「新ラギッドテレーンタイヤ」がすごかった!? トーヨー・オプカンの新顔「R/T TRAIL」の印象は?【試乗記】
オフロード性能とアグレッシブなデザインを兼ね備えた新ラギッドテレーンタイヤ「R/T TRAIL」の印象は?
1980年代、スキーブームやアウトレジャーブームが起きた頃、その用途に適したクルマに注目が集まりました。俗に言う「RVブーム」です。
中でもフレーム付のクロスカントリー4WDモデルの人気が高く、三菱パジェロを筆頭に多くのモデルが登場しました。
当然、それらのモデルに適したタイヤも求められるわけですが、その先駆者と言っていいのが1983年に登場したトーヨータイヤの「オープンカントリー」です。
SUV専用タイヤ、それも悪路のみならず日常の快適性やアウトドアユースを想定したキャラクターは、まさに時代を先取りしたモノと言えるでしょう。

そんなオープンカントリーは当初クロスカントリー4WDの本場である北米を中心に展開、モータースポーツ参戦やカスタマイズトレンドなどにいち早く対応しながらラインアップを強化。
【画像】超カッコイイ! 新「オープンカントリー“R/T TRAIL”」を画像で見る(33枚)
日本では2019年から本格的に展開が行なわれ、現在はこのジャンルではトップシェアを誇っています。
ちなみに一口にオープンカントリーと言っても、様々なラインアップが有ります。代表的なのはよりオフロード性能を重視した「M/T(マッドトレイン)」、よりオンロード性能を重視した「A/T(オールトレイン)」ですが、その中間に位置するのが「R/T(ラギットトレイン)」です。
R/Tは2016年に発売されて以来高い人気を誇り、今やオープンカントリーの“顔”と言ってもいい存在です。
そんなオープンカントリーに新たなモデルが追加されました。それが今回紹介する「R/T TRAIL(トレイル)」になります。
そのキャラクターを一言で説明すると、「ややオン寄りのR/Tタイヤ」です。
実はトレイルには「気軽な山歩き」と言う意味があり、要するにオフロードに足を踏み入れるキッカケになるようなタイヤを目指したと言います。
この辺りのユーザーの「●●だったらいいよね」と言う要望を上手にカバーする商品戦略は、TOYOタイヤの得意な所と言えるでしょう。
パッと見ると、トレッド面はもちろんサイドウォールなどオフロード重視のデザインに感じますが、R/Tと比べると溝が細めで接地面が大きい事など、オンロード寄りである事が解ります。
では、肝心なオンロード性能はどうなのでしょうか。
皆さんが普段乗っている一般道(片側一車線の幹線道路)でランドクルーザー250のガソリン車を用いてR/TとR/Tトレイルの乗り比べを行ないました。
R/Tはアグレッシブなトレッドパターンを感じさせない静粛性の高さとゴムの厚さを感じるようなマイルドな路面入力と吸収性の高さを実感。
ただ、ハンドリングは直進時の座りの甘さや初期応答の鈍さなどは純正タイヤ(A/T)と比べるとダルな方向。更にステアリングに伝わる手ごたえもフィルターが入っているような感じで直結感は薄めです。

R/Tトレイルに乗り換えると、直進時は「君はA/Tタイヤ?」と思うくらいシッカリしている上に、そこから舵を入れてもブロックが捩れる感じはなく素直な応答が印象的です。
コーナリング時もグラっと傾いてから踏ん張ると言った挙動ではなく、連続性があるので一体感は高いと感じました。この辺りは接地性の良さが良い方向に出ています。
ただ、その一方で路面からの入力はR/Tよりも伝わりやすく、中でも小刻みな凹凸の吸収性はもう少ししなやかさが欲しいかなと。
個人的にはLTタイヤは空気圧が高めなので、空気圧を少し下げたら印象が少し変わってくるかもしれません。
静粛性に関しては定常走行時はR/Tと同等レベルに感じましたが、アクセルOFF時に微かながらも「コーっ」と言ったオフロードタイヤ特有の高めのノイズが耳に残るのが残念な所。
ただ、より遮音性に優れたプレミアム系のSUV(例えば、レクサスGX/LX、ランクル300系など)であれば、ほぼ気にならないレベルでしょう。
気になる「オフロード性能」はどうなる?
続いて、オフロード性能を試します。
こちらはオフロードの聖地と呼ばれる愛知県のさなげアドベンチャーフィールド内のコースをランクル250のディーゼル車で走ります。
今回はタイヤテストなのでサポートデバイスは使わず“素”の状態、4WDシステムは4Lを選択しました。
その印象はどのようなシーンでも路面に対する“食いつき”の良さです。
今回は雨上がりでいつも以上に滑りやすい路面でしたが、グリップが足りないと感じたシーンは1度もありませんでした。

急勾配を下るシーンでは途中でブレーキをかけて停車するようなシーンや急勾配を上るシーンでは、路面をガシッと掴む感覚がクルマからシッカリと伝わってくるので、「この道、行けるかな?」ではなく、自信を持って「この道、行けます」と言える信頼がありました。
ポジションは「ややオン寄り」と言っていますが、オフロード性能はオープンカントリーの名に恥じないモノです。
意外だったのは、オンロードで硬めに感じた乗り味がオフロードではしなやか系だった事です。
乗り心地に関してはカドが丸い入力と段差乗り越え時の左右への揺さぶられの少なさが印象的で、むしろオンロードよりも快適性は高いと感じたくらいです。
これは筆者の推測ですが、オンロード(=負荷が低いシーン)では硬め、オフロード(=負荷が高いシーン)ではしなやかな印象だった事を踏まえると、オンロード主体で使うのであれば、より車両重量の重いクルマ(=タイヤに荷重がかけられる)のほうがマッチングは良い気がしました。
タイヤサイズを確認すると265/75R16〜265/50R20と比較的大きなサイズが中心と解り、納得。

ちなみにこのR/Tトレイルを履いたレクサスLX600で世界一過酷なオフロードレースと言われる「BAJA1000」に参戦。
クラス優勝を果たしたTEAM JAOSドライバーである能戸知徳選手に話を聞くと、次のように教えてくれました。
「事前のタイヤテストでR/Tトレイルを選択しましたが、とにかく剛性感の高さが決め手でした。
BAJAは時々刻々と地形や路面が変わりますが、特に柔らかい地形(特にサンド)でのグリップが良かったですね。
耐衝撃性や耐パンク性の高さにも助けられ、いい結果を残すことができました」
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今回、このLX600に同乗走行させてもらいましたが、3トン違い巨体がまるでGRヤリスのように軽快かつ俊敏に動く上に、ノーマル車ではジャンプしてしまうようなギャップもしなやかにいなして路面を捉える足の動きに驚かされましたが、その足元をR/Tトレイルが支えていると知ると、このタイヤの凄さがより理解できたような気がしました。
総じて言うと、オンロードでもオフロードでもモータースポーツ直系の信頼の走りをより気軽、より身近に感じることができるタイヤだと感じました。
ただ、見た目はかなり“やる気”のデザインなので、純正ホイールだとタイヤが浮いてしまう感も。
個人的にはアフターのカッコいいアルミホイールと組み合わせて履きたいです。

