1980年から1997年にかけてAppleに勤め、今やコンピューター上で当たり前に行われている、データをクリップボードへいったん保存して別の場所に貼り付ける「カット」「コピー」「ペースト」を生み出したラリー・テスラー氏が2020年2月17日(月)に亡くなりました。74歳でした。

Larry Tesler

http://www.nomodes.com/



Larry Tesler, the Apple employee who invented cut, copy, paste, dies at 74

https://www.cultofmac.com/685669/larry-tesler-the-apple-employee-who-invented-cut-copy-paste-dies-at-74/

Larry Tesler, Modeless Computing Advocate, Has Passed Away

https://gizmodo.com/larry-tessler-modeless-computing-advocate-has-passed-1841787408

Larry Tesler cut and pasted from this mortal coil: That thing you just did? He probably invented it • The Register

https://www.theregister.co.uk/2020/02/19/larry_tesler/

テスラー氏は1945年、ニューヨーク生まれ。スタンフォード大学でコンピューター科学を学び、卒業後はスタンフォード人工知能研究所を経て、1973年からはゼロックスのパロアルト研究所に勤務しました。

テスラー氏が取り組んだのは、とにかくコンピューターを使いやすいユーザーフレンドリーなものにするということ。パロアルト研究所時代には、アラン・ケイらとともに「GUI」を生み出しました。

また「モードレスデザイン」の実現にも熱心に取り組みました。「モード」とは、たとえばワープロソフトの「挿入」モードと「上書き」モードのようなものを指します。モードが異なるとユーザーの操作に対するソフトウェアの反応は異なりますが、テスラー氏は「ユーザーのアクションは一貫した効果を割り当てられるべき」と考え、「モードをなくす」ことを目指しました。この流れで生み出されたのが、モードを変更することなくテキストを挿入・上書きするための機能である「カット」「コピー」「ペースト」でした。

現代のコンピューターで、多くのソフトウェアや機能が「同じような操作をすると同じ反応をする」のは、テスラー氏の取り組みのおかげだといえます。テスラー氏の「モードレス」へのこだわりは、自分の車のナンバースレートを「NOMODES」にしたり、自分のウェブサイトのドメインを「nomodes.com」にしたり、Twitterのアカウント名をnomodesにしていたところからもうかがえます。



1979年にテスラー氏は、パロアルト研究所を見学に来たスティーブ・ジョブズと出会い、その頭の中にあるアイデアの数々に感銘を受けました。翌1980年、テスラー氏はゼロックスを辞め、まだスタートアップの段階だったAppleに入社。Apple製品として初めてマウスとGUIを備えた「Lisa」の開発に取り組みました。なお、「MacintoshのGUIの父」という認識をされることについては「違います」と否定した上で、「でも、親子鑑定をしたら、祖父母の1人ではあるかも」とコメントしています。

「Lisa」のあとは、初の個人用PDAである「Newton MessagePad」の開発をはじめ、Apple社内の様々なプロジェクトに携わりました。公式サイトの履歴には、Macintosh、Color QuickDraw、QuickTime、AppleScript、HyperCardの名前が並んでいます。

1997年にAppleを離れたテスラー氏は、Amazon、Yahoo!などを経て、主にフリーランスの技術コンサルタントをしていました。