GMOあおぞらネット銀行が異業種を取り込む「組み込み型金融」の波紋
この組み込み型金融には、銀行など金融機関が直接、事業会社とAPIでつながって機能を提供するケースと、金融機関と事業会社の間にテクノロジーを持った企業が入って両社の間をつなぐケースとがある。後者で間をつなぐ存在を「イネーブラー(Enabler=支え手)」という。
金子氏は「海外の事例を見ていても、金融機関と事業会社が直接つながるよりも、イネーブラーが間に入る形の方が主流になるのではないかと見ている」と話す。なぜなら、事業会社が必要とするのは銀行サービスだけではなく、保険や証券、クラウドファンディングなどもあるかもしれないからだ。
「我々はイネーブラーとしてもチャレンジしようと思っている。自らの銀行ライセンスを生かしてサービスを直接提供するだけでなく、他の様々なライセンスを持つ企業を束ねる〝ハブ〟になっていく構想」(金子氏)
その意味で、GMOあおぞらネット銀が競合するのは他のネット銀行だけでなく、イネーブラーになろうとしている他のテクノロジー企業だということ。
世界初の取り組みにもチャレンジしている。事業会社が、組み込み型金融を実現するために必要な銀行パーツを流通させるマ―ケットプレイス「ichibar(イチバー)」を21年8月に開設する。
「組み込み型金融では、事業会社さんが主役。その方々が便利になるための金融パーツを広く集めたい」と金子氏。金融機関、フィンテック企業、起業家、学生まで、誰もが自由に参加できるコミュニティにすることを目指す。
金子氏は日本アイ・ビー・エムで金融事業を手掛け、専務執行役員まで務めた。「自分のシステムで経営をしてみたかった。その時に、まだITの力が経営に生かされていない銀行業界のお役に立ちたいと考えた」
そういう思いを抱いていた時にGMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏に「銀行をつくるから一緒にやろう」と声をかけられたことで入社を決めた。銀行業界でIT出身の代表取締役は極めて珍しい。
金融当局を中心とした「護送船団方式」から、96年の金融ビッグバン以降自由化が進んだが、今も過去の名残はある。だが今は誰もが金融に参入のチャンスがある。まさに知恵、アイデアの時代だと言える。
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