餃子県」。そう聞いて思い浮かぶ都道府県は、一体どこだろうか。

宇都宮市(栃木)と浜松市(静岡)が世帯当たりの購入額を競って繰り広げる「餃子戦争」は毎年なにかと注目を集めている。

2018年の総務省家計調査(家計収支編、2人以上の世帯)では、浜松市が3501円で1位、宇都宮市が3241円で2位だったが、人々の感覚ではどちらに軍配が上がるのだろうか。

そこで、Jタウンネットは2019年9月4日〜11月12日にかけて、「餃子県といえば、どこ?」というテーマでアンケート調査を実施した。

総得票数は1829票。全国の読者が下したのは、意外なジャッジだった。

二強に割って入るダークホース出現



他県の追随を許さず1位に輝いたのは、宇都宮市を有する栃木県(641票)だ。

宇都宮駅前の餃子像や、市の公式ウェブサイトに「餃子のまち」のページを作るなど、市のプロモーションの成果だろうか。2位以下に300票近くの票差を付けて逃げ切った。

注目すべきは、2位と3位である。

なんと、静岡県(352票)をおさえて高知県(353票)が2位を勝ち取ったのだ。票差は3票と僅差だが、それでも勝ちは勝ち。

前述の総務省調査では、高知県の世帯当たりの餃子年間支出金額は1737円と全国平均の2087円を下回る値だ。栃木と静岡の一騎打ちかと思われた戦いに、思わぬ伏兵が現れた。

6位以下の順位は以下の通り。餃子のイメージが全くない「0票県」が多かったことも特徴的。長野、岐阜、三重、滋賀、鳥取、島根、岡山、徳島、香川、愛媛の10地域だ。





さて、「餃子戦争」当事者の認識はどんなものなのか、栃木と静岡の結果を見てみよう。

圧倒的な強さを見せつけた栃木からは、138票が集まった。この票数は47都道府県中2番目で、「餃子県はどこか」というテーマへの関心の高さが伺える。



もちろん得票率が最も高かったのは、地元・栃木だ。

しかし、ここでも高知と回答した人が4割以上いた。ちなみに、静岡と回答した人は1人だけ。静岡に対する敵がい心を、かえって際立たせているようにも思える。

対する静岡からは83票が集まった。栃木に次いで3番目に多い票数で、こちらも結果に興味津々といった様相だ。



当然、1位は地元。そしてここでも高知が2位につけている。票差も4票と僅差だ。

栃木は11票を獲得して3位。ライバル心はあるが、実力は認めざるを得ない...といったところだろうか。

静岡の敗因は「局地的な認知度」?

餃子戦争」の完全なる第三者はどう考えているのだろうか。

全体の54%以上の票は東京都から集まったので、こちらの結果を見てみよう。



栃木・静岡・高知のみに注目すると、上のグラフになる。

栃木が36.4%で1位、静岡が26.9%で2位。これに広島(18.6%)、福岡(2.4%)、福島(2.3%)、京都(1.9%)、宮崎(1.7%)と続き、高知(1.3%)は8位だった。

東京では「餃子県」の認識があまりない様子の高知がなぜ全国ランキング2位に輝き、静岡に勝てたのか。票の集まり方に特徴があった。

静岡への投票があった都道府県は、首都圏と東海地方を中心に17。30の府県からは1票も集まらず、認知度の局地性が浮き彫りになった。

一方で高知への投票がなかったのは石川県のみ。少しずつではあるが、46の都道府県から票が集まり、合計で355票になった。高知の餃子は、広い範囲で知られているようだ。

そもそも高知の餃子って?

ところで、高知の餃子とはどんな餃子なのか。

東京・恵比寿にも出店する高知発の餃子店「安兵衛」のウェブサイトによると、高知には屋台文化が色濃く残っている。

屋台では、揚げ焼きにされた小ぶりの餃子が提供されていて、いつからか「屋台餃子」と呼ばれるようになったという。「屋台餃子」は、今では餃子専門店や多くの飲食店にも置かれ、高知名物になっているそうだ。


パリパリで小ぶりの屋台餃子

飲んだ後のシメにラーメンを食べる、というのはよくある話だが、高知には「酒を飲んだ後は屋台の餃子で〆る」という文化があるらしい。

薄皮で野菜が多く、パリパリとした食感の屋台餃子はシメにも食べやすいようだ。