スマホ大型化の反動?世界中で「ミニサイズスマホ」にブームの兆し

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最近のスマホ画面の大型化はどこまで進むのだろうか?2014年春に発表された各社のフラッグシップモデルを見ると、ソニーモバイルのXperia Z2、サムスン電子のGALAXY S5は5インチを越え、それぞれ5.2インチ、5.1インチサイズまで大型化しているそして今週、5月27日にLGエレクトロニクスが発表したLG G3の画面サイズは、なんと5.5インチまで大きくなった。

では世界中のスマホユーザーが大画面を歓迎しているのだろうか?
各社のフラッグシップモデルは好調な売れ行きを示していることから、大画面スマホは世界中で受け入れられていることはたしかだ。

ところが実はこのトレンドと逆行する製品もじわじわと人気があがってきており、ブレイクの兆しが見えているのだ。それが「ミニサイズスマホ」だ。

●狭額縁で小型化を計る大画面化するスマホの矛盾
LG G3は画面と側面の間のベゼル幅を狭くすることで片手でも楽に持てる本体サイズに抑えている。画面を大型化したため、筐体の小型化を計るという、なんとも矛盾があるアプローチで使いやすさを損なわないようにしている。しかし、5.5インチという大きさはちょっと前ならばスマホでは考えられないほど大きなサイズだ、スマホというより一回り大型の画面を搭載する「ファブレット」や「タブレット」に近いサイズでもある。


スマホながら5.5インチまで画面サイズが大型化したLG G3


●断トツに人気が高いミニサイズスマホはハイエンドなみの高性能な時代に
ミニサイズスマホ、すなわち画面サイズの小さいスマホはハイエンドからエントリーモデルまで展開するサムスン電子やHTCなどが多数の製品を販売している。日本や韓国などハイエンドスマホが主力製品の市場ではあまり多くは売られていないが、4インチ前後の小型ディスプレイを搭載したスマホは世界各国で主流の製品として売られている。

だが各国で人気となっている製品は単純な小型サイズのスマホではないのだ。それはフラッグシップモデルを小型化したモデルで、製品名には「ミニ」や「コンパクト」という名前が付けられている。フラッグシップモデルのいわば「弟分」とも呼べるこれらのミニサイズスマホは、ミッドレンジクラスのスマホの中でも断トツに人気が高い。

例えばHTCが5月29日からイギリスなどでプレセールを開始したHTC One Mini 2は同社のフラッグシップモデル、HTC One (M8)のスタイルはそのままに本体を小型化したモデルである。HTC Oneの初代モデルは日本でもauからHTC J One HTL22として発売された。HTC Oneはアルミ削り出しボディーのプレミアムモデルであり、世界中で大きな話題となった製品だ。その最新モデルを小型化したHTC One Mini 2は手頃なサイズと価格から各国で注目が集まっている。


HTC Oneの最新モデルをミニサイズ化したHTC One Mini 2


このようなミニサイズスマホは各社から販売されており、サムスン電子、LGエレクトロニクス、ソニーモバイル、アルカテルなどが製品を投入している。しかも最近では中国の新興メーカーも「ハイエンド+ミニスマホ」という2つの製品展開を真似している。

●ミニサイズスマホの人気の秘密はフラッグシップと同じスタイル
ではなぜこのミニサイズスマホが人気なのだろうか?それは各社のフラッグシップモデルと同じ製品名を持ち、本体のデザインも同系で仕上げられているからだ。つまり「フラッグシップのサブモデル」というポジションが明確化された製品であることから、フラッグシップモデルを買いたいけど買えない消費者の購入意欲を大きく刺激しているのだ。価格ももちろん購入しやすい値段に抑えられている。

ミニサイズスマホブームはサムスン電子が火付け役で、2011年のGALAXY SIII、2012年のGALAX S4どちらもミニモデルが登場するや親モデルに並ぶほどの人気となった。GALAXY S5 miniはまだ公式にはアナウンスは無いものの、出ることはもはや噂のレベルを越えネット上では公然のものとなっている。


ミニサイズスマホブームの火付け役となったGALAXY SIII mini


このようにグローバル市場では各社がハイエンドスマホだけではなく、ミニサイズスマホでも熱い戦いを繰り広げはじめている。ところが立ち上がったばかりのこの市場に大胆な戦略を持ち込んだメーカーがいる。そのメーカーとはソニーモバイルなのだ。

ソニーモバイルが2013年秋に発表したXperia Z1はより洗練されたデザインにスマホの中でも最上位に位置する20メガピクセルのカメラを搭載したソニーらしい製品だ。このZ1を小さくしたXperia Z1 Compactを2014年1月に発表したのは市場のトレンドを見れば当然の動きだったと言える。Z1 Compactは日本でもドコモからXPERIA Z1 f SO-02Fとして発売になり、手頃なサイズ感ということもあり大ヒットしたことは記憶に新しい。

だがこのXperia Z1 Compactは他社のミニサイズスマホと大きく違う点があった。各社のミニサイズスマホは親モデルのスペックを下げることで価格も引き下げている。Xperia Z1 Compactも画面解像度はHD、バッテリー容量も小さくなるなど確かにスペックダウンされている。ところがカメラ機能は親モデルと同様に20メガピクセルのものを搭載、他社のハイエンド品を横臥する性能を有しているのである。

Xperia Z1 Compactはミニサイズスマホ=価格が安い分スペックも低い、という市場の常識を崩し、ミニサイズスマホ市場に大きな影響を与えようとしている。ソニーモバイルは最新フラッグシップモデルXperia Z2のミニ版ともいえるXperia A2 SO-04Fを6月から日本で発売する。おそらくグローバルではこれがXperia Z2 Compactになると見られるが、世界に先駆け日本にミニモデルが投入されるということは、ミニサイズスマホのブームは日本を含む全世界の流れと言えるのかもしれない。

実はアップルのiPhoneも次のモデルは2種類の画面サイズが用意されると噂されている。昨年もアップルはiPhoneを2機種同時に発表したが、どちらもサイズはほぼ同じでありその差は機能とデザインのみだった。だが今年発売予定とされるiPhone 6シリーズは大型画面と小型画面の2モデルになる予定らしい。すなわち片方がミニサイズモデルとなるわけだ。

スマホ画面の大型化が進む一方で、小型モデルを求める層が無くなることはないだろう。フラッグシップモデルとそのミニサイズスマホをセットで投入する動きは2014年にはさらに広がり、ミニサイズスマホも世界的な一大ブームとなるかもしれない。


山根康宏