打席に立って94、95マイルと100マイル(約161キロ)では対応の仕方が2ランクも3ランクも違う。そこを投げるのはバッターの視点からも大事」
開幕前から160キロ超の剛速球を投げ続けていれば、どうしたって「スタミナ」や「故障」の問題がつきまとう。
久々にコンディションが万全で、3度目の本塁打王はもちろん、投手としてサイ・ヤング賞にも手が届く位置にいるのは間違いない。すでにメジャーの頂点に立つ存在だけに、相手との関係以上に自分自身の中で「スタミナ」や「球速」の問題と、どうやって折り合いをつけていくのか注目だ。
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そんな大谷の二刀流はチーム内で思わぬ火種となるかもしれない。そこにはエンゼルス時代とは異なる事情もあるようで…。
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