超薄型名刺サイズで流体シミュレーションを見せる「フリップカード・プロジェクト」

液体や気体の動きをコンピュータ上で再現する流体シミュレーションの一種である「FLIP(Fluid-Implicit-Particle)」は、リアルな液体表現が可能な一方で計算量やメモリ使用量が多いというデメリットがあります。ハードウェアエンジニアのニック・ジョンソン氏は、名刺サイズの薄型カードで流体シミュレーションを表現した「flip-card(フリップカード)」を開発し、GitHubに概要を公開しています。
https://github.com/Nicholas-L-Johnson/flip-card

流体シミュレーションにはいくつかの代表的な方式があります。「グリッド法」は空間を格子に区切って各マスの流体の速度・圧力を計算する方式で、大きな流体動作は安定しますが小さな渦やしぶきの再現が難しいという特徴があります。一方で粒子を追跡して動きを計算する「粒子法」は、細かい計算は得意ですが粒子の性質により表面や体積を保持することが難しくなります。それぞれの欠点を補うハイブリッド方式が「PIC(Particle-In-Cell)法」で、PIC法をさらに改良して粒子ベースの詳細な動きと格子ベースの安定性を両立させたのが「FLIP法」です。
FLIP法はグリッド法と粒子法のデメリットを補うハイブリッド方式ですが、格子と粒子の両方を扱うため、メモリ使用量が多めで計算量も比較的多くなっています。そのため、FLIP法の流体シミュレーションには高度な計算能力を持つマシンを必要としますが、ジョンソン氏の「フリップカード・プロジェクト」では、わずか名刺サイズの小型デバイスでFLIP法の流体シミュレーションを実現しています。

フリップカードを手に持った時のサイズは以下のような感じ。

厚紙程度の薄さです。

フリップカードを傾けると、グリッド上を粒子が流れ落ちていきます。

ジョンソン氏によると、フリップカード・プロジェクトはティム・ジェイコブズ氏が2024年に発表した「流体シミュレーションペンダント」からヒントを得たそうです。流体シミュレーションペンダントの技術的な部分は、「Ten Minute Physics」というYouTubeチャンネルの「How to write a FLIP water / fluid simulation running in your browser(FLIPシミュレータの書き方)」に基づいています。
Fluid Simulation Pendant - YouTube
フリップカード・プロジェクトはオープンソース化されており、ジョンソン氏は詳細をGitHubで公開しています。
