出生数過去最低 結婚をためらう要因減らそう
出生数の減少には歯止めがかからず、なお深刻な状況が続いている。
ただ、地道に対策に取り組み、わずかではあるが少子化を反転させた自治体もある。国と自治体はそうした事例を分析し、今後の対策に生かしていくべきだ。
厚生労働省が発表した2025年の人口動態統計によると、日本人の出生数は67万1236人となり、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1・14だった。いずれも過去最低で、減少は10年連続となった。
こうした流れが続けば経済は縮小し、国力を維持していくのも難しくなりかねない。
政府は23年、児童手当の拡充など給付を中心とした「こども未来戦略」を決定し、現在、この戦略に沿って様々な少子化対策を進めているが、効果が上がっているとは言えないようだ。
一方、今回の人口動態統計には着目したい数字もある。
22〜24年の3年間、出生数は毎年、全国平均で5%超減り続けていたが、25年の減少幅は2・2%にとどまった。出生率が前年より増えた自治体も13県あった。24年の段階では、前年の出生率を上回った自治体はなかった。
明るい兆しが見えてきたのは、婚姻数と関係があるとされる。昨年の婚姻数は48万9119組で、2年連続で増えた。
出生率が全国2位の1・46となった宮崎県は、25年度から、結婚を希望する人を対象にした民間のマッチングアプリの利用料を補助する施策を始めた。
結婚するかどうかは個人の自由だし、近年は結婚を望まない人も多い。また、結婚の意思があっても知り合う機会がない人もいる。この点で、その意思がある人同士に出会いの場を提供するマッチングアプリが注目されている。
出生率、出生数ともに前年を上回った香川県の場合、妊産婦や子育て中の親が立ち寄って、保育士らに育児の相談などができる拠点を200か所整備した。
こうした事例は他の自治体にとって参考になろう。国も自治体の取り組みを後押しすべきだ。
結婚を希望する人が、将来にわたって安定した収入を得られるようにすることも大切だ。
総務省の調査によると、30〜34歳の男性では、正社員の6割が結婚しているのに対し、非正規の場合は2割にとどまっている。不本意に非正規を選んでいる人については正規に転換するなど、企業側の努力も必要となる。
