世界で8億人が悩まされているニキビに対する効果的な治療法が発見された可能性
皮膚の常在菌であるアクネ菌が異常増殖することで引き起こされるニキビには、世界で8億人以上のティーンエイジャーが悩まされています。南オーストラリア大学の研究者らが、抗生物質・ナラシンを用いて、ニキビを効果的に治療する方法を発見した可能性があると報告しています。
Tiny nanocarriers could prove the magic bullet for acne sufferers - News and events - University of South Australia
Scientists Say Powerful New Molecule Could Be a Game-Changer For Acne : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/scientists-say-powerful-new-molecule-could-be-a-game-changer-for-acne
Antibiotic breakthrough for acne sufferers - YouTube
ニキビは世界のティーンエイジャーにとって共通の悩みです。抗生物質や微生物の餌となる皮脂を減らすホルモンを用いることで、細菌の増殖を抑えることはできますが、その方法の多くには副作用が伴うか、細菌が適応して効果が落ちていきます。
南オーストラリア大学とアデレード大学、フランスのエクス・マルセイユ大学の研究者らは新しく、抗生物質のナラシンを用いた治療法が、実験室での条件下においてアクネ菌に有効であることを示しました。
研究チームによると、ナラシンをナノミセルと呼ばれる髪の毛1本分のさらに1000分の1という小さく柔らかいナノ粒子に封入してゲル状にすると、水のみと混合した場合よりも、もっと皮膚の奥まで浸透することがわかったとのこと。溶解度の向上度合いは100倍以上だったそうです。
実験は豚の耳の皮膚が用いられており、ヒトにどのように作用するかは今後の課題ですが、初期の兆候は有望だとのこと。また、ゲル状にした治療薬は室温で4週間安定したそうです。
南オーストラリア大学のサンジェイ・ガーグ氏は「皮膚層に浸透できなかった化合物溶液に対してナノミセルを用いるとニキビの標的部位にナラシンを効果的に届けることができました」と述べました。