離席時にナプキンを折り畳んではいけない…仕事のデキる人は知っている超一流の「フランス料理の食べ方」
※本稿は、小倉朋子『世界のビジネスエリートが身につけている教養としてのテーブルマナー』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■フランス料理で「女性を話の輪の中におく」はマナー
食事の席では会話を楽しむもの。特にフランス料理では大切にされています。いくらカトラリーを正しく扱って美しく食べていても、会話を楽しもうという態度がなかったら、食のマナーの半分も守れていないことになるでしょう。
料理はコミュニケーションの円滑剤であり、主人公は、あくまでも人です。まわりの人たちに絶えず目を配り、会話を楽しんでこそ、教養あふれる大人の振る舞いといえるのです。
女性を立てる「レディファースト」の起源は騎士道ですが、食事の席の主人公は人であるというところにも通じています。
たとえば女性をテーブルの隅に座らせないというのは、フランス料理の一定層の人々の席での常識です。人に囲まれ、常に話の輪の中にいられるよう、女性は必ず両側に人がいる席にエスコートしましょう。
■女性を悲しませない席次
フランスでは、会食の際にコミュニケーションと同等に大事にされるのが席次です。
正式な場、カジュアルな場、接待要素のない場など、シチュエーションは異なれど、いついかなる場でももっとも気にかけるべきは「女性を寂しくさせないこと」と「高齢の方を寒くさせないこと」。
フランスの社交の場では、配偶者同伴の会食が基本となっています。オーソドックスな例を1つご紹介します。図表1をご覧ください。ここでは、便宜的にホスト(主人)と招客は男性、その配偶者が女性の場合を例とします。

まず入口から遠い席が上座、入口に近い席が下座となります。この場合、いろいろな決め方があるにせよ、たとえば入口から遠いテーブルの真ん中にホスト(男性)、そしてその向かい側にホスト夫人(女性)と、まず中心を決めます。
その後は、ホスト夫妻の右側に主賓夫妻→?番目夫妻→?番目夫妻→?番目夫妻……と男女が交互になるよう席を決めていきます。
客が男女同数の場合、図のようにテーブルの一方の端が女性になってしまいます。その場合、「女性を寂しくさせない」ために、男性客と席を入れ替えて、女性同士が隣合わせになる席をつくることもあります。
■いかなる場でもネクタイを備えておく
フランス料理のドレスコードは一概にはいえないのですが、コース料理を出していて、ソムリエがいるようなお店を目安に、カジュアルな服装は避けましょう。

ジーンズ、襟のないシャツ、スニーカーなどは避け、男性はスラックス、襟のついたシャツ、ジャケット、革靴。念のためネクタイを持参すると安心です。
私の父は、いつ、突然の会食に招かれても良いように、常に紐タイを携帯していました。普通のネクタイよりも細めで、かさばらないので、持ち歩きに便利なのだそうです。
心配なら、もちろん事前にドレスコードをお店に問い合わせてもかまいません。
■ナプキンを膝に広げるタイミングに余裕がみえる
フランス料理のレストランで、まず私たちが手に取るのはナプキンです。
「どのタイミングでナプキンを膝に広げたらいいのかわからない」という声をよく耳にしますが、ナプキンを広げるよいタイミングは、「全員が席につき、料理のオーダーを終えた後」。
これが、「料理をいただく準備ができました」というお店への合図になります。
本来は、主賓がナプキンを広げたら、それを合図として全員がナプキンを広げるものです。
ただ、主賓がいなかったり、いてもマナーをご存じない、またはお話の途中でナプキンを広げることをお忘れになっている場合があるので、「全員が席につき、料理のオーダーを終えたタイミング」でいいでしょう。
ナプキンは2つ折りにし、折り目を手前にして膝の上に広げます。そして手や口を拭うときは折り目の内側で拭うようにすると、拭った後の汚れた面が人目につかず、最後まで美景を保つことができます。
お手洗いなどで中座するときは、ナプキンを椅子の上にふわっと置く、もしくは椅子の背もたれに掛けておきます。そして最後、お店を出るときには、テーブルの上に無造作に置きます。
几帳面な人は抵抗があるかもしれませんが、テーブルに無造作に置かれたナプキンは、実は「おいしかったです」というメッセージなのです。
きちんとナプキンを折りたたむと、逆に「おいしくなかったです」というメッセージになってしまうので気をつけましょう。
■カトラリーは、使う順序と用途がわかれば怖くない
披露宴やレセプションの場合、席につくと、カトラリーが、次のように整列しているのが目に入るでしょう。
・正面――プレート(位置皿)の上に置かれたナプキン
・右手――複数種類のナイフとスプーン
・左手――複数種類のフォーク、パン皿、バターナイフ
・奥手――小さめのスプーン、ナイフ、フォーク
・右奥手――複数種類のグラス
すべてをお箸で完結させる日本人からすると、ズラリと並んだカトラリーに圧倒されてしまいそうですが、いっさい複雑ではありません。むしろ使う順で用途別に並べられているので、親切かつ合理的といってもいいくらいなのです。
右手のカトラリーは、一番外側からオードブルナイフ、スープスプーン、フィッシュスプーン、肉用ナイフです。左手のカトラリーは一番外側からオードブルフォーク、魚用フォーク、肉用フォークです。

■外側のカトラリーから順に使っていく
この並び順は、「料理が出される順」に沿っています。したがって、「一番外側に置かれているカトラリーから順に使っていく」と覚えておけば間違いありません。
フランス料理のフルコースは、6品から15品ほどの幅がありますが、現代の日本の主流は次のとおり。
「アミューズ」→?前菜「オードブル」→?スープ→?魚料理「ポワソン」→?肉料理「ヴィアンド」→?チーズ→?デザート(ムースやフルーツ、シャーベットなどの「デセール」)→?コーヒーと小菓子(ミニケーキ、焼き菓子などの「プティ・フール」)。
「楽しませる」という意味をもつ「アミューズ」とは、お店の心を表すちょっとした料理のこと。いってみれば、コースを始める前のお店からの挨拶です。
たいていのアミューズは手でつまめる小さなもので、カトラリーを使う場合は料理と一緒に運ばれてくるのが通常ですから、あらかじめテーブルにセットされているカトラリーは、まだ使いません。
したがって、カトラリーは?オードブルナイフ&オードブルフォーク→?スープスプーン→?魚用ナイフ(フィッシュスプーン)&魚用フォーク→?肉用ナイフ&肉用フォークという順で使っていきます。そして?デザートは、奥手のデザートスプーン、デザートナイフ、デザートフォークで食べます。
カトラリーの使い方に迷う人も多いかもしれません。
左手のフォークで料理の端を刺して押さえながら、右手のナイフで一口分を切り分けては口に運ぶ。これがフォークとナイフの基本的な使い方です。
口に入れていいのはフォークだけですが、フィッシュスプーンは例外です。
身の崩れやすい魚は、フォークで刺して口に運びにくいものです。フィッシュスプーンで一口分を切り分けたら、フォークを使って身とソースをフィッシュスプーンに乗せ、口に運んでも良いのです。

■ナイフとフォークの配置は、お店の人へのメッセージ
カトラリーで意外と苦労するのは、ベビーリーフなどの薄い葉野菜や、ルッコラ、水菜などの茎を食べる野菜ではないでしょうか。フォークで刺しづらくて、口に運びづらいと感じたことのある人は多いでしょう。

薄い葉野菜は、フォークで押さえつつナイフで折りたたむようにすると、少し厚みが出てフォークで刺しやすくなります。また、トマトなど厚みのあるものと一緒に刺すのも1つの方法です。これらは茎の部分の野菜を食べるときも同様です。
私はつねづね「美しく食べるには、それなりの戦略が必要」と言っているのですが、食べづらい食材は、その典型例。
無造作に何となく食べ進めるのではなく、料理の全体を見渡しながら、「どうやったら最後まで美しく食べきることができるだろうか」と戦略を立てましょう。
また、ナイフとフォークの配置は、お店の人へのメッセージになります。
ナイフとフォークをプレート上に「ハ」の字に置くのは、「食べている最中です」ということ。ナイフとフォークをプレートの右下に斜めにそろえて置くのは「食べ終わったので、下げてください」ということです。
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小倉 朋子(おぐら・ともこ)
フードプロデューサー
青山学院大学文学部卒業。トヨタ自動車(株)広報、国際会議運営ディレクター、海外留学を経て、現職。企業や飲食店への事業提案、メニュー開発、一連のフードプロデュースのほか、諸外国のテーブルマナーと食文化を主に総合的に“食”を学ぶ教室「食輝塾」を主宰。食環境と心の大切さを柱に、食事作法のほか、動向分析、伝統食からトレンド情報、食育など専門は幅広い。亜細亜大学、戸板女子短期大学講師。東京食育推進ネットワーク幹事。著書に『グルメ以前の食事作法の常識』(講談社)など多数。
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(フードプロデューサー 小倉 朋子)
