スタジアムの熱狂を指先から。スーパーボウルを「さわって」楽しめるガジェット
Photo: OneCourt
お手もとにスタジアムを再現。
視覚に障害があったり、または視力が低い人たちは、応援するスポーツチームの試合の観戦する場合、音声での実況解説が頼りの綱です。
でも、いつだって快適に音声が流れてくるものではありません。音声が試合の展開より遅れることもありますし、それによって重要な場面を逃してしまうことだってあります。
となると、フィールドやコート内で何が起きているのかを理解するために、隣りにいる友人や家族に説明してもらわなくてはいけない状況になってしまいます。
スーパーボウルで導入される新デバイス
AP通信によると、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)はシアトルを拠点とするスタートアップ企業OneCourtと協力し、今年のスーパーボウル用に特別なツールを用意しているとのことです。
OneCourtは、大きなスポーツイベントに合わせて、リアルタイムで触覚によるフィードバックを伝えるデバイスを開発しているスタートアップ。デバイスの大きさはiPadほどですが、厚みがあり、表面にはフットボールフィールドのラインが立体的に施されています。
このデバイスを使うことで、ボールの位置を指先で把握でき、プレーの種類に応じた異なる振動が伝わるとのこと。また、付属のヘッドホンでラジオ中継をほとんど遅れなしで聞くことも可能だと言うことです。
OneCourtは2021年、シアトルにあるワシントン大学の学生グループによって設立されました。CEOのJerred Mace氏が大学3年生の時、視覚障害のある男性がサッカーの試合を観戦している動画を偶然見たことが、この会社を立ち上げるきっかけになったといいます。その映像では、男性の隣に座った女性が触覚用のゲームボードの上で彼の手を動かしていたのです。
NFL、OneCourt、そしてチケットマスターが直近のレギュラーシーズン中に協力し、シアトル・シーホークス、ジャクソンビル・ジャガーズ、サンフランシスコ・49ersが主催した試合を含む、15試合でこのデバイスの試験運用を行いました。
新しい観戦体験
今週末2月8日(日)に開催されるアメリカのスーパーボウルでは、視覚に障害のある、または視力が低いフットボールファン約10人が、このデバイスで試合を観戦することになっています。
その10人のうちの一人、アメリカ視覚障害者協議会の事務局長Scott Thornhill氏は以下のようにAP通信に語っています。
目が見える人たちと、できる限り同じ感覚で試合に参加し、楽しむことができると思います。視力を失う前はスポーツをして育った人間だったので、ずっと欠けていた人生の大きな一部を取り戻せる感覚です。周りの人に何が起きたのかを教えてもらうのを待たずに試合を観られる。その意味の大きさは、言葉にするのが難しいほどです。
OneCourtのデバイスはすでに、バスケットボールチームのブルックリン・ネッツのバークレイズ・センター、デンバー・ナゲッツのボール・アリーナ、オーランド・マジックのキア・センターを含む8つのNBAアリーナで、必要とするバスケファンが利用できるようになっています。
また同社は、自宅で使うためにデバイスの購入を希望する人向けに、ウェイトリストの受付も開始しています。

