森保一監督(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

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日本代表はキリンチャレンジカップの2試合、5日のトリニダード・トバゴ戦と9日のエルサルバドル戦で3バックを試しました。前回のコラムに書いたとおり、この6月の2試合と、それからワールドカップ2次予選で戦術のバリエーションを増やすことは、最終予選、それからワールドカップ本戦を睨んで大切なことだと思います。

トリニダード・トバゴ戦に比べてエルサルバドル戦では3バックが改善されていました。それは両サイドの関係が修正されていたからです。

トリニダード・トバゴ戦の酒井宏樹と堂安律、長友佑都と中島翔哉という組み合わせは、これまでずっと4バックでコンビを組んでいました。3バックになって新たなポジショニングに調整するというのには、少し時間がかかったと思います。

ですが、エルサルバドル戦では両サイドに4人とも攻撃的な選手を配置したので、お互いの関係を築きやすそうでした。そのためサイドがより高い位置を保つことができ、そのために動きがスムーズになったのでしょう。

そしてエルサルバドル戦でのもう一つのポイントは久保建英の初出場でした。僕は選手に年齢は関係ないと思います。プレーヤーはパフォーマンスで判断すべきで、その意味で久保はいいデビューだったと思います。

途中出場して試合に流れに乗るというのは、実は難しいことです。ですが久保は違和感なく溶け込みましたし、周りを生かすのと同時に自分の良さも発揮していました。技術的に問題はありませんし、冷静に状況も判断していました。ぜひ今後、日本代表に定着していってほしいと思います。

そしてその久保の出番を巧みに演出したのが森保一監督でした。もし初出場だからといって10分程度のプレー時間しか与えないと、実は選手にとってどうプレーするか難しいのです。ところが久保は67分に投入され、20分以上プレーする時間を与えられたことで自分のプレーを見せることができました。

その意味で、久保のデビューがうまくいったのは、森保監督の選手の使い方のうまさがあったからだと思います。こういう隠れた名采配が見られたのも、今回のキリンチャレンジカップの成果だったと言えるでしょう。