『めおと日和』芳根京子&本田響矢が見せた“夫婦の顔” 瀬田は10年の初恋に終止符を打つ
『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)第8話のサブタイトルは、「一番近くであなたを見ていたい」。
参考:志尊淳、本田響矢、塩野瑛久がメロすぎる! 2025春ドラマを制した“ときめき三銃士”
人はなぜ結婚するのだろう。経済的な安定のため、世間体を保つため、跡継ぎを生み、家を守るためなど、時代や置かれた立場によって様々だ。でも、やっぱり一番は昔も今も、好きな人と一緒にいたいというシンプルな理由なのかもしれない。
夫婦で初めての正月を迎えてまもなく瀧昌(本田響矢)が出立してから1カ月。妻として夫が留守の間、何ができるかを模索するなつ美(芳根京子)に、郁子(和久井映見)は昔の自分を重ねる。新妻の頃、夫・邦光(小木茂光)のために苦手な家事を一生懸命頑張っていた郁子。そんな彼女に邦光が告げたのは「君にお世話してほしくて結婚したわけじゃない。好きなことをして楽しんでる姿を一番近くで見ていたいんだ」という言葉だった。
裁縫が子供の頃から好きだったと語るなつ美の話に「うん」と言葉少なながらも愛おしげに耳を傾ける瀧昌もきっと同じなのだろう。だから、なつ美の針仕事を褒めてくれた後輩には誇らしさと嬉しさから、つい大盤振る舞いになる。その愛は義父の篤三(高橋努)にも伝わり、“息子”として認めてもらった瀧昌。瀬田(小宮璃央)もまた、夫婦の間に入る隙はないと確信し、10年越しの初恋にようやく終止符を打つことができたようだ。
一方、艦内見学に訪れたなつ美は瀧昌の身の回りを世話する従兵の市原(岩男海史)から感謝を告げられる。これまでは仕事人間で自分にも他人にも厳しかった瀧昌だが、なつ美と結婚してからはすっかり丸くなった、と。両親を亡くして守るべき家を失った瀧昌は、代わりに国を守る仕事に没頭することで孤独から目をそらしていたのかもしれない。だが、今は他に守りたいものができた。それは、なつ美と向かい合って食事をして、並んで眠り、たわいもない会話をする平凡で穏やかな日々。ただそれだけなのに心が満たされる瀧昌は、人にも優しくできるのだろう。
芙美子(山本舞香)が深見(小関裕太)とお見合いをすることに 瀧昌と同じく、家族というものからは縁遠い人生を送ってきた芙美子(山本舞香)もついに深見(小関裕太)とお見合いすることに。気合いを入れるために着てきたお見合いの場に相応しくない山百合の着物は、幼い頃に母が授けてくれたものだった。「山百合のように一人で立てる女性に」という言葉を残して去っていった母の教えを守り、強く生きてきた芙美子だが、心のどこかではすべて投げ出せる場所を求めていたのではないだろうか。そんな彼女にとって、軽薄そうに見えて心に決めた相手には深い愛情を注ぐ深見の存在は魅惑的ゆえに本能的に避けてきたのだろう。
「あなたの優しさは赤子のおくるみのようです。暖かくて柔らかくて甘ったるくて、気を抜くと寄りかかりたくなる」
1人で立ちたい、でも寄りかかりたい。その葛藤から生まれる色気にクラクラした。結局は深見に伸ばした手を引っ込め、気高さを貫いた芙美子。だが、伯母の光子(筒井真理子)を通じて受け取った「野山に厳かに咲く山百合のように綺麗でした」という深見からの伝言には思わず頬がゆるみ、深見もまた芙美子との時間を思い出しながら余裕のない表情を浮かべる。未だまだ誰にも見せられない顔。けれど、結婚したらいつか互いに見せ合う時が来るのだろう。
結婚は一番近くで好きな人を眺められる特等席のチケットみたいなものなのかもしれない。瀧昌の浮気疑惑が浮上し、女装した坂井(戸塚純貴)をお妾さんと勘違いしたなつ美。だが、瀧昌が溶けてしまいそうなくらいに優しい顔を向けるのはなつ美だけだ。「うん」という砕けた返事を「他の女性には言わないで」と上目遣いで懇願するなつ美の愛らしい表情を独り占めできるのもまた、瀧昌の特権。そんな本来は好きな人だけにしか見せない特別な顔をおすそ分けしてもらっていることに感謝しながら、残り2話を見届けたい。(文=苫とり子)
