「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「納める」、「収納」「納税」の「納」。今年も終わりに近づいて、仕事納めまでもうひとふんばりです。



「納」という字は糸へんに「内側」の「内」と書きます。

「糸」は織物を意味する部首。

「内」は、家屋の入り口の形を表す象形文字で、大きな木を組み、その上に屋根のある建物をたてた様子が描かれています。

そこで「内」という字は「入り口から入ったところ」、「うち、なか」を意味するようになります。

その「内」に糸へんを添えた「納」という字は、織物などを税として「おさめる」「納入する」ことを表すようになりました。

日本の本格的な納税制度は今からおよそ千三百年前、大宝律令によって整えられたといわれます。

民衆は米をはじめとする農産物や特産物、綿・絹などを納め、兵役や土木工事に関わる労役を義務づけられました。

それは当時の人々にとって、大きな負担となります。

万葉集に収められた山上憶良の『貧窮問答歌』には、彼らの悲しみを詠んだ有名な歌があります。

「世の中を憂しとやさしと思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば」

この世をつらく耐え難いと思っても逃げ出すことはできない。

我が身は鳥ではないのだから。

当時、税を納めるために働くことは苦しみであり、自由を奪うものでした。

でも、はるかいにしえの人々にとって働くことは、神さまから与えられた命に感謝しながら、捧げものを納めること。

それは幸福な暮らしや平和への祈りと、まっすぐにつながっていたはずなのです。

ではここで、もう一度「納」という字を感じてみてください。

「納」という漢字にいにしえの人たちがこめたのは、神に生かされているという素直なよろこびと感謝の気持ちでした。

でも、残念ながら現代を生きる私たちは、納めた税金が日々の幸福につながっているのか疑問を抱くばかり。

自分のため、身近な誰かのため、そして社会のために働くこと。

その尊さをもう一度思い出し、誇りを取り戻すためにも、今年一年の自分自身の働きぶりをふり返ってみてください。

具体的な数値目標の達成だけでなく、充実感を得ることができたのか。

自分を、そして誰かを笑顔にすることができたのか。

働いて稼いで納めた税がきちんと、私たちの暮らしに還元されているのか。

そして仕事納めの当日は、ともに働く仲間たちと、お互いの健闘を心から讃えあうことができますように。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『知っておきたい大切なこと 税金の絵事典』(PHP研究所/編 PHP研究所)

12月24日の放送では「贈」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

<番組概要>

番組名:「感じて、漢字の世界」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/



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聴取期限 2016年12月24日 AM 4:59 まで

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