■第10試合 WEC世界ウェルター級選手権試合/5分5R
【王者】カーロス・コンディット vs.【挑戦者】三浦広光
○[4R4分43秒/TKO]×

ラスト・サムライとコールされた三浦。王者コンディットは、不精ひげを生やし、これまでにない険しい表情を見せる。

試合はコンディットの右ミドルでスタート。「立って戦いたい」と宣言していた三浦は、左から右で距離を詰めるも、ローを蹴り合った両者、三浦が飛び込んだところにコンディットの右のカウンターがヒットする。

思わず柔道の投げを見せようとした三浦。打撃戦の攻防の中、背負い投げからサイドポジションを奪うが、公約通りスタンドへ戻る。足払いでコンディットを倒した三浦だったが、直後に右ストレートを受け、ここでも投げでリズムをつかみなおす。

三浦の右をよけて、コンディットの右がヒット、ダウン状態の三浦に対し、ニーインザベリーの状態からパウンドやヒジを落としていく。クロスフィックに移行したコンディットはサイドポジションから腕十字で試合を決めにかかった。

が、ここで腕を引き抜いた三浦は、立ち上がろうしたコンディットから再び足払いでテイクダウンを奪いパウンドへ。攻守の入れ替わりが激しい1Rが終了した。

2R、ハイ、ミドル、前蹴りを王者が見舞うと、バランスを崩した三浦は後方へ倒れこんでしまう。ガードを取り、腕十字を狙った三浦に対し、コンディットは身をひるがえすようにパスを狙い、続いて側転パスガードでサイドを奪う。ハーフに戻した三浦は、もぐりからスイープを仕掛けるが、首をコントロールされ態勢を変えるに至らない。

ハーフからアームロック、エルボー、さらにパスとすべての攻撃が連携するコンディットは、三浦がスイープを狙ったのに合わせて、マウントを奪取する。ブリッジで立ち上がろうとした三浦は、王者の腕十字を防ぎトップを奪い返したが、動きが少なくブレイクがかかる。

試合がスタンドへ戻ると、三浦の左がヒットしたが、直後に王者がバックを奪い、試合は再びグラウンドへ。三浦が堅くクローズドガードを取ったまま、ラウンド終了を迎えた。

3R、右を振るいながら突っ込む三浦。コンディットは片足タックルからテイクダウンを狙うが、ここで三浦が投げを狙うと両者はもつれた状態で、ケージ際へ移動。王者がギロチンチョークからマウントを奪うことに成功する。

腕十字狙いの王者、三浦がしっかりと腕をクロスするとエルボーからパウンドへ、作戦変更。三浦は、フルパワーでロールし、またもトップを奪う。ハーフからパウンドを落とす三浦。この攻撃でコンディットの頭が大きく揺れる場面も見られた。

そのまま左右のパウンドを見舞う三浦だったが、コンディットは立ち上がり、三浦のフックをかいくぐりテイクダウンからバックマウント、マウントへと移行。パウンドを連打した。

今度はしっかりと、三浦の反撃を考慮しバランスを保ち、マウント、バックマウントをキープする。ラウンド終了15秒前に、コンディットはチョークをしかけるが、三浦はしっかりとディフェンスし、ラウンド終了。終了のホーンが鳴ると、王者、挑戦者ともに大きく息をついた。

4R、右目が塞がれた三浦、コンディットもスタミナ切れから動きが鈍い。三浦の強烈な左右のフックを嫌がったコンディットは、必至の形相で三浦に組みつき、テイクダウンに成功。スイープでトップを奪った三浦は、ハーフガードから左右のパウンドを落とす。

ヒザ十字を仕掛けた王者、足を引き抜いた三浦はトップをキープする。少しでも動きが止まると、容赦なくブレイクをかけるレフェリーに、試合はスタンドへ。両者、スタミナを著しくロスしているが、瞬発力は三浦が上か。ただし、試合巧者の王者は殴り合いに応じるふりをして、すぐにバックへ回り込みテイクダウン。そのままマウントを奪取する。

明らかにスタミナ切れを起こしている王者、テンポを落としてパウンドを落としていく。それでも、三浦の「1、2、3」のタイミングのリバーサルで、あっさりトップを奪われてしまう。強烈な左右のパウンドを落とし、完全にペースを握った三浦が王者を攻め続ける。

しかし、一瞬の隙をついて立ち上がったコンディットの右ヒザが三浦の顔面をヒット。正座するように、前方にダウンした三浦は完全に動きが止まってしまう。パウンド、鉄槌を落とすコンディット、ここでレフェリーが試合をストップ。激しく攻守が入れ替わる死闘は、王者コンディットが19分43秒のタフファイトを切りぬけ、王座防衛に成功した。

「本当にタフだった。WEC王者を守り続けたい」というコンディット。これまでのような一方的な勝利でなかった分、最後の最後まで勝負を諦めない、そして試合を決めることができる武器を持つなど、彼の真の実力が見えた防衛戦といえるだろう。

そのコンディットの底力を導きだしたのが三浦の頑張り。強烈な打撃と投げ、寝技でのディフェンス能力。敗れてなお、三浦は評価を挙げたのだった。

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