星野リゾート「界」別府で”はじめてのひとり温泉宿”やってみた!【前編】
さあ行楽シーズン。温泉にでも出かけたいけど、仕事してると友だちとも家族ともなかなか予定が合わないし、でも、ひとり旅なんてやったことないし不安だし……。そんなあなたに、あの星野リゾートの温泉宿ブランド「界」がやってくれました。昨年末から“はじめてのひとり温泉宿”なるプランを全国22の界で開始、悩める私たちに素敵な旅のあり方を提示してくれているのです。
“別府の温泉街”を館内に再現
というわけで、さっそく大分県別府市にやってきた。JR別府駅から東に歩くこと約10分。星野リゾートの温泉旅館「界 別府」は、別府湾に面した海岸べり、別府北浜ヨットハーバーの隣という最高の立地だ。
大きな建物とは不釣り合いな(?)小さな入り口から、洞窟みたいに暗いエレベータで2階に上りドアが開くと……パッと視界が広がった。あ、明るい! ガラス張りで床は石畳の「湯の広場」と呼ばれるエリアだ。正面には足もとから天井までのワイドな窓越しに「足湯」と別府湾の蒼い海が広がる。右手には別府北浜ヨットハーバー、左手には山と積まれた木の風呂桶(上写真)。その上からはチョロチョロお湯が流れ落ちている。別府の文化ともいうべき、まちのあちこちにある足湯ならぬ「手湯」だ。
手湯の脇を進んでいくと、右手には赤い暖簾(のれん)越しにロビーがあり、そこでチェックインの手続きをする。左手、短い山吹色の暖簾の向こうは、無料のコーヒー、紅茶、ハーブティーや、滞在中は部屋にも持っていける本、写真集が置かれた「トラベルライブラリー」。まったり過ごせるスペースだ。さらにその先に進むと……。
一転して華やいだ雰囲気。夜市や縁日のようなカラフルな空間だ。上写真の左手、長〜い暖簾の向こうは「ラボ」と呼ばれる空間で、内装は配管がモチーフになっている。実験室のようでもあり、温泉宿のバックヤードのようでもあり……。この不思議な部屋で、昼間は温泉水をつかったミストづくりなども体験できる(下写真2点)。
つくったばかりのミストを手に、顔に塗りつつ、客室に向かう。界 別府の建築、デザインはあの世界的な建築家・隈研吾(くま・けんご)さん。先ほどから大分の伝統工芸などを活かしつつ、「界のなかに温泉街をデザインで表現した」(隈さん)という館内の意匠に驚かされっぱなしだが、部屋はどんな感じなんだろう。ワクワク。
“おひとりプロデューサー”まろ氏のアドバイスに従って
部屋のドアを開けると、紅色の壁や扉に囲まれた薄暗い空間。ここで靴を脱いで内扉を開く。まずは畳敷きであることに「やっぱり温泉宿はこうじゃなくちゃ」とホッとしつつ、目に飛び込んできたのが、2つの大きなベッドと、間接照明に照らされた紅色の壁だ。実はこの色は「渋柿色」という古代色だそうで、別府の観光名所「血の池地獄」から着想を得たものだそう。渋く雰囲気はありながら華やか、という見事な色だ。そしてリビングスペースに進むと……。
おお! 足もとから天井近くまである大きなピクチャーウインドウからは、文字どおり海しか見えない! 窓際に近寄って見下ろせば、ヨットハーバー越しに別府湾のようすが伺える。やっぱ、ここのロケーションは最高だわ。
と、テーブルに目をやると、何やら蒼い風呂敷包みが……。開けると、“界ひとり旅”オリジナルのグッズと地元銘菓のプレゼント! そうそう、今日は“はじめてのひとり温泉宿”プランでここに来たのだった。
このプランは、“おひとりプロデューサー”まろさんと界が共同開発したもので、宿泊と夕朝食に加え、「ひとり温泉宿のしおり」「おひとりさまウェルカムティー」に、夕食時にご当地の日本酒や焼酎、ワインなどが少量ずつ(ノンアルコールも可)料理に合わせて提供される「おひとりたしなみペアリング」や「はじめてのひとり温泉宿ギフト」がついてくる。
とくに上写真左の「しおり」は、メディア「おひとりさま。」を運営し、『おひとりホテルガイド』『ひとりがいい旅』などの著書がある、ひとり時間&ひとり旅のプロ・まろさんの金言が詰まった冊子だけに、到着したら真っ先に目を通すべきものだ。
というわけで、さっそく海を愛でつつ、オリジナルのハーブティと百寿ひとひら(生姜×チョコフレーバーの、せんべい)をいただきながら、しおりを熟読する。なるほど〜、まろさんいわく、「大浴場はチェックイン直後や深夜、早朝がすいていてオススメ。大浴場が混む時間帯は、お部屋のお風呂にゆっくり浸かるのもいい」そうだから、とりあえず大浴場の露天風呂に行ってみよう!(冒頭&下写真、特別に許可を得て撮影)
まろさんのアドバイスどおり、露天風呂は空いていて、ひとり占めできた。天井のルーバー越しの青空をのんびり眺める。聞こえるのはお湯の音だけ。うーん、ひとり温泉、悪くないよなあ……なんて考えてたら、グループ客も入ってきた。そろそろ部屋に戻るか。
実は、界 別府は部屋風呂も素敵だ(上写真)。シャワーブースは広々として豪華、バスアメニティの香りもいいし、部屋によっては写真のようなオーシャンビューの露天風呂が! この風呂、熱すぎず、ぬるすぎずで、いつまでも入っていられる。こんな特等席を好きなだけ独占できるのも、ひとり旅なればこそだ。
郷土料理「豊後鍋」「りゅうきゅう」とペアリング酒の夜
そして夕方6時30分、かなりお腹も空いてきたので、夕食をいただくとしよう。いったん上写真の庭園に出てから、左の暖簾をくぐって食事処へ向かう仕組み。大浴場に向かう導線の途中にあり、湯上がりに無料のアイスを食べながら涼むゲストなんかも見られて、ああ、いままさに温泉街にいるんだな、という気分にさせてくれる。
食事処のレセプションで名前を告げると、「お待ちしておりました」と、ダイニングスペースに案内される。おひとりさまということで、通されたのは簾(すだれ)で仕切られた半個室の席。まろさんいわく、「完全な個室だと、ひとりで食事していて少し寂しいし緊張する。半個室で周囲の音が適度に聞こえると、孤独を感じることなく食事を楽しめる」。ホントにそうだ。気配りが行き届いている。そしてこれからいただくのは、お待ちかね、「海鮮豊後(ぶんご)鍋会席」+「おひとりたしなみペアリング」だ。
というわけで、最後は郷土デザート(?)の「かぼすムース」と「やせうま」(きなこ菓子)にまで、スッキリした純米吟醸酒、杵築市(きつきし)・中野酒造の「知恵美人」をペアリングした。ああ、満足! 満腹! そして、ほろ酔い!
ひとりだからこそマイペースで、でも、スタッフの皆さんに、郷土料理やペアリングした地酒の説明を聞いたりして、寂しさを感じるヒマもない夕食。うーん、悪くないというか、最高!
まさに「ドラマティック温泉街」!
この界 別府は「ドラマティック温泉街」をコンセプトとしていて、時間によってどんどん情景が変わっていくのだが、夜はとくにその色合いが濃くなる。館内の“路地”をめぐるだけで、温泉街をそぞろ歩きしているような気分になれるのだ。
この日は、焼酎が試飲できる屋台が出ていたし、湯の広場には昭和レトロな遊び、扇子を投げて的に当てる「投扇興」などにチャレンジできるコーナーも。
きわめつけは、ゲストも「ケロリン」の石けん箱を持って“演奏”に参加できるご当地楽「湯治ジャグバンド」。半被を着たスタッフたちが、お湯と木桶、たらいをつかって掛け声とともに威勢のいい音色を奏でてくれる。ホントに界 別府にいるだけで、やること見ることだらけでワクワクしっぱなしなのだ。
だけど、せっかくだから宿の外も見てみたい! ということで、予約しておいた「湯のまち夜めぐり」に参加してみた。ほんの30分ほど、ディープな夜の別府のまち歩くを歩くというツアーで、ひとりでは気後れしてしまうようなレトロなネオン街や商店街を界 別府スタッフが案内してくれる。
最後は、別府タワー(上写真)を眺めて、この夜は終了。いや〜楽しかった。もうひと風呂あびて、地元のビールでも飲んで寝ようっと! (【後編】に続きます)
Photo & Text:T.Funakawa(FRaU)
