達成者はわずか7人。岩瀬仁紀が力説する「100セーブ・100ホールド」の価値
今年5月1日、増田達至(西武)が史上18人目の通算150セーブを達成した。さらに増田はここまで(6月8日現在、以下同)97ホールドも記録しており、リリーフ投手の勲章である「100セーブ・100ホールド」の達成が迫っている。

ルーキーイヤーの2012年からロッテのブルペンを支える益田直也
これまで「100セーブ・100ホールド」を達成した投手は7人。その顔ぶれを見てみたい。
藤川球児(元阪神など)
日米通算811試合/61勝39敗245セーブ・164ホールド/防御率2.18
上原浩治(元巨人など)
日米通算748試合/134勝93敗128セーブ・104ホールド/防御率2.94
武田久(元日本ハム)
通算534試合/31勝30敗167セーブ・107ホールド/防御率2.61
平野佳寿(オリックス)
日米通算770試合/60勝83敗210セーブ・193ホールド/防御率3.10
増井浩俊(オリックス)
通算549試合/41勝45敗163セーブ・158ホールド/防御率3.07
益田直也(ロッテ)
通算615試合/29勝42敗169セーブ・149ホールド/防御率2.82
森唯斗(ソフトバンク)
通算446試合/21勝23敗127セーブ・102ホールド/防御率2.87
ホールドは救援投手としてマウンドに上がり、リードを保ったまま次の投手に引き継いだ時に与えられる記録で、中継ぎやセットアッパーの指標となる。
セーブは、メジャーでは1973年に導入されたが、ホールドは1986年に考案された。だがメジャーでは、ホールドは正式な記録にはなっていない。日本も、セーブはメジャーの翌年、1974年からセ・パとも公式記録として導入された。
NPBでのホールドは、パ・リーグで1995年から記録されるようになり、その後、一部ルールを修正して2005年から両リーグの公式記録となった。そのため公式記録としての歴史は浅く、「100セーブ・100ホールド」を達成している投手が少ないが、今後はより多くの達成者が出ることが予想される。
日米通算「100勝・100セーブ・100ホールド」の大偉業を達成している上原浩治氏(元巨人など)や、「負けないエース」と呼ばれた斉藤和巳(元ソフトバンク)は「もっと中継ぎ投手を評価すべき」と話す。それだけ投手の分業化が進み、先発、抑えだけでなく、中継ぎの重要性が高まっている証だろう。
岩瀬仁紀が語るブルペンの重圧これまで3度(99年、00年、03年)の「最優秀中継ぎ」のタイトルを獲得し、5度(05年、06年、09年、10年、12年)の「最多セーブ」に輝いた岩瀬仁紀氏にリリーフの大変さについて聞いた。岩瀬氏は通算1002試合に登板して59勝51敗、407セーブ、82ホールドを挙げた球史に残る名投手で、もう少し早い時期にホールドが正式な記録になっていたら「100セーブ・100ホールド」は間違いなく達成してはずだ。
── 岩瀬さんが思う中継ぎの大変さを教えてください。
「今でこそ勝ち試合なら、7回限定とか、8回限定とか、投げる場所が決まっている場合がありますが、以前は明確なイニングがなく、いつ出番がくるのかわからなかった。イニングまたぎもありますし、主力打者に当てられることもある。正直なところ、中継ぎ投手の評価はかわいそうなところがあると思います。とくに勝ちパターンの投手は、クローザーと同等の評価をしてもいいのではないでしょうか」
── クローザーの難しさはどんなところにありますか。
「リードしている場面での登板がほとんどですので、何がなんでもチームを勝たせないといけない。それまでつないできてくれた投手たちの思いやチームの成績がのしかかってくるので、背負うものの大きさはあります。とくに、最後の1つのアウトをとるのが難しい。結果が出ている時はいいけど、うまくいかない時は弱気になったりしますね。胃が痛くなり寝つけない時もありましたが、それでも乗り越えないといけない。気をつけていたのは、とにかく投げ急がないこと。ランナーを背負っても『点さえ与えなければいいんだ』と、いい意味で開き直って投げていました。
── 100ホールド・100セーブの価値について、どう思いますか。
「これまで"100ホールド・100セーブ"を達成した投手を見ると、中継ぎで実績を積んで、そのあとにクローザーになるケースが多い。僕自身がそうだったのですが、中継ぎをやっていると『いつかクローザーを任せられるように頑張ろう』というモチベーションになる。クローザーというのはチームのなかで一番信頼されるポジションですから。プレッシャーという意味ではどちらも一緒ですが、無事に試合を終えられた時の安堵感はクローザーのほうが大きかったような気がします」
── リリーフというのは、体力的にも精神的にも負担がかかるポジションです。
「疲労度については、中継ぎのほうが肩も多くつくらないといけないし、イニングをまたげば球数も多くなるし、きついと思います。もちろん、それを経てのクローザーとなると"勤続疲労"は相当なものがあります。とにかく先のことは考えず、目の前の打者をどうやって打ちとるか......その積み重ねでした。いずれにしても、"100セーブ・100ホールド"は簡単にできることではないですし、偉大な記録だと思います」
